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あのコの一番そばで、私、輝くっ!  作者: そるみ
第1章 あのコとの穏やかな毎日

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5/11

5 あのコの話、遮っちゃった……

いつも読んでいただき、感謝です。

 さぁ、いよいよだよ、新入生歓迎登山。

 メモしてあるからね~。 見ながら準備……っと。

 上下ともジャージ、オッケー。

 お弁当に、水筒に、虫よけスプレーも、リュックにセット、オッケー。

 「じゃぁ、ママ、行ってくるね~~!」


 ガゼボでひむちゃんと合流して、学校の運動場へ。

 春の朝らしい、少しヒンヤリした風がそよそよ、気持ちいい~~。

 「いい天気だね~~。 絶好の登山日和だよ」

 なになに?? ひむちゃん、そんな事言いながら、背中反らせてバンザイしちゃって。

 もしかしてそれ、柔軟体操??

 「うん。 でも、ひいか、ちゃんとたどり着けるかな……途中でギブアップしないかなぁ……」 

 私、どちらかと言うと運動苦手だから、登山なんて自信、無いの。

 「大丈夫、大丈夫。 歓迎する側の立場に立って考えたら、そんな無茶なところ、選ぶはずないよ」

 ひむちゃん、それっぽい事言ってるようで、何だか違うよ。

 でも、私の不安を吹き飛ばそうとしてくれてるのよね? 優しい。

 「それもそっかぁ~~。 歓迎会、だもんね。 しごき会、じゃないもんね」

 ま、ひむちゃんに合わせて、後ろ向きな考えは止めて、明るく元気に、スマイルスマイルっ。


 「みんな、揃ってるね。 はい、こっち注目!!」

 冴先生の声がマイク無しでも耳に響いてくる。

 「1年生が出発した後、遅れて2年生、3年生が出発します。 歩くペースがあまり遅いと、先輩たちのペースを乱すことになるから。 しっかりまとまって、きびきび歩きましょう」

 きびきび、ってとこ、凄く強調して言ったよね? 今。

 「えぇ~~っ。 やっぱ、しごき会だよ~~」 私の泣き言を皆で笑うんだよ~~、酷いよぉ。


 「今日はこの行事のために、神尾渓谷は一般観光客の立入が制限されてるそうだ。 人混みに煩わされることなく、思う存分、自然を感じながら歩けるな。 じゃ、出発するぞ!」

 自然を感じながら、かぁ。

 きゆりちゃん、私、そんな心の余裕、無い……。

 ……とにかく、ゆっくりでも、頭を空っぽにして進もう。

 そのうちきっと、辿り着くよね。


 もう、前を向いて歩くので精一杯……周りを見る余裕なく、ひたすら無言で歩いてると、後ろからひむちゃんの声が。

 「あれっ?! ひいちゃん、新しい髪留めしてる! かわいい!!」

 あ、気付いてくれた!!

 嬉しいんだけど、この必死に耐えてるタイミングで?!

 「あっ、この髪留め、この前のお誕生日会の時にプレゼントでもらったの。 ”トゥインクルな双子”がデザインされてて、かわいいよね!!」

 小さな頃からトゥインクルな双子が好きだから、このプレゼント、私の好みど真ん中。

 東子ちゃんと朝子ちゃんのリサーチ力、あなどれない。

 そう言えば、小学校の入学式の日も、ひむちゃん、髪留めを可愛いって言ってくれたなぁ……。

 「ひいちゃんに似合ってるよ~~。 あっ、私もプレゼント、かわいいのもらったよ」

 そうそう、それ! 気になってたんだぁ。

 ここでも、双子ちゃんのリサーチ力、チェック!

