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あのコの一番そばで、私、輝くっ!  作者: そるみ
第4章 もうあのコには追い付けない……

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36 あのコに内緒で、裏工作開始

いつも読んでいただき、感謝です。

 今、絵日記帳は私の手元にある……その夜、ずっと気になってる箇所を私なりに考えてみたくて……。

 ひむちゃんによって、今では見開き9ページ分、考察欄は文字でビッシリ埋め尽くされてる。

 その中の、あの手紙の内容が書かれてる[5ページ目の考察欄]を、もう一度読んでみたの。

 ーー愛しい貴女っていう表現から、書いた人は読むであろう人=目にする事ができる唯一の人=ひむちゃんをよく知ってて、好意的な感情を持ってるって事が分かる。

 今まで色んな困難な事を乗り越えてきたと思うし、周りの色んな人に支えられて島に辿り着いたとも思う。

 そこからの[現世の貴女]なのよねぇ……この手紙が書かれたのは過去のはずだから、[未来の貴女]の方が自然じゃない?

 しかも、今のじゃなくて現世の、だもんなぁ……で、もっと分からなくしてるのが、[貴女]。

 [現世の貴女]の姿を、しっかりと目に焼き付けるのが[貴女]……うーーん……この二人は別々の人物を指してる、って考えられるんだろうけど……。

 ひむちゃんの立ち振る舞いが上出来だったから、この手紙を読むところまで辿り着けた……[現世の貴女]っていうのは、ひむちゃんで間違いない、って思うの。

 だから、カヌーに遺されてた衣装を身に付けるのも、カヌーで島へ渡るのも、然るべき時に然るべき場所で然るべき衣装で然るべき所作をもって手紙の主を呼び出すのも、ひむちゃんの仕事だ、って言えると思うんだけど……論破するのは[貴女]で、ひむちゃんじゃない……長森島はひむちゃんにしか見えないし、立ち入れないのに。

 じゃぁ、ひむちゃんじゃない[貴女]って、一体誰で、どうやって島に立ち入るの??

 この[貴女]を、ひむちゃんはどう考察してるのかな……。


 日曜日、私は独りで棗海岸に向かったの。

 そこで、お目当てのみづるさんの姿を見付けたんだけど、練習で忙しそうで……手が空くまでの間、おばさまがこの前座ってたベンチから、その様子を眺める事にしたの。

 6月も後半に入ったけど、今年は梅雨入りが遅れてるせいで、そこまで暑くないし、海風も心地いい……ホント、良い季節よね。

 水筒に入れてきたお茶を飲みながら、海の向こうに、イラストに描かれた長森島の姿を想像してみる……ひむちゃんは[然るべき日]に、あそこに行っちゃうのね……。

 そこで手紙の主を呼び出して……一体どんな展開に巻き込まれちゃうんだろう……。

 それまでに私、ひむちゃんのために一体何がしてあげられるかな……。


・・・・・・


 どのくらい経ったんだろう……ふいに耳元に女の人の声が聞こえてきたの。

 「あらら、こんな所で寝ちゃって……。 悪いけど起こすわよ。 貴女はたしか……ひむかのお友達よね? ここでずーーっと座ってたのが気になって気になって……もしかして、私に用事だったの?」

 ついつい、うとうとしてたみたい、私。

 顔を上げると、すぐ目の前にみづるさんが立ってるじゃない。

 「あっ! す、すいませーーんっ!! はい、みづるさんに相談があって来たんです。 何時の間にかこっくりしちゃってました。 あ、私、ひむちゃんの友達のひいかです」

 あたふたしちゃって、話す順番がぐちゃぐちゃになっちゃったよ。

 「そうだったわ、ひいかね。 凄く長く待たせてしまって、悪い事しちゃったわ。 相談があるのなら、一声掛けてくれれば良かったのに」

 「いえ、ひいかの用事のせいで、練習の邪魔をしちゃいけないですから」

 「気を遣ってくれたんだね、ありがとう。 それで、私に相談って?」

 「はい、実は、ひむちゃんの事なんです。 ひいかの口から先に言っちゃうのも変なんですけど、ひむちゃん、あのイラストの島に渡るのに成功したんです」

 「そうなの! それは良かったわ!! 一所懸命に練習してたし、結構筋が良かったから、上達が早かったのよね。 私も自分の事のように嬉しいわ」

 「ひむちゃん、頑張り屋さんだもん。 ただ、その時は島でやるべき事が身に付いてないって気付いて、また日を改めて行く事にしたみたいなんだけど、それが今月の最後の土曜日なんです。 そこでみづるさんにその日の朝、都合がつきそうなら是非、月宮神社に来てほしいんです」

