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61 ペロリスト

ゾンビの四肢や頭がモールまで吹っ飛んで来る。

あれ?燃やすって言ってなかった?

確かに爆発の中心部の車は燃えているけど。

ゾンビはほとんどが散り散りになっている。


「えへっ。やり過ぎちゃったかな?テヘペロ」


堀江が古臭いネタで可愛く言って来るが、やっぱりこいつはテロリストだった。

テヘペロテロリスト、略してペロリストだな。

爆風はギリギリ、モールまで来なかったから良いが、危うく全部の窓ガラスが割れるところだったぞ。

俺の体にもゾンビの血が降りかかり、異臭を放っている。

その光景を呆然と見ていると、頭から大量の水が降り注いで来た。

上を見ると、斎藤が屋上の貯水タンクの水を、ホースを使いかけてくれていた。

堀江は手を合わせ謝っている。

ゾンビ共は、炎の中にどんどん入って行っては焼かれているので、俺の血塗れ以外は作戦は成功だろう。

これぐらいの事は想定済みだ。

縄梯子を使いフードコートへ戻り、堀江と微妙な顔で成功を喜ぶ。

斎藤も屋上から降りて来たが、すぐにまた屋上へ俺を連行して行く。

そして、パンツ一丁にさせられ、タオルで拭いてくれた。


「臭かったわ。これで大丈夫ね」

「ありがとう」


顔を赤くしお礼を言うと、斎藤も頬を染める。

あれ?何か良い感じだぞ?


「斎藤、」

「着替え持って来たよー」


堀江が着替えを持ってきてくれたが、タイミングが悪過ぎだろ。


「あれー。邪魔しちゃったかな?」

「いや、助かる。ありがとう」


こいつわざとじゃないだろうか。

兎に角、これで周りのゾンビは減り、外に出る事も可能だろう。

俺達は屋上から、燃えている車とゾンビを眺める。

辺りは既に日が落ち、夕闇が支配している。

あの勢いなら、炎は朝まで消える事がないだろう。

その後、2人はフードコートで沸かしたお湯で体を洗うと言うので、俺は防災センターへと戻った。

1階の監視カメラは赤外線映像で映されるので、周囲の監視を行う。

炎の周りは光過ぎて良く見えないが、2階の普通のカメラでは映るので、交互に見て監視した。

体を洗い終わった2人が戻って来たが、手には食品売場で調達して来た、酒とつまみを持っていた。

それから酒盛りが始まった。

高校時代の話しから始まり、今何をやっているかの報告まで、夜中まで話し込んだ。

2人が先に寝てしまったので、仮眠室のベッドまで運んだ。

2人の幸せそうな寝顔を見て、こんな世界になってしまったのに安心してしまう。

俺がどうなろうと、2人は守ろうと心に誓い、カメラの監視へ戻る。

どちらからかわからないが、「チッ」と聞こえたのは気のせいだろう。


朝、2人が起きて来たので、フードコートで朝食にする。

食事は俺が作っておいた。

食べながら外を見ると、昨日の炎は既に鎮火し、煙が燻っている。

ゾンビの数も良い具合に減っている。

これで外に出やすくなったな。

だが逆に言うと、人間も近付きやすくなった。

避難を求める人なら良いが、悪意を持って近付いてくる人もいるかもしれない。

2人の安全のためにも気をつけないとな。

すると、早速だがこちらに近付いて来る、2つの人影が見えた。

何だあいつらは。

2人は剣を振り回し、近くのゾンビの首を跳ねながら近付いて来る。

まだ若い男女の2人組だ。

20歳ぐらいだろうか。

あの若さで軽々と剣を振り回し、簡単にゾンビの首を跳ねるとは。

元から行っていた鍛錬のおかげか、それともここに来るまでの間に、相当の修羅場を潜って来たのかもしれない。

その2人は遂に、駐車場に群がるゾンビの群れを潜り抜け、俺達の前へと辿り着いた。


「そこで止まれ。ここに何をしに来た?」

「向こうの道路で車が壊れてしまって、ショッピングモールが見えたので来ました」

「お前ら2人だけか?」

「はい。家族はゾンビに食われました。それで、兄妹同然で育ったこいつを連れて逃げていたんですが」

「そうか。ちょっと待ってろ」


俺は斎藤と堀江と相談するために、一旦その場を離れる。


「2人にはどう見える?」

「んー、悪いようには見えないけど、剣は怖いかな」

「そうね。私も悪くは見えないわ。でも迎え入れるなら剣は置いてきてもらいましょう」

「了解だ。剣は下に置いてもらってから、中に入れる事にする」


2人とも、やはり剣は危ないと思っているようだ。

こちらに防ぐ手立てはないからな。

窓側に戻り、ゾンビを追い払っている男女2人組みに話しかける。


「2人とも剣を下に置け。そしたら縄梯子を下ろす」

「ちょっ、今は無理でしょ!ゾンビが集まって来ているし!」

「しょうがないな」


俺は堀江に頼んで、昨日のロケット花火と一緒に調達した爆竹を、2人組から離れた所に投げてもらった。

そっちにゾンビが釣られたのを見て、縄梯子を下に下ろす。

男女2人組みは剣を下に置き、縄梯子を登って来る。

剣を持って来たら叩き落とすつもりだったが、その心配は杞憂に終わった。

斎藤と堀江が言うように、悪い奴等ではないみたいだな。

2人の戦闘力は魅力的なので、ぜひ仲間になってもらいたいところだが、どうなることやら。


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