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あのコの一番そばで、私、輝くっ!  作者: そるみ
第3章 少しずつ離されていく……あのコとの距離感

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18 あのコが消えた仕組み、解明!

いつも読んでいただき、感謝です。

 空が紅く染まり始めた頃、ガゼボに戻ってきたの。

 朝、ここでひむちゃんたちと待ち合わせて、きゆりちゃんと出会ったって話を聞いたのが、もう何日も前みたいな……そんな錯覚が起こるくらい、一日を長く感じてるみたい。

 棗温泉駅で電車に乗ってからここまで、みんな一言も口を利かなかった……私もそうだけど、きっとあの出来事が頭の中をグルグルしてるんだと思う。

 モヤモヤした気持ちのまま、家に帰るなんて、出来っこない。

 「ねぇ、おばさま、ひむちゃん、さっきの温泉での出来事、ここで思い返してもいいかな?」

 「ひいかちゃん、家に帰る時間は大丈夫なの? だいぶ遅くなっちゃったけど」

 おばさまは私の事を心配してくれるけど、私以上にモヤモヤしてるはずだもん、そんなの、どうにでもなるよ。

 「あっ、それは心配ないです、おばさま。 ひいかの家、ここから5分だから」

 「家、すぐ近くだったの……なら、少し時間を取って、話をまとめましょ。 ねぇ、ひむか、お母さんにも詳しくあの出来事を教えて」

 まずはひむちゃんから、もっと詳しく話を聴かないと始まらないよね……だいぶ時間置いたから、少し落ち着いたみたいだし。

 ベンチに座って、話し合い、始めっ!

 「うん。 ほつきを肩に乗せたまま、着てたものを全部脱いだ瞬間、ひいちゃんが大声をあげたの。 何処に行ったの、って。 いや、目の前にいるのに、何言ってるの? って私が思った時、ひいちゃんが腕をぶんぶん振り回し始めたんだけど、私の身体をすり抜けて……」

 えっと……私が大声をあげたのって、浴衣を着終わった後だったから……いやいや、絶対いなかったよ、目の前に。

 でも、ひむちゃんはそこにいて……私の様子を観てた……。

 「えっ? あの時、ひむちゃん、目の前にいたの? だって、パッていなくなったんだよ、一瞬で」

 「でもでも、私にはひいちゃんが見えてたの! で、ひいちゃんを落ち着かせようと、抱え込もうとしたら、今度は私の腕がひいちゃんの身体をすり抜けて……」

 ひむちゃんがいないんだから、私の腕が空振ったのは当然だと思うけど、ひむちゃんには私が見えてたんだよね? なら、ハグが空振るのって、変じゃない??

 「ひいか、ハグの気配すら感じなかったよ」

 「ひいちゃんが更衣室を飛び出していった後、ふと、ほつきの重みを肩に感じたの。 で、触ろうとしたら、触れたの」

 その後もずっと、ひむちゃんはそこに立ち尽くしてたって事なの?!

 それって、まるで透明人間じゃない!!

 その時、 「えっ?! 超常現象に触れた、って事?」 って、今度はおばさまが凄く驚いてる。

 あれっ? 私、考え事に集中しすぎて、大切な事、聴き損ねちゃったみたい。

 触れないもの、って思い込んでたほつきさんに触れたの?!

 透明人間になったひむちゃんと、触れるようになったほつきさん……私をハグできなかった……私の頭の中、パンクしちゃいそう。

 「うん。 でもその後、浴衣を着たら今度は重みを感じなくなって……触ろうとしたら、また触れなくなってたの」

 私がいっぱいいっぱいになってるところで、おばさまが冷静に、 「今までの話だと、ひむかがほつきを肩に乗せたまま服を脱いだ、っていうのが引き金になってるんじゃないかな?」 って分析してくれたの。

 ほつきさんが今回の事件に絡んでる可能性、十分にあるよね。

 あの時、大きな動きをしたのも、ひむちゃんの気を引きたかったんじゃ……。

 「ひいかもそう思います。 たしか着替える時、ひむちゃんはほつきさんの前だと恥ずかしい、みたいな事言ってたから……きっと今回が初めてだったんだよね」

 「うん。 今までそうならないように避けてたから。 家のお風呂でも」

 って事は、いつもは風呂に入る時、ほつきさんは側にいなかった、と。

 「で、その状態の時、ひいかちゃんからはひむかが見えなくなったけど、ひむかからはひいかちゃんは見えてた、と」

 ん? おばさまが話をまとめてくれそうだよ?

