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あのコの一番そばで、私、輝くっ!  作者: そるみ
第3章 少しずつ離されていく……あのコとの距離感

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16 あのコで、スイカ割りみたく遊んじゃった

いつも読んでいただき、感謝です。

 島……あまりにも大きすぎて、頭の中がザワついてる……思考回路がショートしそう……でも、考えなきゃ。

 「とにかく、これで不思議な現象は4つ目だね。 ほつきさん、ウサギのぬいぐるみ、舟、そして、島。 共通点なんてあるの、これ」

 「舟と島って、もしかすると、舟を使って島へ渡る、とか?」

 おばさまの言う通り、そこは結び付きそうだけど……ひむちゃんが見付けた超常現象って……。 

 「でも、最初の二つは触れないんだよね。 だとすると、舟も島も触れないのかもしれないよ?」

 そう。 どれも実体がないんだよね……。 

 「そっかぁ。 あくまで幻、だもんなぁ。 何が何だか分かんないよ」

 ひむちゃんもそこを突かれると、八方塞がりだよね。

 「この話は今のところ、これ以上は進めないみたいね」

 他に手掛かりをゲットしない限りどうにもならない……おばさまはそう判断したみたい。

 「ところで、私たち、舟を見に来たんだよね、ここに。 そっちを当たってみない?」 って。

 そうよね、おばさまの言う通り、ここはひとまず進みましょ。


 ひむちゃんが、 「イラストに似てる舟、あそこに集まってるけど、その近くにいる人に話を聞きに行ってみようかな、って」 って言うから、指差す先を見てみると……数人で集まって何やら話し合ってるグループが。

 おばさまが、 「そうね。 それがいいかもね」 って言うのを聞いて、ひむちゃんがそっちに歩いていく……かと思ったら、あれ?! すぐ立ち止まって、肩口を気にしだしたよ。

 「ん? ほつき、珍しいね、左肩の方に来たの?」

 あ、そう言えば……ほつきさんって前にも、ひむちゃんがスケッチしようとした時に動きだした事があったの、思い出したよ。

 超常現象のうち、この子だけに動きがある……うーん…。

 「ほつきさん、そっちに動いたの? 普段、あまり動かないの?」

 あまり動いたって話、ひむちゃんから聞かないから、動く事自体、珍しいんだろうね。

 私もひむちゃんの目線の動きを真似てみる……見えないけど。

 「うん、ここ最近は大人しく右肩に乗ってたなぁ。 何だろう、何か伝えようとしてるのかな」

 何か伝えようとしてる、かぁ。

 確かあの時は、意志を持ってるかどうか、ハッキリできなかったんだよね。

 「ん? 今度は左肩から首の下までの間を往復し始めたよ。 これは……分かんないなぁ」

 動きが変化した?!

 それ、絶対、動きで何か伝えようとしてるでしょ!

 意志は持ってるって考えても良さそうね……色々、試してみようかしら。

 ひむちゃんが右に進もうとした瞬間、 「わわわ、さっきより、同じ動きが激しくなったよ。 これは……」 って、慌て出したの。

 右に行こうとしたら、より激しく左半身を往復かぁ……よしっ、推理してみるよ。

 行こうとした方向と反対側でPR、だとしたら……右じゃない、左だよ! って事かな?

 「うーん……ちょっと試しに、左に歩いてみたらどうかな」

 ひむちゃんが左寄りに歩き出すと…… 「わっ、ほつき、その場で回転したよ。 これは……」 だって。

 その場で回転?! 右に行けば左半身を往復、左に行けば回転……難しい……もう少し試させて。

 「もしかすると、そっちの方に行ってほしい、って事だったりして。 そのまま、その方向に歩いたら、どんな反応をする?」

 私の言うとおり、ひむちゃんが左へ歩いていくと、 「えっと、今度は肩から肘の間を往復しだしたよ。 これは……」 っていう反応。

 また新しい動き?! さっきは肩から首、横方向で、今は肩から肘、縦方向……うーん……分かる訳無いよ、そんなの!!

 「そうだなぁ……レッツゴー! って事かな、あはは。 そのまま歩き続けてみる?」

 ほつきさんの反応をひむちゃんから聴いて、当てずっぽうな事ばっかり指示してる私……スイカ割りみたく、ひむちゃんを誘導した結果、スケッチに似てる舟とは違う、大きな舟の前に連れて来ちゃった。

 絶対間違ってるよね、私の指示……変な事、言わなきゃ良かったかな……。


 そこで大きな舟をメンテナンスしてた女性が作業の手を止めて、不思議そうな顔をしながら、私たちに声を掛けてきたの……そりゃ、これだけ怪しい動きをしたらねぇ。

 「こんにちは。 何だかふらふらと、こんな所まで来ちゃって。 興味あるのかな、カッター」

 「あ、あの……私、全く舟の事、分からなくて。 このイラストを見てほしいんですけど」

 ひむちゃん、初対面の相手に、いきなりストレートに聞き込むなんて……時々大胆ね、あはは。

 彼女は明らかに面食らってるみたいだけど、大人の対応で、絵日記帳を覗き込んでくれたよ。

 「どれどれ……オープンデッキで、シングルブレードのパッド……これはカヌーだわ。 ここで訓練してるのを見て描いたの?」

 カヌーなんだね、この舟……重要な情報ゲットだよ、やったね、ひむちゃん!!

