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あのコの一番そばで、私、輝くっ!  作者: そるみ
第6章 あのコの影を追いかけて

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63 絵日記帳の世界のあのコ[2]

いつも読んでいただき、感謝です。

 キョロキョロ辺りを見回してみたんだけど、誰もいないみたいで……。

 「ど、どこから声が聞こえてくるの?! 貴女は一体誰なの? どうして私の事、知ってるの??」

 「あらあら、そんなに慌てて一度に質問されても答えられないわよ、日向。 よくここまで辿り着いたわね。 まずはその労をねぎらおうと思うわ」

 「貴女が、私がここに来るように、あの手紙を書き遺したの?」

 「そうよ。 貴女は立派にその役割を果たしたわ。 私は無名神……名前すら持たず、人間には誰一人として認知されていない、孤独な存在……。 日向、貴女の言動の一部始終を、ずっと見ていたのよ、星月の目を借りて」

 「無名神……って、神さま、って事なの?! でも、名前が無いなんて……何だか可哀想な神様……」

 「それは憐れむものではないのよ。 人間に認知されていないからこそ、出来る事もあるのですから」

 「認知されてないから出来る事……何だかよく分かんないけど、その言い方、あまり良い行いじゃなさそうに聞こえるよ。 まるで、こっそり悪い行いをやってる、みたいな」

 「あら、なかなか手厳しい言葉を返すのね、日向。 そうそう、話を進めていく前に、私もその場に姿を投影する事にしましょう。 面と向かい合わずに声だけでは、心を開いた会話など出来はしないでしょうから」

 神さまがそう言うと、神籬からまた光が溢れてきて……私の目の前に金色に光り輝く女の人が現れたの。

 光り輝いてるっていうより、オーラ、っていう方が合ってるのかな。

 「私と同じロングの髪……スラっとした、綺麗な人……」

 見惚れてしまいそうな、品の良さを感じるよ。 相手は神さまなのに。

 「その姿は、私の生前のものなのよ。 これで、話し易くなるでしょ、日向」

 「生前の……無名神さまって、亡くなった後に人神様になった、って事なの?」

 「その通りよ」

 「カヌーにあった手紙に”私が遺した”ってあったから、誰が書いたのかな? って思ってたけど……神さまだったの?」

 「そうよ。 あの手紙は、私が生前に書き遺したものなの。 遠い将来、この場所に貴女を導く為にね。 それだけじゃなく、今、貴女が着ている装束も、さっき使った採物も、海を渡るのに使ったカヌーも、そこに積んでいた私服も、全てかつての私が使っていたもの。 今、貴女がこうして私と会話できているのは、私に縁のあるものを身に付けているからなのよ」

 「今、神さまが言った物って、全部、私以外の人には見えなかったものばっかり……。 どれも凄く綺麗に整えられてたから、持ってた人にとって大切な物なんだろうな、って感じてはいたんだけど……でも……全然話が見えてこないよ。 どうして神さまは、ここに私を導く必要があったの?」

 「どうしてここに貴女が来るよう仕向けたのか……それを話す前に一つ、尋ねておきたい事があるの。 貴女はどこまで星月について知っているのかしら?」

 「月宮神社の宮司さんから聞いた話だと……五芒転生の秘術?! とかで生み出された存在、だったかな」

 「その通りよ。 月宮神社に秘蔵されている秘文書を読み解いて、そこに記されていた秘術を生まれる前の貴女に施したのは、この私なの」

 「秘文書を読み解いて、生まれる前の私に秘術を……ダメだ、私、神さまの言う事を理解できないわ」

 「ちょっと話が飛躍してしまったわね。 今は一旦置いておいて、後でおいおい話していくとしましょう。 では、それ以外に知っている事はどうかしら?」

 「いえ、それ以上の事は……相変わらず、謎だらけなままで」

 「なるほど、そうなのね。 じゃぁ、今ここで、星月の正体を曝すとしましょうか。 譏滓怦繧井サ翫%縺薙↓豁」菴薙r迴セ縺励↑縺輔> 」

 えっ、えっ?! 神さま、今、何って言ったの??

