41 再会
発電所に着いた俺達は、避難者達を自衛隊に預け、発電所を出発する準備をしていた。
なぜそうなったかと言うと、俺の一言が原因だった。
「俺は父さんを探しに行く」
発電所に着き皆が安心する中、俺はそう言った。
避難者と母さんを発電所に送る。
俺が勝手に決めた責務だ。
しかしそれも達成したので、今度は自分のやりたいようにやらせてもらう。
大人達は止めた。
もう生きてはいない、助からないと。
だが俺は父さんの遺体を見るまでは諦めない。
すると母さんが近寄って来た。
止められるだろうと思った。
「行くのね」
「ああ」
「二人でちゃんと帰って来るのよ」
違った。
母さんは俺が行くのがわかっていたみたいだ。
後で聞いた話しだが、母さんはそのあと泣いていたみたいだけど。
しかし、それでも納得しない大人、中でも自衛隊の人達が反対した。
子供だけでは危ないと。
それなら付いて来いと思ったが、ここを離れられないと言う。
俺と自衛隊で押し問答をしていると、意外な人から助け舟が入った。
「私達が一緒に行くわ」
そこにいたのは、ここにいるはずのない人だった。
「「先輩!」」
イノウエとキタムラが揃って声をあげる。
そう、それは沢城先輩だった。
俺達が行っている高校の先輩で、東京の医大に一発合格した秀才。
札幌の大学病院に来てからは、暇を見て高校に特別授業をしに来てくれていたのだ。
「やっぱり見覚えがあると思ったらあなた達だったのね」
「俺達を知っているんですか?」
「当たり前よ。あなた達四人は高校じゃ目立ってたわよ?スポーツ万能少女に、私以来の秀才、軍事オタクに、サボり魔ね」
「サボり魔は、否定できないですね」
「でも今は違うでしょ?」
「はい、父さんを助けたいです」
「じゃあ他の人は後で自己紹介するけど、私達がサポートするわ」
「ありがとうございます」
俺一人で行こうと思っていたので助かる。
札幌からここまで逃げて来たらしいので、それなりに経験しているのだろう。
「私達も行くよ」
「当然ね」
「準備完了」
「お前達何をしてる」
「問答無用よ」
「私達を置いて行こうなんざ100年早いわ」
「新しい武器も増えたしね」
そこには完全武装の三人がいた。
何を言っても聞かないだろうなと諦め、同行を了承した。
そうなると問題になるのが車だな。
沢城先輩達は乗って来た車があるというので問題がないが、俺達は船に乗る前に置いてきてしまった。
さて、どうしようかと考えていたら、自衛隊の人が話しかけてきた。
「お前等には負けたよ。ほら、これ使え。車は入口のすぐ横に停めてあるから」
と言ってカギを放り投げてくる。
発電所の入口に行き車を確かめてみると、そこには自衛隊の車がズラッと並んであった。
入口のすぐ横には十人乗り用の車があった。
「HMV疾風じゃないか!」
ヒヤマが目を輝かせている。
一般的に高機動車といわれるものだ。
これなら四人で乗っても避難者がいたら乗せて行けるな。
あれ?でも運転して良いのだろうか?
まあ何も言われていないし、こんなご時世だから良いだろう。
HMVの隣にはアルファードが停まっていて、女の子が中でガチャガチャやっている。
これが沢城先輩達の車だろうか。
すると女の子と目があって、向こうが外に出て来た。
「よう。お前達が沢城先生の言ってた高校生か?索敵は俺に任せておけ」
「よろしくな坊主共。俺はアルファードの運転手だ」
「よろしくお願いします」
運転席にも誰かいたようで話しかけて来た。
車の前後にも、ちっちゃい女の子達が車を守るように立っている。
車を眺めていると、後ろから沢城先輩が来た。
「あら。あなた達も準備が出来ているのかしら?」
「はい、いつでも行けます」
「ならいいわ。こっちの子が悠木ちゃんで、運転席にいるのが杉田さん。前にいるのが大橋ちゃんで後ろが阿澄ちゃんよ」
沢城先輩が紹介してくれたので、こちらも自己紹介を行う。
ちっちゃい女の子ばかりで大丈夫なのかと不安だったが、沢城先輩を信じる事にしよう。
俺達はそれぞれ車に乗り込み、発電所を出発し、市役所方面向かった。




