表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あのコの一番そばで、私、輝くっ!  作者: そるみ
第4章 もうあのコには追い付けない……

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
37/43

37 あのコの晴れ舞台、やっぱ観たいっ!

いつも読んでいただき、感謝です。

 水曜日……今日はひむちゃんから、家でちかねさんから舞を教わる、って聞いてる。

 今朝、調子はどう? って訊いたら、順番も少しずつ身に付いてきてるし、大きな流れは掴めてきてるかな、って言ってた。

 残された時間がギリギリな中で、こっちは順調にこなしてるみたい。

 この後は土曜日にもう一回練習したら、次の日には皆の前で成果を披露するんだそう。

 皆の前? もう一度訊きなおすと、舞台で他の巫女さんと一緒にガチで舞う、って言うの。

 もう、逃げ道を完全に塞がれてる……やるっきゃない状況に置かれちゃった、って事ね。

 その日は朝早くから巫女さんの一日体験をさせてもらうから、それに集中したい……自分の事だけできっと一杯一杯だから、私を誘えない……独りで行くね、って言われたの。

 ひむちゃんにとっては、色んな意味で[然るべき日]のための予行演習になる、大事な一日のはずだから……私が側にいたら、集中力を削いでしまいかねないよね……。

 その日は神社に近付かないのがベスト、なのかな……。


 そうは思ったものの、ひむちゃんの晴れ舞台なんだから、どうしても私、見たい! って気持ちを抑えきれなくって……金曜日の夜、ママに相談してみたの。

 「ママ、明後日、月宮神社でイベントがあるらしいの。 その日、ひむちゃんが巫女さん一日体験に招待されたんだって。 巫女さんに憧れてて、体験できたらいいなぁ、なんて言ってたら、縁があって凄く喜んでて……」

 超常現象絡みの地雷を踏まないよう、慎重に言葉を選んでいかないと。

 「へぇ~~、ひむかちゃんが巫女体験、ねぇ。 タイミング良く招待されるなんて、やってみたいって願いが天に届いたんじゃない?」

 「うん、今、それに向けて一所懸命準備してるみたい。 ちょっと張り切り過ぎてるんじゃない? って、ひいかが心配になるくらい」

 「準備、ねぇ。 その体験って、どこまでの事をさせてもらえるんだろうね」

 「うーーん……そこまで詳しくは訊いてないけど、舞を披露するんだ、って言ってたわ」

 「あら? 舞を、ねぇ……。 私は巫女の毎日のお勤めに付き添って、眺めるだけだと思ってたわ」

 「あ、朝早くから行くって言ってたから、ずっと巫女さんたちに付きっきりで、そういう事もするんだと思う。 舞のお披露目は確か、午後からだって……浦安舞、って言ってたかな」 

 それを聴いたママ、表情がキリッと引き締まったような気が。

 「浦安舞を……そっかぁ、イベントで、って事だったわね。 ひむかちゃんは初めてなんでしょ? いきなりの大舞台よ。 舞は神様に奉納する神聖なものだから、体験の身であっても中途半端では許されないわ。 練習はどうしてるの?」

 何だか、ママの表情が急に険しくなっちゃったよ……私の説明の仕方、何かヤバかった?

 「それはもう必死よ。 それこそ今、巫女さんから教わりながら、動きと順番を身体に覚え込ませるため、寝る間も惜しんで励んでるわ」

 力を込め過ぎて、私の事のように言っちゃった。

 「へぇ、巫女から直接……それは随分特別扱いだわ。 巫女が、全く舞の経験の無い研修生に、そこまで手を掛けるなんて……よっぽど当日の人出が足りてなくて頑張らせたいのか、それとも……ひむかちゃんに素質があるって見込んだのか……」

