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あのコの一番そばで、私、輝くっ!  作者: そるみ
第2章 あのコに忍び寄る超常現象

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12/12

12 あのコのママって、超人なの?!

いつも読んでいただき、感謝です。

 夜が明けるのが待ち遠しくて待ち遠しくて……ワクワクし過ぎて、なかなか寝付けなかったの。

 考えてみたら、ひむちゃんと何処かに行く機会って、滅多に無いんだよね。

 だから今日の私は勝負服……目にも鮮やかな情熱系の赤でまとめたの。

 「ひいか、随分気合いが入ってるのね」 って、ママが目を丸くするほどの。

 外に出てみると、五月晴れ! 風もそよそよ、心地いい~~。

 通学の時に使ってる、待ち合わせ場所のガゼボには、既にひむちゃんとおばさまが待ってくれてた。

 ひむちゃんも、おばさまも、お揃いの白色のワンピースで、何だか清楚な感じ……私、張り切り過ぎちゃった?

 「ひいちゃん、おはよー! わぁ、凄~~い!! お人形さんみたい、可愛い~~」

 良かったぁ~~、私、浮いちゃったかと、とぎまぎしちゃったよ。

 「おはよー、ひむちゃん。 ちょっとおめかし、頑張り過ぎちゃった、あはは」

 「ひいかちゃん、赤、似合ってるわ。 なかなか着こなせない色だから、おばさん、うらやましいわ~~。 見てるだけでエネルギー、貰えちゃう」

 おばさまも褒めてくれて、そわそわも治まってきた……気を遣ってくれたのかな。

 「じゃぁ、出発しましょう。 二人とも、私にきびきび付いてきてね」

 ん? 何だか『きびきび』ってとこ、アクセント付いてなかった?

 もしかして、これはあの登山の時の再現?! しごかないで~~。

 

 「ここを左に曲がるの」 おばさまが指し示す先は、私の知らない道。

 「こっちって……小さい頃からお母さんに散々行くなって注意されてた道……神社に繋がってるんだね」

 ん? ひむちゃんにとっては、禁断の道だったの? でも、ワクワクしてない?

 「ここから先の道は大変よ。 二人とも、覚悟はいいかな?」

 きゃ~~!! やっぱ来た~~!! しごきだよぉ……。

 「お母さん、怖いよ~~」 ひむちゃんもビビってるみたいだけど、まだ私よりマシだよ。

 私なんて、声すら出せなくなっちゃってるんだから。

 小道の両側、桜並木だね……でも、さすがに花は散っちゃった後。

 でも道、思ったほど辛くないよ……おばさんの脅しも大した事無いなぁ。


 小さな白い鳥居の前で、おばさまが立ち止まってお辞儀をしたので、私も真似してみた。

 すると、おばさまが 「さて、ここから本番よ。 二人とも、頑張って付いてくるのよ」 なーんて言うのよ……もう、その手は食わないんだから!

 でも、今度はマジだった……目の前にはそびえ立つ上りの石段……これはヤバい。

 私もひむちゃんも、数十段上ったところで息が切れ切れになってるのに、おばさまは全くペースを落とさず上っていく……異次元のスピードだよ~~。

 「お母さん、ちょっと待って~~。 早過ぎるよぉ~~」 ひむちゃんが隣で音を上げてるけど、 「自分のペースを乱すと、どっと疲れが来るから、私は先に上りきるよ。 二人はゆっくり上っておいで」 って、容赦なく置いてきぼりにされちゃった。

 「おばさま、高校の時、山岳部のエースだったって言わない? きゆりちゃんもびっくりしそうだよ」

 「うーーん……山岳部どころか、運動してたって話、聞いた事ないけど」

 ひむちゃんの言葉に打ちのめされつつ、やっとの思いで石段を上りきって、小高い丘に着いた頃には、おばさま、ベンチに座って涼しい顔で休憩を取ってるんだもん。

 「おばさまの凄さ、身をもって体験させていただきました」

 もう、神です、おばさま……ひれ伏しますので、もう許してくださ~~い。

 「さぁ、二人とも、呼吸が整ったら、冷えた水を飲んで。 水筒に入れてきてるからね」


 十分過ぎるくらい休んで、さぁ、出発!! って今度は、転げ落ちそうなほどの下りの石段が延々と続いてる……まだ許してくれないの~~?

 足元とにらめっこしながら無心に歩を進めてると、 「わぁ~~、綺麗! これが海なんだね」 ってひむちゃんが感嘆の声を上げたの。

 私も目線を前に向けると、群青色の水平線が。

 「わぁ~~、ホント、綺麗だね~~!」 って、ひむちゃんに共感。

 心の支えが出来て、何とか石段を下りきったよ。

 おばさまは大きな朱色の門の前で、 「ここが月宮神社よ。 二人とも、よく頑張ったね」 って、余裕しゃくしゃくな表情で私たちを手招きしてるんだよ?