 呪文のようなものが唱えられた途端、私の右肩に乗ってたほつきがピカーーッって光り出して、その中から目の前に……。

 「わわわ、私っぽい人が2人も出てきた?! ど、ど、どういう……事?!」

 「さすがに驚いたようね、日向。 星月の中には2人の魂が入っていたのよ。 青白いオーラを放っているのが初代の日向で、薄い橙色のオーラを放っているのが、前代の日向。 これが、五芒転生の秘術の本質よ」

 「初代の私と……前代の私?! い、い、意味が分かんないよぉ……」

 「初代の日向は、私が生前に過ごしてたのと同じ世界線の日向で、前代の日向は、その日向が貴女の一つ前の世界線で出会った日向、って事になるわ」

 「神さまが生きてた頃の世界線……私の一つ前の世界線……もう、何を言われてるのか理解できないけど、私の側にずっといたほつきの正体って、2人の違う世界線の私だった、って事なのかな」

 神さまの話を理解しようとすればするほど、どんどん頭が付いていかなくなっちゃいそう。

 「その通りよ、日向。 彼女たちは貴女とは違う世界線の日向たちなのよ。 折角出てきてもらったもの、彼女たちにかけた呪法を解く事にしましょうか。 蜈ィ縺ヲ縺ョ蜻ェ豕輔h豸医∴蜴サ繧翫↑縺輔> 」

 呪法を解くって、ここってホントに現実の世界なの? 私、変な世界に足を踏み入れちゃったのかな……。

 「どう? 初代日向と前代日向。 これで貴女たちは、お互いに自由に意思疎通できるようになったはずよ。 今まで出来なかった相手とも、ね。 それと同時に、貴女が[検閲]と名付けた呪法と、会話を切り出せない呪法も取り除いたから、自由に話せるようになったはずよ、初代日向」

 意思疎通できるようになった、かぁ。 じゃぁ……。

 「あ、あの~~、お二人とも、今まで私の事をずっと側で見守ってくれてたんだよね。 やっぱ、女の子だったんだ~~。 今更だけど、確認できてホッとしたよ~~」

 前代さんと初代さんに、私から挨拶代わりに声を掛けてみたの。

 「出会って最初の一言がそっち?! ま、日向らしいっちゃぁ、らしいか、あはは。 私じゃないけど私みたいな感覚って、変な感じよね」

 前代さんは私にそう言って、初代さんに向き直ると、「初代が言ってた検閲って、そういう事だったんだ……あと、初代から話を切り出してくる事が今まで一度も無かったのも、制約されてたからだったのね」 って呟いたの。

 でも、初代さんは前代さんに言葉を返さず、神さまに、 「先に現役が話し掛けてくれなきゃ、言葉すら発する事が出来なかったんだから! ずっとずーっと、もどかしい思い、悔しい思いを抱えてきたのよ!! それを貴女が解除したって事は、私に議論に参加する資格を与えた、って事よね? 目の前で日向が命を落とす度に、何度、運命を変えてあげたいって願ったと思う? どれだけ叫び声をあげたかったと!!」 って、もの凄い剣幕で食ってかかっていったから、私、びっくりしちゃって。

 前代さんは[初代]って、初代さんは[現役]って呼び掛けてたのね、お互いに。

 ちょっとややこしいなぁ、現役なのは私じゃないのかなぁ。

 「何度も、命を落とす私……初代さん……」

 私、掛ける言葉を失っちゃった……あまりにも過酷な、初代さんの過去……。

 「日向が、理不尽な状況にも強い意志をもって積極的に立ち向かっていく姿、ずっと右肩から見させてもらってたわ。 同じ日向として、誇らしいって思ったよ」

 前代さんが、重苦しくなっちゃった場の雰囲気を変えようと、私に話し掛けてくれたの。

 「ええ、そうよ、日向。 私は今まで色んな世界線で、何十人もの日向の行動を見届けてきたけど、貴女は最高の日向よ。 そこにいる無名神とやらの言葉を借りれば、貴女の立ち振る舞いを心から褒めたい、って心から思うわ」

 初代さんも、前代さんに続けて私を褒めてくれて。

 私たち3人のやりとりをじっと眺めてた神さまが、場の空気を引き締めるように、ゆっくりとこう宣言したの。

 「これで役者は揃いましたね。 ここから少し、込み入った話をしていきましょうか」

本編の第50話をベースに書き上げました。

☆今回気を付けた点☆

途中から4人の会話の掛け合いになり、誰が誰に向けたセリフなのかを正確に把握してもらえる工夫をこらすのに苦慮しました。

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