 あらら……ママに変な疑問を持たれたら、ややこしい事になりそうだわ。

 「あ、あはは。 たまたまそんなタイミングが重なって、ひむちゃんの熱意を意気に感じた巫女さんが、ビビビッってきたんじゃないかな?」

 「うーーん……熱意って凄いエネルギーを生むからねぇ。 ひむかちゃんがどこまで出来るか……つつがなくやり遂げる事を祈るばかりだわ」

 「ひむちゃんはコツコツ努力タイプだから、きっと仕上げられるって、ひいかは信じてるよ」

 「そうね……何事にも真剣に取り組むタイプの子だもんね、ひむかちゃんは。 いい報告を待ってるわ」

 あ、ダメダメ、ここで会話を終わらせちゃったら。

 「それなんだけど……ひむちゃん、自分の事で一杯一杯になるからって、ひいかを誘ってくれなかったから……直接観られないの」

 「そうなの……。 でも、ひむかちゃんの気持ちは分かるわ。 朝早くから、全然知らない世界に飛び込んでいくんだから、ひいかの相手をしてる余裕なんて、とても無いでしょうね」

 「やっぱそうよね……。 でもひいか、ひむちゃんの晴れ舞台なのに、観るのを諦めるなんて、どうしても……」

 するとママ、俯いてる私の顔を、しゃがんで下から優しく見上げるようにして、話し掛けてくれたの。

 「ひいか、今の正直な気持ちを私に聴かせて。 ひいかはひむかちゃんの頑張ってる姿を側で観たい、そうよね?」

 「うん……。 側で観たい。 出来れば、一番側で……」

 「うん。 でも、ひむかちゃんに誘われなかったから、側にいちゃダメだって、思ったのね?」

 「うん……。 ひむちゃんの邪魔になっちゃう訳にはいかないんだもん……」

 「じゃぁ、逆に、ひむかちゃんが誘えないって言った時の気持ちはどう考えたの?」

 「……ひいかの目があったら集中できないから、会いたくないって……」

 「ひいか、いい? 確かにひむかちゃんにはその日、研修に集中させないといけないって思うわ。 でも、ひむかちゃんは決してひいかが来る事自体を拒絶してるんじゃない。 相手できずに寂しい思いをさせてしまうから、それで集中できなくなる、って考えてるんじゃないかな」

 そこでママは一呼吸おいて、 「その言葉は、ひいかへの謝罪の気持ちから出たものじゃないかな?」 って。

 「私が一つ、提案してみよっか。 その日はこっそりと観に行くの。 人混みに紛れるから、きっと気付かれないと思うわ」

 「え、こっそりと? そんなの、ひいか、嫌だよ……」

 「最後まで聞きなさい。 それで次の日、必ずひむかちゃんに、実は昨日、こっそり観に行っちゃったんだ、ごめんなさい! って真っ先に謝るの。 ひむかちゃんはひいかを誘わなかった罪悪感を抱えたままでいるはず。 それを、ひいかも一緒に罪悪感をぶちまける事で相殺するの」

 「罪悪感を、相殺……お互いに謝り合いっ子する、って事?」

 「そう。 そういう提案をした以上、日曜日は私も一緒に行くわ、月宮神社……あそこはずーーっと避けてたんだけどね。 ひいかの為なら」

 「ママ、付いてきてくれるの?! ありがとう!! ひむちゃんには誘われてないんだから、見付からないようにこっそり、お願いね」

 不思議な事に、結果オーライでママと一緒に行ける事になったよ。

 天の神様が私の願いを聞き遂げてくれたのかな。


 そして、日曜日。

 私は今日だけ、髪をオサゲに……それだけでも印象がガラッと変わるはず……ま、変装みたいなもんね。

 で、ママは……はっ? モスグリーンのワンピ?!

 地味で目立たないかもだけど、初めて見るよそれ……どっから出してきたの?

 いや、それよりも髪型が…… 普段、髪を下ろしてるとこしか見た事ないのに、突然三つ編み?!