 問いかけに私たちが頷くと、更に、 「しかも、ひいかちゃんからは、ひむかに触れなくなり、声が聞こえなくなった、と。 ひむかからは、ひいかちゃんの声は聞こえるけど、同じく触れなくなった、って事ね」 って尋ねられて、もう一度二人で頷いたの。

 「って事は……どう考えたらいいのかな」

 おばさまが私の意見を求めてる……しっかり考えなきゃ。

 透明になったひむちゃんは、見えない、触れない、聞こえない……ん? これって……。

 「もしかすると……他の超常現象と同じように、今度はひむちゃん自身が超常現象化したんじゃないかな……って。 意味分かんない事、言ってるかもだけど」

 すると、おばさまは、 「うーーん……確かに……その考察、的を射てるかもしれないね」 って、私の考えを受け入れてくれたの。

 ひむちゃん、言ってたよね、あの状態だった時、ほつきさんに触れたって。

 だったら……。

 「おばさま! 一つ試してみたい事が思い浮かびました。 ひむちゃんの家にあるウサギのぬいぐるみを触れるのかどうか……ほつきさんに触れたんだったら、もしかしたら、超常現象化したひむちゃんなら触れるんじゃないかな、って。 今からそれを確かめに、おうちにお邪魔してもいいですか?」

 「そうね。 ここまで話が煮詰まってきたんだったら、検証してみる価値は十分にあるわね」


 家に着くなり、ひむちゃんと勉強部屋にまっしぐら。

 ほつきさんを肩に乗せたまま、服を脱いでもらうと……その瞬間、本当に私の目の前からひむちゃんが消えた!!

 再現性があるのね、この現象……って事は、偶然じゃないって事ね……なんて考えてると、独りでにリビングへの扉が開いてびっくり!!

 もしかして、ひむちゃんが開けたのかな。


 しばらく待ってると、目の前に下着姿のひむちゃんが現れて……何だか、夢を見てるみたい。

 ひむちゃんがしっかり服を着込んだところで、おばさまが部屋に入ってきたの。

 おばさまが、 「どうだったの?」 ってひむちゃんに尋ねると、 「うん! ひいちゃんが考えた通り、お母さんの書斎にあったウサギのぬいぐるみに触れたよ。 凄くふわふわしてて、手触りが良くて……。 で、今、ここに持ってきたよ。 持ち運びもOKみたい」 って。

 凄く興奮してるよ、ひむちゃん。

 でも、それ以上に私も興奮してるの、実は。

 「凄い! 大発見のお手伝いができて、ひいか、嬉しいよ」

 「ひいかちゃんの考察、凄かったよ。 ひむかの事を心から思ってくれる親友が側にいてくれて、おばさん、感謝してもしきれないほどよ」

 「おばさま……こちらこそ、です。 もう遅いから、そろそろ帰らないと……。 家で、今日の事をもうちょっと考察してみます。 今日は朝早くからありがとうございました」

 「ひいかちゃんのお陰で、ひむか共々、中身の濃い一日にできたよ。 ありがとうね」

 そんなやりとりを交わすと、懐中電灯を手に、暗くなりかけてる外に踏み出していったの。

 玄関でずっと、おばさまとひむちゃんが見送ってくれてる……そんな気配を背中に感じながら。

本編の第33話をベースに書き上げました。


☆今回気を付けた点☆

[ひむかの透明化]っていう、現実からかけ離れたミステリーを、普通の人:ひいかがどう受け止め、対処するのか……その姿を描くのかが全てでした。

その無茶な謎を解決に導いたひいか……ここが彼女にとっての絶頂期になります。

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