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あのコの一番そばで、私、輝くっ!  作者: そるみ
第3章 少しずつ離されていく……あのコとの距離感

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21 あのコと一緒に、誕生日を祝い合うの[2]

いつも読んでいただき、感謝です。

 結局、巫女さんたちの舞が終わるまで、ひむちゃんを引き剝がせなかった……。

 ここでやっておきたい事があるから、ちょっと強引に、 「お参りに行こ~よ~~!」 って、ひむちゃんの手を引っ張って、急かしちゃった……ごめんっ!

 「わわ、分かったよぉ~~」

 名残惜しい気持ち、凄く分かるんだけど……今日は私に免じて、お願いっ、許してっ!


 参道の両側に立ち並ぶウサギの像たち……この最強のひむちゃん誘惑ポイントも、手を引っ張る力、フルパワーで乗り越えて、手水舎へ……。

 まずはここで、おばさまからこの前教わった事を思い出して、両手と口を清めて……それから、本殿で参拝する、っと。

 神様に挨拶してからだよね、私がやりたいって思ってる事をするの。

 ひむちゃん、観念したのか、私のペースに付き合ってくれてる……心の中で怒ってないかなぁ。

 今日は私、誕生日を機に色んな事に積極的に頑張るから見守ってて下さい、って誓って、パパが一日も早く帰ってきますように、ってお願いするの。

 ホントは違うお願いを用意してたんだけど……パパに電話で約束した事だしね、変えちゃった。

 あと、こっそりもう一つ……ダメ?

 「お願い、聴いてくれるかな、神様」

 「心から願えば聴いてくれるよ、きっと。 日頃の感謝も忘れずに伝えないとね」

 ひむちゃんも、ごにょごにょ、何かお願いしてる……お互い、叶えてもらえるといいね。


 ここからは私のターン……この前、ひむちゃんがカヌーが見えたって言ってた、崖の上にあるベンチへと向かったの。

 ひむちゃんはベンチから立って、柵から少し身を乗り出し、崖の下を覗き込んだんだけど…… 「結局、あの舟には近付けないのかなぁ。 降りる道が見付からないし」 って、呟いてる……凄く残念そう。

 って事は、ひむちゃんには同じ場所にまだカヌーが泊まってるのが見えてる、って事だよね?

 で、近付きたい! って思ってるんだよね?

 よしっ! その為に今日、ここに一緒に来たんだから。

 私、ちょっとしたアイデア、考えてきたんだ~~。

 「折角、目の前にしてるもんね。 例えば、この前お会いした宮司さんに相談してみるとかって、どうかな? 不思議なものが見える、なんて言っても、相手にしてもらえないかもだけど……イチかバチか」

 「う~~ん……普通に考えたら変な話だもんなぁ。 しかも、宮司さんとは、この前一度会っただけだし……こんな突拍子もない話なんて、聴いてくれないよ、きっと」

 あれっ?! 大胆な時はとことん大胆なのに、どうしたんだろう、ひむちゃん……何だか弱気だなぁ。

 よしっ! ここは私が背中をドーーンと押してあげなくちゃ!!

 「ま、相手にされなかったら諦めるまでだよ。 まずは当たって砕けろ、ってね。 声、掛けてみようよ」

 あれっ? 私、縁起でもない事言っちゃった、あはは。

 そう言って、社務所に足を向けようとしたところに、偶然、宮司さんがこっちに向かってきてるじゃない! ラッキー!!

 ほらほら、ひむちゃんの出番だよーー。

 「早速、神様がチャンスをくれたのかもよ。 声掛けてみて、ひむちゃん」

 「う、うん。 ……あのぉ……すいません、宮司さん」

 「お早うございます。 おや、貴女は明美さんの娘さんのひむかさん、ですね」

 「えっ?! 私の顔と名前を覚えてくださってたんですね。 ちょっとびっくりしました」

 ま、この前会ったばっかだし、おばさま関係で記憶に結び付いてるだろうから……宮司さんとおばさま、深い関わり合いがありそうだもん。

 「はい、しっかり覚えていますよ。 お隣の彼女は、先日ご一緒されていたのは覚えているのですが、まだお名前をお伺いしていませんでしたね」

 それに比べて、私の印象ってそんなもんだったり……あはは。

 「はい。 ひいかです。 ひむちゃんとは高校の同級生です。 よろしくお願いします」

 宮司さんの丁寧語が変に伝染して、素っ気ない自己紹介になったじゃない。

 「なるほど、同級生、ですか。 お名前も似ているんですね。 お二方とも、当神社へようこそお参りくださいました。 それで……私にお声掛けされたのは?」

 お願い、ひむちゃん、上手くやって!!