 それって変装のつもりなの? 逆に奇抜すぎて目立っちゃうよ。


 ママの恰好に驚かされつつ、家を出発したのはお昼前。

 ひむちゃんのおばさまが[裏口入学]だってからかってた[電車ルート]で月宮神社前駅に着くなり、ママの第一声が、 「懐かしい~~、この駅前通り。 でも、あの頃とあんまり変わってないのね。 時が止まってるみたいだわ」 ……ま、ここに来てたのは独身の頃って話だから、そうなるのかな。

 「こういう所って、不思議といい意味で変わらないんだよね」

 「そういうものね。 神社に来た、って感じがするのがいいの。 だから私はここから入っていくのが好きなのよ」

 ん?  もしかして、あのアップダウンの凄い石段の道が嫌だからって、このルートで来る事を正当化しようとしてる?

 「ま、ひいかも、石畳ってとこが落ち着いた雰囲気を醸し出しててイイって思うよ」

 この前、ひむちゃんとここを歩いた時とは比べ物にならないほど、今日は参拝客でごった返してる。

 浴衣を着た人も多いし、普段着の人も多い……神社のイベント、って詳しくは知らないけど、結構賑わうもんだね。


 神前通りを抜けて鳥居まで来ると、私より先にママがしっかり頭を下げちゃって……。

 「あ~~っ! ママにお辞儀、先越されちゃった~~!!」

 「これはもう、私にとっては条件反射みたいなものね。 ここから神域に入るんだから、挨拶はしっかりするのよ」

 ママ、実は昔、かなり高レベルのお参りマスターだったんじゃ?

 鳥居を抜けた先の左手に、ひむちゃんと私がここに来る時に使ってる参道が見えてる。

 「ママ、その道だよ、ガゼボの先にある三叉路に繋がってる古い参道って」

 「それがそうなのね。 今の家からここに来たのは今回が初めてだから。 実を言うとその道、良く知らないのよね」

 「じゃぁ、帰りはそっちから帰ろうよ。 凄くキツいけど、眺めの良い所があるんだから」

 「あははーー、キツいのはゴメンだわ~~。 ママはこう見えて、もうアラフィフなのよ?」

 「あ~~っ! そういう時だけトシを武器に使うんだから~~!! 若々しい気持ち、捨てちゃダメなんだよ」

 あれっ?! 何で私、茨の道を猛プッシュしてるんだろう。


 更にその先、次の鳥居をくぐった左手に舞台があるんだけど、今はまだ準備中みたいね。

 「ママ、まだ時間ありそうだし、折角だから、お参りしに行こ!」

 「はいはい、分かったわ。 じゃぁ、こっちね」

 ママがずんずん先に進んでいく……最近は私の方が沢山ここに来てるんだよ? 何でマウント取るの? もう。

 でも、ママの参拝の所作を見てると、私よりずーーっとキッチリしてて……びっくり。

 これは相当参拝慣れしてる……おばさまに勝るとも劣らないほどだよ。


 参拝を終えると、ママが、あの海が見える崖の上の休憩所に向かっていったの。

 後ろを付いてくと、おもむろに海の向こうに向かって祈り始めちゃって……。

 「ママ? 海にも祈るの??」

 「何だか、身体が勝手に動くのよね、ここに来ると。 あの頃はこうしてここで祈ってたんだけど……ホントよね、何で私、海に祈ってるんだろうね」

 「いやいや、それを訊いてるのはひいかなの。 変なの」

 「ま、いっか。 そろそろ時間ね。 神楽殿に向かいましょ」

 あの舞台、神楽殿って言うんだ……ママ、何気に私よりここの事、詳しくない?

本編では描かれてない、このスピンオフオリジナルのエピソードを構築しました。


☆今回気を付けた点☆

由美子とひいかが掛け合う場面、ここの描写はかなり苦心しました。

なかなか上手く書きあげられなくて……。

由美子と神社の関係を開示し始めました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