43 SM
私達は遠回りをしながらも、ショッピングモールに着いたわ。
入口にはゾンビの群れが押し寄せていて、店内にもなだれ込んいるみたいね。
食料を手に入れるには、まずは店内にいるゾンビを排除しなきゃね。
私達は正面から入るのを諦め、従業員通用口から入る事にしたわ。
そこには正面の入口とは違いゾンビは少なく、ほとんどが運送業者の作業着や店員の制服姿のゾンビ達だったわ。
外に逃げた所を襲われたんでしょうね。
ゾンビの処理は大橋ちゃんと阿澄ちゃんに任せて、私とスワベ君、イノウエさんで従業員入口の扉を調べる。
杉田さん、悠木ちゃん、ヒヤマ君、キタムラさんは逃げる時のために、それぞれ車を守ってもらっているわ。
扉に鍵はかかっていないようね。
扉の隙間から中を覗くと、三体のゾンビが彷徨いている。
私は素早く中に入り刀を一閃、三体のゾンビの頭をはねる。
すると入ってすぐの所にあった警備室から、警備服姿のゾンビが飛び出して来たわ。
それは、イノウエさんが鉄パイプで距離を取り、スワベ君が釘打ち機でゾンビの頭に釘を刺して倒してくれたの。
彼等も相当な修羅場を潜って来たんでしょうね。
ナイスなコンビネーションだったわ。
私達は警備室に入り、監視カメラの映像で店内の確認をする。
一階はゾンビの侵入を許してしまったようだけど、二階から上はまだ大丈夫みたいね。
階段やエスカレーター、エレベーター周りはシャッターが閉められていて、二階のフードコートに生きている人がカメラには映っている。
「でもこれ出入口、多過ぎない?」
「広い建物ですからね」
スワベ君とカメラを見ていると、十箇所はあろうかという出入口からゾンビが入って来ている。
大橋ちゃんと阿澄ちゃんがいて助かったわ。
私達だけだと詰んでたわね。
私は大橋ちゃんと阿澄ちゃんに、それぞれ各出入口の閉鎖と、ゾンビの掃討をしてもらうようお願いしたわ。
これで時間はかかるかもしれないけど、一階は何とかなりそうね。
問題は二階にどうやって行きましょうか。
「これなんてどうですか?」
「放送の機械ね。どれどれ使い方は・・・マニュアルが置いてあるわね。これなら出来そうだわ」
イノウエさんの発見に感謝しつつ、私は放送機械のマイクを持つ。
「あーテステス、テステス、マイクのテスト中」
「そういうのいいですから!」
スワベ君に怒られちゃったわ。
意外とSなのかしら?
私は意外とMよ?
えっ?関係ない?失礼したわ。
それじゃ改めて、ピンポンパンポーン。
「ショッピングモールの避難民の皆様へ連絡します。もし生き残りの方がいらっしゃいましたら、警備室までご連絡下さい。繰り返します。ショッピングモールの避難民の皆様へ連絡します。もし生き残りの方がいらっしゃいましたら、警備室までご連絡下さい」
私の美声がショッピングモールに響き渡っちゃったわね。
それから30分ぐらいしてからようやく警備室の電話がなったわ。
その間に大橋ちゃんと阿澄ちゃんのおかげで一階の閉鎖が終わり、今は倒したゾンビを食品フロアから出しているところ。
「もしもし、沢城です」
「あんた達どうやってここに入ったんだ?」
「従業員通用口が開いていたわよ?」
「だからといってもゾンビがいただろ?」
「私達でゾンビは排除したわ。一階も各出入口は閉鎖済みで、ゾンビの死体しか残ってないわよ」
「本当か!?」
誰かが走る音が聞こえたので、様子を見に行ったのかしら。
カメラを見ると、エスカレーターのシャッターが閉まってない所から下を覗き込んでいるわ。
「どうやら本当らしいな」
「理解してくれた?」
「ああ」
「それで私達はこれから食品フロアで食料品の調達をするけど、あなた達はどうする?」
「俺達は二階のフードコートに食品が残っているので大丈夫だ」
「あらそう。そちらには何人ぐらいいるのかしら?」
「全部で18人だ」
18人ねぇ。
アルファードに二人、HMVに六人乗せても足りないわね。
ピストンしても良いけど、回り道しないといけないから大変よね。
さてどうしましょう?
と考えていた時、カメラの映像を見ていたスワベ君が声をあげる。
「あれ?あれはもしかして父さんか?」
「もしもし?そこにスワベという方はいるかしら?」
「スワベ・・・ああ、ちょっと前に来た人がスワベさんだったな。ちょっと待ってくれ」
電話を代わってくれるようなので、私もスワベ君と交代する。
「もしもしスワベですが」
「父さん!」
「ジュン!ジュンなのか?」
「そうだよ。無事で良かった」
「ああ、あの後ゾンビに追いかけられてもうダメだと思った時、このショッピングモールを見つけてな。一か八かで立体駐車場に逃げ込んだら、ここの人達に助けていただいたんだ」
「良かった、良かったよ」
泣きながら受話器を握り締めるスワベ君。
良かったわね。
これで憂いはなくなったわね。
さて後は車をどうしましょうか?
再度考えていたら、悠木ちゃんから無線が飛んで来たの。