 「お母さん、凄すぎるよ……何でそんなにスイスイ歩けるの……」

 ひむちゃん、私もそう思う……格が違い過ぎるよね。

 「ここから参道を歩いて、洞の中にある本殿の奥にそのウサギがあるんだけど、ちょっと先に行っててほしいの。 お母さんはちょっと社務所に立ち寄りたいって思ってるから」 

 あれっ?! おばさま、スルーした? もしかして、触れちゃダメな話題なの??

 「社務所に? ……分かった。 じゃぁ、先にウサギを観に行ってみるよ。 ひいちゃん、行こ」

 「じゃぁ、おばさま。 先に行ってます」

 おばさまにはおばさまの用事があるみたいだし、私たちだけで行きますか! って、ひむちゃ~~ん。

 「うわぁ~~、ウサギがたくさんいる~~!」 とか言って、参道に立ち並ぶウサギの石像を目にする度に足を止めて、頭をなでたりするから、先に進めないじゃないの~~。

 亀より遅いひむちゃんの歩幅に合わせて、洞穴の中にある本殿が見えてくる頃には、既に私、余計な体力を使ってくたくただよ。

 さらに奥に進んだところに、一体のウサギの石像を見付けたの。

 後足で立ち、前足をひょいと前に突き出した格好で横を向いてる……確かに、あの絵に似てる……。

 「この石像が”撫でウサギ”だって、立札に書いてるよ。 確かに、お母さんの書斎で見たぬいぐるみと、姿かたちがそっくり」

 ひむちゃんがそう言うのなら、ホントに似てるんだろうね。

 私はショルダーバッグから絵日記帳を取り出し、イラストと見比べてみたけど、 「ひむちゃん、この石像の事を知らなくて絵を描いたんだよね。 ホント、似てるよ」 って、驚くしかない。

 「お母さんの書斎に、この子そっくりのぬいぐるみ……お母さんとこの神社、何か繋がりがあるのかな」

 ひむちゃんが何やらぶつぶつ言いながら、石像の前で頭を傾げてるうちに、私は絵日記帳の考察欄に ”・月宮神社にある撫でウサギにそっくり” って書き込んでおいた。

 「もしかすると、あのぬいぐるみ、ここで売られてるのかな」 って、ひむちゃん。

 あ、なるほどー。 もし売り場にあったら、この神社とウサギのぬいぐるみとが繋がるよね。

 「ひむちゃん、あそこに売店があるよ」

 本殿を挟んで向こう側に見付けたから、ひむちゃんに教えてあげたの。


 そこには巫女さんがいて、 「おはようございます。 ようこそお参りくださいました」 って、声を掛けてきたの。

 「おはようございます。 本物の巫女さんって、キリッとしてて素敵だなぁ。 小説の中でしか会った事がなかったから……」

 ひむちゃん、何だかキラキラ目だよ? 顔が赤くなってるよ??

 「ひむちゃん、本人の前で、恥ずかしい事言うの止めてよぉ」

 ここでひむちゃんの”憧れモード”を止めとかないと、暴走しちゃいそう。 

 「ウサギの御朱印帳に、ウサギの絵馬に、ウサギの置物のようなアイテム……ここにもウサギがいっぱい……パラダイスだよ」

 パ、パラダイスと来たかぁ……。

 「ひむちゃん、ホント、ウサギには目がないんだから……」

 この神社、ひむちゃんには刺激が強過ぎて毒だね、あはは。 


 「うーーん……無いなぁ……。 あのぉ……巫女さん、変な事、尋ねてもいいですか?」 って、ひむちゃんが尋ねると、 「はい、どうかなさいましたか?」 って、受けた巫女さんが応対してる……そっとやりとり、観察してよっと。

 「ここの神社では、撫でウサギと同じ姿かたちで、大きさが1mくらいあるぬいぐるみって、売ってますか?」

 「いいえ、見た事も聞いた事もありません。 何処かでお見掛けになられたのですか?」

 「えっと……ひいちゃん、絵日記帳、巫女さんに見せてもいい?」

 あ、絵日記帳を見せるのね!

 [ひとにきけ]⇒[みせる]⇒[えにっきちょう] みたいなヤツ?

 「この絵、撫でウサギを見ながら描いたんじゃないんですか……。 確かに、そっくりに見えますけど、ぬいぐるみには心当たりはありません」

 「そうですか……ごめんなさい。 変な事をお尋ねして。 今のは忘れてください」

 ひむちゃん、巫女さんに訊いても良い反応が返ってこなかったから、しょぼんとしてる。

 でも、絵日記帳の新しい使い方だね、聞き込みで見せるって。

 ただ……私たち以外の人に変な事を訊くと、それこそ変な子だって思われるかもよ?

本編の第26~27話をベースに書き上げました。


☆今回気を付けた点☆

ここで登場する巫女は、本編では[ちかね]である事が判明しますが、ひいかは彼女を知らないので、スルーされます。

あと、授与所を売店って言うのは、本編に倣ってます。

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