 「何もらったの? やっぱ、ウサギの何か、かな?」

 私がひむちゃんにプレゼントする側だったとしても、そこは外さないと思う。

 「えへへ。 そう! ウサギのポシェットだよ。 今日は私の勉強部屋でお留守番」

 ふむふむ、ポシェットとは……これまた良いチョイス……そのアイデア、頭の中にメモメモ。

 「へぇ~~、今度見せて~~」


 ゴールはまだまだ見えないけど、だいぶ歩いたよ……川がさらさらと横を流れてるし、上り坂もしんどくなってきたし……って思ってたら、後ろからひむちゃんが、

 「そう言えば……今日はきゆりちゃんの誕生……」 って……あっ! その話は!!

 「しーーーーっ! ひむちゃん、ダメっ!! この前のアレを聞いてから、誕生日の話は禁句になってるんだから」 私がとっさに強い語調で遮っちゃったから、ひむちゃん、黙り込んじゃった……やっちゃったかなぁ。

 

 微妙な空気感の中、何とか神尾渓谷の広場に到着……あの瞬間から私、ひむちゃんの話題を遮ってしまった事を後悔してばかりで……。

 「みんな、お疲れさん。 1年生はこの辺りで整列し、上級生の到着を待つ。 向こう側に見える池の周辺で彼らが整列を終えれば、歓迎会の始まりだ」

 きゆりちゃん、なんで、ケロっとしてるの~~。

 私なんて、脚はガタガタだし、気持ちももやもやしてるのに。


 校長先生の話とか、応援団によるエールとか、全学年によるエールソングの合唱とか……そんな後に、新入生代表の挨拶。

 って言えば、やっぱ、この人だね、委員長殿堂入りの俊明君。

 「本日は、このように盛大な歓迎会を催していただき、ありがとうございます。 ここに集いし12名、古河高校の輝かしい歴史を……」

 か、堅苦しい……よく噛まずに読めるよね、あはは。

 彼も、私の結婚式のスピーチ候補に……な~んて。


 …………


 集まりが解かれると、1年生は冴先生が先頭に立って、まとまって渓谷を散策する事に。

 大きな池があったし、滝が見える高台もあった。

 元の広場に戻ってくると、冴先生が注意事項を話し始めた。

 「先生が……中から、気に入ったところを選んで、各自昼食を食べなさい。 トイレは……だけだから……。 すぐそこの橋を……に行ったり、……橋の向こう側へ……しないように! いいですね!! では、1時間半、休憩!!」

 気に入ったところ? 弁当を食べるのに良さげな所、さっきの高台一択だよね~~。

 ひむちゃんを誘って一緒に食べながら、さっきの事、謝らないと。


 ひむちゃんは、二つ返事で一緒に食べよ、って。

 「ねぇ、ここなんてどう? 凄い眺めだよ~~。 ずーーっと下の方に川が流れてて、滝があって……シャワシャワ~~って音が心地いいよね~~」

 「ほんと~~、凄い眺めだね~~。 こんな景色を一人、いや、二人占めなんて、何だか贅沢な気分になれるよ。 でも……」

 まるで何事も無かったかのように、あっけらかんと私の選んだ場所に賛成してくれた……よしっ!!

 「でも? どうしたの? ひむちゃん」

 「私は平気だけど、ひいちゃんは高いところ、大丈夫なの?」

 あっ! ホントの事を言うと、高い所はちょっと……私、顔に出ちゃってたのかな?!

 「ちょっとだけ怖いかな。 でも、普段は観光客がいっぱいいるんでしょ? ここで食べられるチャンスなんて、もう二度と無いかもって」

 こんな最高の眺めを、ひむちゃんと二人占めできるんだから、そんな怖さ、大したことないない。

 「あ~~、そう言われるとそうだね。 じゃぁ、ここで決まりだね!」

 そう言うと、ひむちゃんはリュックを背中から降ろして、レジャーシートを敷き始める。

 私、そこにお邪魔するね。

 「じゃぁ……」

 「「いただきま~~す!」」

本編の第9~10話をベースに書き上げました。


☆今回気を付けた点☆

第三者の言動も、聞き手によって、どのくらい受け取り方に差があるのか、っていうところを。

ひいかは結構、話を端折って聴くタイプだったり。

こういう[キャラの差別化]の方法もありかな、って。


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