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あのコの一番そばで、私、輝くっ!  作者: そるみ
第2章 あのコに忍び寄る超常現象

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13/41

13 あのコは何をお願いしてるのかなぁ

いつも読んでいただき、感謝です。

 「ひむか~~、ひいかちゃ~~ん、ごめん、だいぶ遅くなっちゃって」

 おばさま、駆け寄ってくるなり、 「どう? 撫でウサギ、あのイラストに似てたでしょ?」 って、尋ねてきたの。

 「似てた、っていうより、そっくりに見えました。 おばさまはこの神社とか、あのウサギとかに、何か縁があるんですか?」

 「うーーん……縁と言われてもねぇ……確かに昔、この神社に参拝で通ってた事はあったけど、撫でウサギは……思い当たらないよ」

 おばさまの書斎……撫でウサギそっくりなぬいぐるみ……繋がりが見付かったら、謎解きの取っ掛かりにできそうなんだけどなぁ……。

 「そうなんだ……でも、ぬいぐるみが撫でウサギと絶対関係がある、って言い切れないとしても、この神社とは何らかの繋がりがあるんじゃないかなぁ」

 って事で、これからも月宮神社の調査、続けてみる価値あり! よね。

 「そうね。 そこを探るのが今後の課題、ってところね。 ところで二人とも、お参りは済ませたの?」

 そう言えば……ご本殿、素通りしちゃってた。

 「あっ、そう言えば……。 石像に真っすぐ向かっちゃったから……」

 ひむちゃんも、ハッとした表情をしてる。

 「じゃぁ、お母さんがお参りの作法を教えてあげるよ」

 まず、手水舎の前へ。

 「まずここで、手と口を清めるの。 右手で柄杓を持って、こうして……」

 おばさまの動きを真似てみる……ひゃ~~っ! 水がひんやり……手と口のほてりが吹き飛ばされる感じ。

 それからご本殿の前で、お賽銭をチャリーン。

 横からおばさまがガラガラっと鈴を鳴らしてくれた。

 「まずはニ拝。 背筋を伸ばしたままで、お尻を後ろに突き出すようにしながら、腰を90°曲げて……両手は膝まで滑らすの。 そこから少し戻して、もう一度しっかり腰を曲げる」

 あぁ、それ、漫画で観た事ある……天皇陛下を前にした人がしてたのだね!

 あのイメージでゆったり、っと。

 「二拍手は、両手を少しずらすの。 右手の指先が、そうねぇ……左手の第二関節にくるぐらいまで、かな。 で、パンパンって打つ」

 やってみると、音がこだまして聞こえてくるみたい。

 予想以上の大きな音で、自分でびっくりしちゃったよ。

 「そして、願い事を。 日頃の感謝も忘れずに伝えてね」

 ”ひいかです。 ひむちゃんとの楽しい時間、ありがとうございます。 これからもお願いします” って、私はお願いしたんだけど、隣でひむちゃんはギュって目をつむって、何かゴニョゴニョ祈ってる……何をお願いしてるのかな?

 「最後にもう一度、深くお辞儀をするの」

 「はい、二人とも、よく出来ました」

 おばさまに一通り教わったところで、ひむちゃんが、 「あっ、ほつきが今、光った。 何だか良い事がありそうだよ」 って。

 願い事、届けてくれるって事かな? ほつきさん。


 「ちょっと、そこの見晴らしの良いところで、ベンチに座って休まない?」

 おばさまが、くつろげそうなスペースを見付けてくれたみたい。

 三人でベンチに座って、水筒を取り出して……目の前に広がる海を眺めながら水分補給、っと。

 ふと、ひむちゃんが立ち上がると、柵の向こうを眺めに……そっち、危ないよ?

 「ここ、崖になってるから、波しぶきも上がって迫力があって凄いよ」

 波しぶきかぁ……うん、何だか涼しそう~~。

 私もついつい興味を惹かれちゃって、ひむちゃんの隣へ。

 「ホント、大自然、って感じだね」

 二人して崖の下に寄せては返す波を眺めてると、不意にひむちゃんがその方向を指差しながら、 「そこの岩の上に舟があるけど、こんな荒波が立ってたら、さすがに乗れないよね」 って言うの。

 舟? 岩の上?? ……思い切って、柵から少し身を乗り出し気味になって覗いてみたけど、何も見えないよ?