 「神社に? 私が??」

 「はい。 ひむちゃんがそこから島へ出発しちゃう前に励ましてあげたくて……あ、無理なお願い、ですよね……ダメなら……」

 「ううん、その日の朝なら、私、都合がつけられると思う。 ひむかはもう、可愛い弟子だからね、私も出発前に元気付けてあげたいわ。 電車で行けば、ここからなら一本で行けるし、問題無いでしょ」

 「ありがとうございます! よろしくお願いしますっ!!」


 ここ最近のひむちゃん、疲れが露骨に顔に出てる感じで……ひむちゃんを挟んで向こう隣に座ってる、委員長の俊明君も心配して、 「最近、ちゃんと眠れてるのか?」 って訊いたりしてる。

 体育では、バスケのボールを顔面キャッチして、顔を真っ赤っかにしちゃったし、数学の授業ではこっくりこっくりして、机にガーーンってぶつけて、額を真っ赤っかにしちゃったし……。

 で、現代文の授業では、カミカミしまくって……ひむちゃんの無残な姿、見るのが辛過ぎて。

 そんな事を回想してると、きゆりちゃんが、ひむちゃんに気付かれないように、私にこっそり話し掛けてきたの。

 「おい、ひいか……何だか最近、ひむか、無理してないか?」

 きゆりちゃんは、ひむちゃんが超常現象に巻き込まれてるって事、知ってるから、ある程度本当の事をコクっても良いよね。

 「うん。 来週の土曜日に例の島に渡るための準備で今、色んな事を同時進行でやってて、寝不足なんじゃないかなって。 授業にも全然身が入ってないみたいだし……」

 「この前、ひむかを登山に誘ったのも少なからず影響してる、って事だな。 こりゃ、しくじったか……」

 「ううん、それは逆だよ。 ひむちゃん、きゆりちゃんと一緒に登山した事で、どんくさくっても頑張れば出来るようになるんだな、って自信が持てたみたいだよ。 そんな感じで、他にもこなさなきゃダメな事が色々あって……」

 「ひむかは真面目だからな、全部をやりきらないと、って気持ちが強過ぎるんだ。 正直言うとあの時、短期間でここまで身体能力が伸びてるなんて思いもしなかったからな。 大したもんだよ」

 「ここ最近、秘めた力みたいなのがどんどん開花していってて、ひむちゃんを側で見てると、ひいかだけ置いてきぼりにされてるような気持ちになる事もあるの」

 「いやいや、ひいかもその気になれば成長できるさ。 そんな刺激を受けまくってる環境にいるんだからな。 自分では気付いてないうちに成長してる、なんて事もあるかもだぞ」

 「ひいかはまだまだ……今はひむちゃんの力になれる事を探すのに必死だよ。 あ、それで、きゆりちゃんにお願いしたい事があるんだけど……聴いてくれるかな」

 「おお、ひいかが私になんて珍しいな。 で、どんな願いなんだ?」

 「うん。 来週の土曜日の朝、もし時間の都合がつきそうだったら、月宮神社に来てほしいな、って。 ひむちゃんがそこから島へ出発する前に、背中を猛プッシュしたくて」

 「来週の土曜日って言えば……たしか、古河町の記念日で学校が休みになる日だよな。 山岳部は休みじゃないけど、行き先が月宮神社なら、例の参道がトレーニングコースになるからな。 よしっ、ひむかの為だ! 一肌脱ごうじゃないか!!」

 「あのそそり立つ石段がトレーニングコース……あはは」

 アレをトレーニングに結び付けるの、きゆりちゃんくらいだよ……。

 「それと、ひいか、今の今までその日が学校、休みになるって事、忘れてたよ。 それだったら、一日専念できるね。 きゆりちゃん、お願い聴いてくれてありがとう」

 「いやいや、私も例の山をひむかに完璧に登り切ってほしいからな。 背中を押してやろうぜ、一緒に」

 「うん!! あと、きゆりちゃん、今の話、ひむちゃんには内緒にしといてほしいの。 サプライズでやった方が効果的かな、って思うから」

 「ああ、なるほどな。 ひいかは策士だな。 了解、私もそのサプライズに乗っかろうじゃないか」

 これで、ひむちゃんの旅立ちを少しでも勇気付ける事ができればいいなぁ……。

本編では描かれてない、このスピンオフオリジナルのエピソードを構築しました。


☆今回気を付けた点☆

ひいかが手紙を解読するシーンは、解明に辿り着くためのピースが欠けてるにも拘わらず、勘の良さで、近いところまで考察させました。

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