24 あのコと一緒に、誕生日を祝い合うの[5]
いつも読んでいただき、感謝です。
「あらあら、二人の絆が深まるところを目撃しちゃったわね、私。 夢のお告げを叶えてくれてるみたいね、神様が」
私が浮かれてる隙に、ママがとんでもない事を……本人に向かって、するの? あの話!
「えっ?! ママ?! その話は……」
「こうして、ひむかちゃんが初めて家に遊びに来てくれたんだから、あの話、聴いてもらうタイミングなんじゃないかな、って、私は思うの」
私がひむちゃんと仲良くなるきっかけを作ってくれた、ひむちゃんには内緒の話……。
「ほ、ほんとに話すの? ……ママがそう思うのなら仕方ない、か。 ひいかの心の中を覗かれるみたいで恥ずかしいんだけどなぁ」
「おばさま、私、その話、ほんとに聴いてもいいのかな?」
私の微妙な反応を観て察してくれたみたい。
ひむちゃんが遠慮がちにママに尋ねてくれたんだけど、ママの決意は固いみたい。
「ここで話さないといけないよって、心が訴え掛けてるような気がするの。 聴いてくれる?」
「実は、ひいかは予定より1週間早く生まれたの。 早産ね。 それだけならよくある話だろうけど、不思議なのは、その前日、夢に見た事なの。 本来なら予定日に生まれるはずの娘さんを、私の都合で早産をお願いする事になって、申し訳ない気持ちでいっぱいです。 どうぞ、許してください、って」
この話は双子ちゃんのお誕生日会があった夜、ママから聴いたばかり。
一言一句、あの時と同じ語り口で……今度は”運命の女の子”を目の前にして、ママは語り掛けてる。
「ちょ、ちょっと待ってください……もう、理解が追い付かなくて……。 私の都合、って、声の主は一体誰なんですか?」
あはは、ひむちゃん、あの日の私と同じような反応してる。 ちょっと嬉しい。
この前はサラッと聴き流しちゃったけど、ママの夢の中とは言え、誕生日を早めますよ、なんて……これもかなりオカルトチックな話よねぇ。
「姿形は登場せず、声だけだったから、誰かは分からないの。 でも、落ち着いた感じの女性の声だった。 私ですら、生まれてくるのが男の子か女の子か知らないのに、娘さんと言い当てたのにも驚いたんだけど……ここからが本題なの。 生まれて何年か後に、娘さんにとって、かけがえのない存在になる運命の女の子が声を掛けてくる事になります。 その子を見分ける方法は、誕生日。 娘さんより数日遅いのです、って」
声の主は女性、かぁ……生まれを司る女神様みたいなのも、いたりするのかなぁ。
「当時は変な夢だったなって、心の奥底にしまいこんだんだけど、ひいかが小学校に入学した日、後ろの席の女の子に話し掛けられたって聞いて、詳しく尋ねたの。 名前が一文字違いで、お互いに平仮名で……」
うんうん、あの日の事、今でも隅々まで覚えてるよ。
あの日、ひむちゃんが私の髪留めを褒めてくれて、それがきっかけだった……私とひむちゃんの、大切な出会いの想い出。
「そう聞いた時、夢を思い出し、ひいかに夢の内容を話してから、次の日、彼女の誕生日を訊いてくるように言ったの」
「そう言えば、誕生日を訊かれて、凄く近いね、って話をした記憶、あるよ」
ひむちゃんにとっても、私との出会いが記憶に残る想い出に? 嬉しい。
「ひいかが帰ってきて、ひむかちゃんの誕生日を聞いた時、きっと”運命の女の子”だから、姉妹のように仲良くしなさい、って言ったの。 ま、そこまで夢を妄信するのも変だとは、内心では思ったんだけどね」
夢を妄信、かぁ……確かに変だったかもだけど、ママがそうしてなかったら、今までのひむちゃんとの想い出が全部無かった事になっちゃうんだよね……妄信も時にはアリなのかもね。
「なるほど……って事は、ひいちゃんとここまで仲良くなれたのは、夢のお告げのお陰、って事になるんじゃないかな。 私、感謝しないと」
夢のお告げの女神様に感謝だよ、私も。
ひむちゃん、隣で手を合わせてる……私もどの女神様かが分かったら、毎日手を合わせたいなぁ。
「うん。 ひいかはあの日から、ずっとひむちゃんの事、大切に思ってるんだよ。 夢のお告げの話、今も信じてるもん」
だから、ひむちゃんがどんな事に巻き込まれても、側に居られる私でいたい。
でもそれには……ママが前に言ってたなぁ……姉のように広い心で、妹のように慕う心で、って。
私にはまだまだ足りないや。
「でもでも、出産の予定日を早めました、なんて、夢のお告げとはいえ……やっぱ、神様っているのかなぁ」
最近、何かと夢のような話に関わる機会が多くなったよね。
本音を言うと、これ以上、オカルトチックな話は止めて欲しいんだけど。
この夢の話……女神様の声が聞こえたのって、もしかしたら、ママが結婚前に神社に行ってた事と関係してたりするのかなぁ。
楽しい時間ってホント、あっという間に過ぎてくよね~~。
何時の間にか、お腹がはちきれそうになってるし、お喋りネタは無くなっちゃったし。
みんな幸せ気分に浸って、一息ついてるところで、ひむちゃんがリュックをゴソゴソしだしたの。
もしかして、誕生日プレゼントを用意してくれてたの?!
