表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
67/83

54 フェリー入手

ジョーカーと名乗る男がこの場を去り、改めて現状を把握する。

このフェリーの船長は櫻井と言い、茅野さん、早見さんの同級生。

俺を叩いた赤髪の女性は、小清水さんという二等航海士とのことだ。

さっきはブリッジにいて、ここにはいなかったが、ホシという三等航海士もいる。

一等航海士もいたが、荷物の積み込みの最中にゾンビに噛まれてしまったらしい。

ここには機関長のナリタという男性と、一等機関士のゴトウという女性もいて、あと2人機関室にいるそうだ。

フェリーにいる乗務員は、さっきのレストランの3人を入れて、10人だけが残ったみたいだ。

お客さんで残ったのは20人位か。

さっきの海に落とした中には、その人達の家族や友達がいたそうで、俺は総攻撃を受けた。

だが、櫻井船長がかばってくれて事なきを得た。


「あのままだと我々もああなっていた。皆さんは家族を、友達を殺せますか?家族や友達に噛みつくような存在になりたかったですか?本来なら我々乗務員がやらなければならなかった事を、彼らはやってくれたのです。どうか我々に免じて許してあげていただけないでしょうか」


お客さん達は渋々ながらも納得してくれた。

船長かっこいいな。

これで俺よりも年下だというから、なお凄い。

それから俺達は、このフェリーを使い南の島まで行きたいという事と、ここに残りたければ発電所に自衛隊がいるという事を伝えた。

櫻井船長は、皆と相談するので時間をもらえないかとのことだったので、俺達はその間に船内の安全確認をしに行った。

7デッキの客室は、既に阿澄と井口で確認済みで、何体かゾンビがいたが掃討したとのこと。

7デッキの安全が確認できたので、次に6デッキにあるレストランに行き、生存者の3人にブリッジに行くように伝える。

櫻井船長から頼まれていたからだ。

3人はもう安全だとわかると、走ってブリッジへと向かった。

6デッキ、5デッキの安全を確認し、俺達は皆がいるであろうトラックデッキに向かった。

アルファードの周りに皆が集まっていたので声をかける。


「フェリーの制圧、終わったよー」

「福山さん!」


早見さんが走って来て俺に抱き付く。

何これ?

勘違いしちゃうよ?

そんなに俺に会いたかった?

でも様子がおかしいな。

早見さんはずっと俺の胸で泣くばかりだ。


「私が説明するわ」

「沢城さん。何があったの?」

「まずは車まで来てちょうだい」


車まで行くと、沢城さんがトランクを開ける。

そこにはロープでグルグル巻きにされた小学生がいた。

この子は確かイリノ君といた小学生の内の1人だったか。

既にゾンビ化している。


「この子は 久野 咲 ちゃん。発電所に残らないで付いて来たんだけど、ゾンビに噛まれてしまったの」

「福山さん!お願いします!私、守れなかったんです。守るって言ったのに」


だから早見さんは泣いていたのか。

調子に乗って勘違いしないで良かった。

俺は久野ちゃんゾンビに話し掛ける。


「生きたいか?」

(コクリ)

「ゾンビのままでも?」

(コクリ)

「わかったよ」

「ありがとうございます!福山さん」


早見さんのためならしょうがない。

もう涙は見たくないからな。


「死者の王が命じる。汝、我と契約し、隷属せよ」

(イエス ユア マジェスティ)

(ッテ、オセーデゴゼーマスヨ!)

(ナンジカン、マタセヤガルデスカ!)


怒られた。

井口といい、大橋と阿澄を見習って欲しいよ。

このままだと話せなくて不便なので、阿澄に頼んでパワーレベリングをしに行ってもらう。

外には大量のゾンビがいるから、最低でも紫目にはなれるだろう。

阿澄が久野の手を引き外に出て行く。

2人ともちっちゃいから姉妹みたいだな。


「ちっちゃくないよ!」


阿澄がいきなり振り向き言ってきた。

皆、順調に俺の心を読むスキルを身に付けているようだ。

そろそろ時間なので、残った全員でブリッジに向かう。

そこには、さっきはいなかった機関士を含む全員が揃っていた。

櫻井船長が前に一歩進み出る。


「福山さん、お待たせしました。それでは話し合いの結果を伝えますね。私達は全員フェリーに残り、皆さんとご一緒する事に決めました。よろしくお願いします」


全員とは予想外だったな。

まあ外はゾンビだらけだし、今となってはここが一番安全だろうしな。

とりあえず今日は休みたいと言う人が大半だったため、出航は明日にする事にした。

そういえば暫く休んでいなかったな。

まだあれから3日しか経ってないのだが、それ以上経っている気がする。

一番安全な7デッキをお客さん達に割り振り、6デッキに乗務員、そしていざという時に動きやすいよう、5デッキで俺達は休む事にした。

長い長い1日がようやく終わった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