 「……ちょっと、ひむちゃん、舟? どこに泊まってるの?」

 「ほら、崖の下、平らな岩の上に……って、まさか……」

 平らな岩は分かるよ、あれの事だよね? でも……。

 「うん。 ひいかにはそれ、見えないよ」

 「えっ?! あれも不思議な現象の一つ、なのかな……」

 ひむちゃんが茫然と眺めてる視線の先に、私の視線を重ねてみるけど……ダメ、全然見えないや。


 私達のやりとりをベンチに座って聴いてたおばさまが、私の隣に来て崖の下を覗き込んだ後、「私にも舟は見えないな。 それも不思議な現象として、絵日記帳に描いてもらわないと。 私たちにも分かるように」 って、ひむちゃんに言ったの。

 あ! そのアイデア……私の役割、おばさまに先取りされちゃった~~。

 「うん。 でも……ここからだと遠すぎて、あんまり見えないよ。 側に行くのも波が立ってるから危ないし……」

 崖の下のあんな場所、危なくて、とても近付けそうにない……私もそう思うよ。

 「そうね、立入禁止の場所っぽいしね。 せめて双眼鏡のようなものがあればなぁ……そうだ! 宮司さんにお願いしてみようかな」

 おばさま、次々と良いアイデアを思い付いてくれるよ……頼りになるなぁ。


 「ここが宮司さんのいる社務所なんだけど、二人はちょっとここで待っててね。 失礼しまーーす」

 おばさまを待ってる間、ひむちゃんは側にある建物が気になったみたい。

 「あそこって、何する所だろう」

 私、今回が神社、初めてなんだから、そんなの分かんないよぉ。

 「うーーん……何だろう。 何か儀式をする場所、かな」

 そんなやりとりをしてるうちに、おばさまが双眼鏡を手に戻ってきたの。

 「お母さん、この神社に知り合いがいるんだね」

 「昔から知ってるの、この神社の宮司さん……えっと、ここで一番偉い人だけど、凄く良くしてもらってね。 はい、双眼鏡。 ちょっと古いけど、それでも良ければ、って貸してくれたから、これを使ってみて」

 

 さっきの舟が見えた場所まで三人で戻ると、ひむちゃんは双眼鏡片手にスケッチを始めたの。

 3ページ目になるから、要領は分かってくれてるみたいね。

 「うーーん……さっきよりは見えるようになったけど、やっぱ遠すぎて、詳しくは見えないなぁ」

 ま、これだけ離れてたらねぇ……双眼鏡が”無茶ぶりするなよ”って、ボヤいてそう。

 で、ひむちゃんが描き上げたイラスト……見る限り、やっぱボートだよね。

 「で、メモは……」


 ・月宮神社の崖下、平らな岩の上に乗り上げてる。

 ・大きさは5メートルくらい? 船体は木目調。

 ・中に舟を漕ぐための棒がある。 片方の端だけ太い。

 ・服みたいなのも畳まれて置かれてる。


 「こんなところかな。 舟の事、全然知らないから、こんな説明しか付けられないけど」

 5メートルかぁ……距離が離れすぎてて……あの平らな岩と比べると、どのくらいの大きさになるのかなぁ。

 棒はオールの事だよね……片方の端だけ太い……両端とも太くなってるのは、漫画のシーンで見た事あるけど……何が違い、あるのかなぁ。

 「今はこれで精一杯だね。 もっと詳しく書ける機会があるといいなぁ」

 一応、イラストを仕上げてはみたけど、これだけの情報じゃ……今回はクオリティ、低いかなぁ。


 竹箒で社務所の辺りを掃除してる……白衣に、紫色の袴……あの人が宮司さんかな……。

 その人におばさまが双眼鏡をお返しすると、 「ああ、お戻りになられたのですね。 古いもので申し訳ありませんでしたが、双眼鏡はお役に立ちましたでしょうか」 って……言葉遣いが丁寧で、穏やか……心地良さを感じるような。

 「はい、とっても役に立ちました。 ありがとうございました」

 やっぱ、この人が宮司さんなんだね……おばさまに軽く会釈した後、私たちを見て、 「ようこそお参りくださいました。 いいお参りは出来ましたでしょうか」 って、尋ねてきたの。

 「はい、おばさまに作法を教えてもらいながら、しっかりお願い事が出来ました」

 教えてもらったって言うより、真似しまくった、って感じだったんだけどね。

 「私、お参りするのが初めてだったから、全く作法を知らなくて。 お母さんに教えてもらえて良かったよ」

 ひむちゃんも、おばさまの真似するので精一杯だったよね、あはは。

 「お母さん? ああ、貴女が……明美さんの娘さん、ひむかさん、なんですね。 明美さんから話は聞いております。 私はこの神社で宮司を仰せつかっております、あづちと申します」

本編の第27~28話をベースに書き上げました。


☆今回気を付けた点☆

参拝作法の描写がくどいのは、後にこれが重要な意味合いを持った[本編]の名残です。

この[スピンオフ]では、サラッと流して読んでください。

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