リュックから顔を出したのは、可愛いピンクリボンでラッピングされてる四角い包み紙。
ほとんど厚みが無いけど……中身は一体何なんだろう。
「ひいちゃん、誕生日の記念に、これを受け取って。 今の私の精一杯をぶつけてみたの」
「えっ?! な、何が入ってるのかな? ここで開けてみてもいい?」
精一杯をぶつけたって事は、手作りの何かだよね。
包みを開ける手がプルプル震えてる……。
「わぁ~~。 これ、ひむちゃんとひいかのツーショット似顔絵色紙? 嬉しい! ありがとう!! それにしても絵、上手くなったよね」
自分の苦手だったものを、敢えてプレゼントに選ぶなんて……私は知ってるから、上手くなっていってるの、絶対家で練習してるはずだ、って。
上手いとか下手とかじゃないの、こういうのって。
ありのままの、等身大のひむちゃんが、私だけのために……それだけでもう、嬉し涙が……。
「ひ、ひいちゃん?! そんなに喜んでくれるなんて、良かった~~。 絵、ダメ出しされたらどうしようって、朝からずっとドキドキしてたの」
こんな気持ちの籠ったプレゼント、ダメ出しなんて出来っこないよぉ。
「額に入れて、ひいかの部屋にこの色紙、大切に飾るよ、ずーーーーっと」
「も~~ぉ、それって、永遠に残るって事になるんだから……恥ずかしいよぉ~~。 でも、嬉しいな」
幸せ気分に浸ってるうちに、更に時間が経って……ふと時計を見ると、お誕生日会が始まってから4時間が過ぎてて、びっくり。
窓の外に見える空も真っ赤っ赤……そろそろお別れの時間だよね……。
「今日はお招きいただいて、最高の思い出になりました。 おばさま、沢山のお料理と、楽しいお喋り、ありがとうございました」
「いえいえ、こちらこそ、ひいか共々、凄く楽しい時間を過ごせたわ。 また是非、遊びに来てね」
ママからは凄く出し切った感を感じる……私たちと一緒に楽しんでくれてたもんね。
「ひいかも最高の想い出とプレゼントを貰えて、今日は良い夢見れそうだよ。 何かお告げが聞けるかなぁ」
私にも神様、降りて来ないかなぁ。
あっ、出来れば、オカルト的じゃないの、希望で~~す。
「あはは。 良い夢が見れるように祈ってるよ。 じゃぁ、そろそろ帰るね」
「はい。 気を付けて家まで帰ってね。 じゃぁ、まだ早いけど、おやすみなさい」
「はい、おやすみなさい、おばさま、ひいちゃん」
ひむちゃんの後ろ姿が遠ざかっていく……もっと一緒にいたかったけど、これ以上の高望みはダメだよね……女神様。
本編の第37~38話をベースに書き上げました。
☆今回気を付けた点☆
ここで、第1話と第4話のエピソードがリフレインされます。
どうでしょうか? 当初と今とでは、読む印象が変わったでしょうか??




