覚醒No.2 茅野 愛(かやの あい)
私の名前は 茅野 愛 よ。
27歳独身。
高校で英語教師をしているわ。
私の出身は、ここ苫小牧。
小さい頃は、仲の良い友達5人といつも一緒だったわ。
皆のリーダー的存在のイリノ君。
頭が良く冷静沈着な櫻井君。
無邪気で人懐っこいコンドウ君。
ゲームが好きな黒縁眼鏡のトマッチャン。
絵が得意で本が好きな織ちゃん。
あの頃は楽しかったな。
山の中に秘密基地を作って、皆で好きな事をして過ごしてたわ。
そして、ある日事件は起こった。
私は皆と離れて川の側で遊んでいたの。
そうしたら足を滑らせて沢に落ちてしまったわ。
助けを呼ぼうにも、背中を打ってしまったせいで言葉が出ない。
痛みに我慢していると、上から私を呼ぶ声が聞こえたの。
(私はここ!)
でも声が出ない。
皆は遠くに行ってしまって、私はここで死ぬのかなと思っていたわ。
もう諦めかけていた時、彼は現れたわ。
沢を登り、途中で川に落ちたのか全身を濡らしたイリノ君が。
彼は私に近付くと、「もう大丈夫だよ」と背中に背負ってくれた。
私はイリノ君の背中で、家に着くまでの間、ずっと泣いてたわ。
ありがとうと繰り返し言いながら。
でもそんな彼等とも、大人になるにつれて疎遠になってしまったわ。
イリノ君と櫻井君は喧嘩して会わなくなり、コンドウ君は中学を卒業と同時に旅に出てしまった。
女性陣はそれぞれ受験で忙しくなってしまい、スマホで連絡を取るぐらい。
そして、久しぶりの再会はあんな結末を迎えてしまった。
私には皆と出会う前に、2歳年上の兄がいたの。
でも小さい頃に親が離婚してしまい、離れ離れになってしまった。
だから皆は私に兄がいた事を知らないわ。
お兄とはいつも一緒にゲームをして遊んでいた。
どこに行くにも、お兄、お兄、と後を付いて行った。
離婚が決まった時は泣きじゃくり、離れる時も暫くしがみついて離れず、両親を困らせたっけ。
でもお兄は言ってくれたの。
また必ず会えるって。
必ず会いに来るって。
私は待っていたわ。
しかし、再会はあんな形になってしまった。
私は付いて行きたかった。
でもあれはお兄であって、お兄じゃない。
誰にでも優しく、誰であろうと助けていた、あの頃のお兄とは違っていた。
誰がお兄をあんな風に変えてしまったの?
私はそいつらを許さない。
優しかったお兄を絶対に取り返す。
確かUCと言ったわね。
東京で待ってなさい。
女王が、潰してあげるわ!
あっ、コンドウ君も待っててね。