 「えっと、ここじゃない所にある舟を見て描いたんですけど、カヌーなんですね、これ」

 「まぁ、間違いなく、カナディアンカヌーだわ。 ねぇ、乗ってみたいの? 今の季節、海風も気持ちいいし、良い汗もかけるわ。 マリンスポーツは爽快よ」

 イラストと同じ舟に乗せてもらえるなんて、出来すぎじゃない?!

 スポーツタオルで、こんがりと日焼けした首筋を拭きながら、彼女は私たちを手招きしてる。

 「えっ?! 乗せてくれるんですか? 楽しそう~~」

 ホント、びっくりするほどラッキーな展開になったね、ひむちゃん!

 「目の前にある舟はカッターっていって、大人数で力を合わせて漕ぐものだから、今回の見学には向いてないわ。 これじゃなくて、向こう側にある、さっきのイラストと同じ、カナディアンカヌーを使うわ。 さぁ、三人とも、あちらへどうぞ」

 イラストの舟、正確にはそう呼ぶのね! 早速、絵日記帳に書き留めとこっと。


 彼女に案内されてカヌーの前に着くと、申し訳なさそうに、 「この舟に四人は、さすがに無理があるわね……ごめんだけど、一人は見学になるわ」 って言われちゃった。

 どうしよう……って考える前に、さっとおばさまが、 「なら、私が見学するよ。 子供たちをどうぞ、よろしくお願いします」 って、私たちに譲ってくれたの。

 「すいません、お母さま。 じゃぁ、二人はあっち側に座ってみて。 私が漕ぐから、何もせず乗るだけ体験、って事で。 あっ、私はみづる。 カッター競技の選手よ。 よろしくね」

 カッター競技の選手?!

 もしかして、当てずっぽうで的外れだったって思ってた私の誘導、意外と大当たりだったりする?

 何だかラッキ〜〜。

 「えっと、私は古河高校1年のひむかで、こっちは同級生のひいかです。 よろしくお願いします、みづるさん!」

 ひむちゃんの挨拶に合わせて、私もしっかり頭を下げてお願い……こういう一期一会の出会いもあるんだね!!


 カヌーの心地良い揺れ、身体の側を抜けるひんやり気持ち良い風、水面を漕ぐ音……我を忘れて浸ってるうちに、いつの間にか元の場所に帰ってきちゃってた。

 「ありがとうございました! 乗り心地も、そよ風も、凄く快適で楽しかったです」

 ひむちゃんも凄く満喫できたみたい。

 「楽しんでくれて良かった。 マリンスポーツに興味を持ってくれて、競技者の私も嬉しいわ」

 そっかぁ、自分の好きな事を、一緒に楽しんでくれる姿を見るのって、嬉しいものなんだね……みづるさんも笑顔……みんなで楽しい思いを共有できるのって、いいよね。

 「あのっ、みづるさん、またここに来てもいいですか?」

 わぁ~~、今日のひむちゃん、凄く積極的……よっぽどカヌーに乗るのが楽しかったのかな?

 「そうね、私の手が空いてる時なら、声を掛けてくれれば付き合えるかもしれないわ」

 で、ひむちゃんのお願いを全部聞いてくれてるみづるさん、素敵な人だよ。

 「今度は、カヌーを漕いでみたいです。 その時はよろしくお願いします。 では、また」

 えっ?! さすがにちょっと強引じゃない? そのお願い……でも、私も出来ればもう一度……ここはひむちゃんの前のめりな勢いに乗っかってみよっと。

 「あの、ひいかもまたカヌーに乗りたいです。 また、よろしくお願いします」

 「うん、分かったわ、二人とも。 またね、ひむか、ひいか」

 すごーい! オッケーしてくれた!!

 ひむちゃんのお陰で、楽しみが一つ増えたよ~~。

本編の第30~32話をベースに書き上げました。


☆今回気を付けた点☆

ひいかがひむかを誘導するシーン、当てずっぽうさを上手く表現できてたでしょうか?

それなのに、シナリオ的にはベストな行動になってる、っていうのがオチです。

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