46 女子会②
一方その頃、発電所に向かったアルファードの車内では、第2回女子会が開催されていました。
主役はもちろん私、ではない事を願ったのですが、雪ちゃんの前では無理でした。
「茅野さんは強敵よね」
「えっ?何でですか?」
「考えてもみなさいよ。目の前で好きだった人が亡くなってるのよ?そして今、側にいるのは福山さんだけ」
「それがどうしてですか?」
「あーもうっ。茅野さんは言うならば未亡人よ?寂しさを紛らわせるために福山さんに」
「えっ、えーっ!でもいくら何でも福山さんが手を出すとは」
「福山さんも初めて自分と同じ存在に出会ったのよ?特別な感情を抱いてもおかしくないわ」
「そうでしょうか。んー」
「何々、ハヤミーは福山さんって人が好きなの?」
「ち、違うよ!トマッチャンまで、もう」
「ライバルッス。早見先生はライバルッス」
「佐倉さんまで!?」
「いやもうバレバレ何だから諦めろよ」
「悠木さん!?」
「感情ダダ漏れ」
「内田さん!?」
「『あなたが生きて戻って来られる理由にさせて下さい!』だったわよね?」
「な、な、な、何でそれを!」
「あんなに大きい声で叫んでたらねぇ」
「しかと聞いたッス」
「恥ずかしいよな」
「感情爆発」
「ハヤミーやるう」
「ち、違います!あーもう、失敗しました」
「『あなたが生きて戻って来られる理由にさせて下さい!』」
「あれ?私の声?」
「ドローンに残ってたぞ」
「こ、ここまでやるかぁぁぁぁ!」
総攻撃です。
ここは何としても話題をそらさねばいけません。
ごめんなさい、佐倉さん。
「佐倉さんはどうなんですか?」
「あたしッスか?最近絡みが少ないッスからねぇ。良い所を早見先生に取られたし」
「でもでも、好きなんですよね?」
「んー、どうなんッスかね。恋なんてわかんないッスから」
あら?これはピンチではないでしょうか?
このままでは、また私に戻って来てしまいます。
あっ、そうだ!
「トマッチャンは櫻井君とどうなの?」
「暫く会ってないよ。最近フェリーの船長になってからは忙しいみたいね」
「ふーん。そうなんだぁ。デートもできないね」
「なんで?あいつが好きなのはハヤミーでしょ?」
「えっ、えーっ!本当に?」
「やっぱり気付いてなかったのね」
「櫻井君はアイちゃんの事が好きじゃなかった?」
「それは小学生の頃よ。あれから何年経ってると思ってるのよ」
「でもそんな事、急に言われても」
「まぁ別に好きな人がいるんなら気にしなくて良いんじゃない?あいつもフェリーに乗ってるから、どうせ会えないだろうしね」
墓穴を掘ってしまいました。
全然気付けませんでした。
ん?フェリー?
何か引っかかります。
福山さん達が向かったのは・・・
ま、まさかそんな都合の良い事なんて起こりませんよね?
「三角関係よ?」
「大人だな」
「ふ、不潔ッス」
「修羅場」
4人が固まって何やらヒソヒソ話しをしています。
笑顔を向けたら黙ってしまいました。
何故でしょう?
そんな事よりも気になる事があります。
「トマッチャン?その、櫻井君の船の名前って?」
「確か『いしかり』だったかな」
聞いた事があります。
結構大きな船ですね。
あの若さでそんな船を任される何て凄いですね。
昔から頑張り屋さんでしたから。
ちょっと変態でしたけど。
女子会も無事?に終わりましたので、発電所に向けて運転に集中します。
あとは、福山さん達が向かったフェリーが、せめて『いしかり』じゃ無いことを祈りましょう。
一方その頃、オッサンは小学生達が乗ったHMVを、息子を思い出しながら眺めていた。
すると後ろの窓から、一人の少女が顔を出して来たので、オッサンも窓から顔を出し手を振った。
「何、見てやがるです。べーっ」
少女は舌を出し、また車内に隠れた。
ドンマイ、オッサン。