 「あ、はい。 あまりに突拍子もない事なので、信じてもらえるか……そこの崖の下にある平らな岩の上に、カヌーが泊まってるのが見えるんです。 でも、それが私にしか見えなくて……」

 「ほぅ、ひむかさんにだけ見えるカヌー、ですか。 平らな岩とは、何処の事を指すのでしょう」

 まずは話だけでも聴いてくれそう……懐が深い人で良かったぁ。

 二人で、宮司さんをさっきの場所に連れて行くと、そこで、 「あの下の平らな岩です」 って、ひむちゃんが指さし、宮司さんがその先を覗き込むんだけど…… 「うむ……カヌーですか……私には全く見えませんね……」 っていう反応。

 宮司さんも私と同じ星の人だった……何だかホッとするけど、このままだと話、終わっちゃうよね?!

 どうやって話を繋ごう……ってあたふたしてたら宮司さん、興味を持ってくれたみたいで、 「それでは、ひむかさんには一体どんな風に見えているのでしょうか」 って、ひむちゃんに尋ねてくれたの。

 首の皮一枚繋がったぁ……この流れを切らずにいかないと!

 私はすかさず、リュックから絵日記帳を取り出して、 「ひむちゃんはカヌー以外にも、他の人に見えないものが幾つか見えるらしいんです」 って言いながらページをめくって、大アピール。

 この前、ひむちゃんが絵日記帳を見せて活用してたから、今度は私がカヌーのイラストを……って思って、ペラペラとめくろうとした瞬間、最初のほつきさんのページで宮司さんが大反応したの。

 「こ、これは……これが見える、って言うんですか?!」

 ど、どうしたの? 冷静な宮司さんがここまで驚くなんて。

 私が見せたいの、このページじゃないのに。

 「はい。 今も右肩の上に乗ってて、薄だいだい色に光ってます」

 ひむちゃんの方が冷静に受け答えしてるの、笑える。

 「……すいません、手を止めさせてしまいました。 他のも見せてもらえますか」

 残りの3つの超常現象も、宮司さんに見てもらったの。

 「”ウサギのぬいぐるみ”のイラストは、当神社に鎮座まします”撫でウサギ”にそっくりですね。 関連性は分かり兼ねますが。 カヌーはよくは分かりませんが、最後の……山、ですか? 棗海岸で見掛けた、と……これは他のものとはスケールが桁違いですね。 先ほどは取り乱しましたが、最初に見せていただいた星形のもの、これについては、私に少し心当たりがあります、が……」

 「私はこの子にほつきって名付けたんですけど……何かご存じなんですか?」

 「はい……とは申しましたが、到底信じられるものではありません。 心当たりがあるのは、私がこの神社の宮司をしており、先祖代々の秘文書を受け継いでいるからなのです」

 「ひぶん、しょ?」

 ひむちゃん、ぽかんとしてる……そりゃそうよね。

 ひむちゃんと秘文書なんて、どう間違ったって結び付かないもん。

 「秘文書なので、世に広まる事はありません。 ただ、ひむかさんがそのような事情を知らないにもかかわらず、秘文書にある通りに言い当てたという事は……」

 ひむちゃんが極秘のはずのものを言い当てる……宮司さんからすると、怪現象でしかないよね。

 「本来は当然、口外できる事柄ではないのですが……直面している本人には知る権利があるでしょう。 絶対口外しない、と約束できますか?」

 宮司さん、刺さりそうなくらい厳し~~い視線をひむちゃんに向けてる……。

 「はい。 ここで聞いた話は口外しません」

 ひむちゃん、固まってるよ……ま、そう答えるしかないよね。

 「分かりました。 ひいかさんも、約束できるなら隣で聞く事を許しましょう」

 あれっ?! 私、当事者じゃないのに、聞いていいの?! これは乗っかれ、って事だよね。

 私も、その目力に貫かれそう……有無を言わせない強烈ビームだもん。

 「はい。 必ず守ります」

 「分かりました。 では……この星形の存在について記されているのは、当神社が保管する、門外不出の秘文書の中であり、その正体は……」

 ごくり。 そこで溜めないでよ……。

 「いにしえの時代に用いられたと伝わる、”五芒転生の秘術”によるものなのです」

本編の第35話をベースに書き上げました。


☆今回気を付けた点☆

本編では[ほつき]の正体解明への第一歩になるエピソードなのですが、ひいかにとっては訳の分からないオカルト話でしかありません。

次話にかけて、その辺りを強調して執筆したいと思ってます。

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