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配下No.3 井口 裕(いぐち ゆう)

私の名前は 井口 裕 25歳。

苫小牧にある高校の体育教師。

体は小さいけど昔から運動神経抜群だよ。

でも食欲も旺盛なのに何故か大きくならないんだよ。

睡眠も多く取っているのに。

寝る子は育つって何なんなんだよ!

高校では陸上部の顧問をしていたんだよ。

タケタツさんとギブさんも陸上部で、皆でインターハイに向けて頑張っていた。

でもそれはあの日で壊れてしまったんだよ。


その時、私は授業がなかったので、職員室で同僚の先生とお喋りをしていたんだ。

もちろんお茶菓子ありでね。

そんな中、一人の先生が校門の方に人が入って来るのを発見したので、授業のなかった数人の先生で対応に向かった。

私?私は放送係という大事な仕事があったんだよ。

でも放送をする機会はなかったんだ。

私が行くよりも早く、教頭が放送を流しちゃったから。

あの小心者め。

だから私は生徒達を円滑に誘導するため、各クラスの先生の応援に行ったんだ。

その途中で悲劇は起きたんだよ。

玄関で避難して来る生徒を待っていたら、対応に出ていた先生が戻って来た。

しかしその足どりはフラフラしていて、顔色もおかしく血管が浮き出ていて、口元が赤く染まっている。

これはマズいと感じて、避難して来ている生徒に戻るように言ったんだよ。

でも後から生徒がどんどん来ていて戻れなくなっていた。

すると玄関に到着した生徒が俯いていた先生に近付き心配をしたんだ。

私は止めようとしたんだけど間に合わず、その生徒は先生に噛みつかれてしまった。

辺りに響く絶叫。

生徒達はようやく状況に気付き戻ろうとするが、生徒の波に逆らえず戻れない。

そのうち、校門で噛まれたであろう先生達が入って来て、逃げ惑う生徒達に次々と噛み付いていった。

飛び交う悲鳴、怒号、そこは正に阿鼻叫喚の場となった。

そんな状況を見て、私は逃げてしまった。

守る事もせず、生徒達や先生達を見捨てて。

怖い、怖い、怖い。

何なんなんだよ、あれは。

私は無我夢中で走り、気付くと見慣れた陸上部の部室があった。

カギは所持していたので急いで開ける。

中で物音がして、ビクッとなってそっちを見る。

するとそこにはタケタツさんとギブさんがいた。

避難しに一階に降りたのは良いが、辺りの状況に怖くなって逃げ、窓が開いていた部室に逃げ込んだのだという。

誰だよ戸締まり忘れたの。

あっ、私だ。

それから三人で息を殺し隠れ、窓から外の状況を伺っていると、校舎から走り出して来る人がいた。

茅野先生だ。

方向からしてバスに向かっているのだろう。

私はすぐにタケタツさんとギブさんに声をかけ、一緒に逃げる事を伝える。

私達は部室を抜け出しバスまで走った。

そして間一髪間に合いバスに乗せてもらい、学校からの脱出に成功した。

もう大丈夫だと三人で安心して寝てしまった。

まだ安心するのは早かったんだよ。


私がバスの中で起きたら、茅野先生が高校生達と話していた。

私がご飯食べたいと言ったら、茅野先生は何か考えたあと、その高校生達をバスの中に入れた。

すると突然バットや鉄パイプを私達に当ててきた。

あれ?スワベ君達は?

なんとここには、たまゆ、違う、女性陣しかいなかったのだよ。

ギブさんが襲われそうになったけど、声が出せなかった。

高校生がバスに入って来たのは、私がご飯って言ったせいなのに。

また守れなかったんだよ。


私達は男達に連れられ校舎内に入る。

ここは無事だったのか、ゾンビが周りにはいなかった。

校舎の廊下を進み、私達が連れられては来たのは保健室だった。

私の直感がマズいと警告を鳴らす。

案の定、中では酒池肉林が繰り広げられ、他の三人は固まってしまった。

私達に付いて来ていた男達も、もう逃げられないと思ったのか気を抜いている。

今がチャンスと、私は男達からバットを奪い取り、近くにいた男から殴りつけていく。

そして皆の手を取り、そこから抜け出す事に成功した。

今度は守る事ができたんだよ!

でも外に逃げたのは良いが、逃げる場所がなく、結局最悪の悲劇が待つ体育館に逃げ込む事しか出来なかった。

開けた瞬間飛び出てくるゾンビ、飲み込まれるギブさんとタケタツさん、聞こえる断末魔の声。

私と茅野先生はひたすら逃げました。

やっぱり、また生徒を守ってあげる事ができなかったんだよ。

走っていると誰かに腕を掴まれた。

その瞬間、腕に激痛が。

噛まれてしまった。

私はすぐにゾンビになってしまう。

でも茅野先生だけでも逃がさないとと思い、先に行くように促し、ゾンビの頭をバットでかち割った。

でも茅野先生は私を見捨てなかった。

でも茅野先生も噛まれてしまった。

私達は二人揃って、ゾンビになるのをバスの中で待った。


私は目覚めた、ゾンビとして。

周りを見ると、さっきの高校生がバスに乗って逃げようとしていた。

私は欲望のまま、そいつらを食べた。

ゾンビにならないよう、頭と胴を引きちぎって。

茅野先生が目覚めてからの出来事は、バスの中で見ていたんだよ。

ゾンビを次々と駆逐するのは凄かったんだよ。

でも苦しみを、重荷を背負わせてしまってゴメンなんだよ。


そして私達はあの男に出会ったんだよ。

ご飯を食べさせてくれる、私のコックさんに。


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