40 新たな仲間
女王も正気に戻ったので、改めて自己紹介を行う。
「俺は 福山 瞬 だ。『王』の力を持っている」
「『王』の力ってさっきゾンビを止めた力?」
「そうだよ。ゾンビ共に命令を下せるんだ」
「それは便利ね。あっ、私は 茅野 愛 よ。『女王』の力を貰ったわ。魂を滅する力みたい」
やっぱりか。
そうすると俺の配下だけじゃなく、俺自身もどうなるかわからないな。
続けて他の皆も紹介する。
「オッサンだ」
「おい!」
「冗談だよ」
「まったく。俺は 藤原 啓 だ。よろしくな女王様」
「はいはい!あたしは 佐倉 綾 ッス。福山さんの右腕ッス!」
「内田礼です。よろしくお願いします、お姉様」
「私は、良いかな?一応、早見 織 です」
佐倉はいつから俺の右腕になったんだ?
やらしい意味ではないよな?
早見さんに睨まれそうだぞ。
内田さんは何故敬語?
お姉様には敬語なのか?
初めて知ったぞ。
おっ、早見さんは敬語に戻ってしまったな。
残念だがしょうがない。
自己紹介も終わり、今後の予定を話し合う。
新千歳空港ICでトラックを捨ててしまったので、食料の確保が第一だろう。
「ここから南東に行った所にショッピングモールがあるわ」
茅野さんが教えてくれる。
ショッピングモールか。
ゾンビモノの定番では避けて通りたいところだが、食料がないのはマズい。
できれば冷蔵付きのトラックも欲しい。
漁港に行けばあるかな?
魚臭いかもしれないが。
話し合いの結果、俺達はショッピングモールに向かう事になった。
「ところでバスの中から必死にアピールしているゾンビがいるんだけど、あれ何?」
「あっ。忘れてたわ」
茅野さんがバスに走って行き、中から一体のゾンビを連れて来る。
「私の命の恩人の、井口先生です」
井口先生ゾンビはペコリと頭を下げる。
ゾンビが懐いている?
俺達は嫌われていると思ったけど、生前の行為によるのかな?
でも複雑な言動までは無理らしいな。
このまま連れて行こうとも考えたが止めた。
何故なら俺と茅野さんには従順だったが、他の人達に襲いかかろうとしたからだ。
俺は慌てて停止させ、茅野さんに提案する。
「このままだと連れては行けないけど、俺の力で人を襲わなく出来るがどうする?」
「知り合いが人を襲うのも嫌ですし、このまま放っていくのも可哀想なので、お願い出来るかな?」
「いいよ。それじゃ」
「死者の王が命じる。汝、我と契約し隷属せよ!」
(イエス ユア マジェスティダヨ)
(ヤットコトバガ、ツウジルンダヨ)
(オナカスイタンダヨ。ゴハン、ゴハン)
矢継ぎ早に話しかけて来る新配下。
「あのー、お腹空いたと言ってるんだけど、ゾンビ食わしても良い?」
「ええっ?ゾンビ食べるの?」
「食べるし強くもなる。成長したら言葉も喋れるよ」
「そういえば私が起きた時も、口が血だらけになっていたわね。喋れるようになるならお願いしても良い?」
「了解」
許可を出すと一目散に走って行く新配下。
死んだゾンビでも効果あるのだろうか?
食べる姿は流石にショッキングなので、皆に見せないようバスに移動する。
バスの中を見ると小学生達が座席の後ろの方で縮こまっていた。
完全に忘れてたが、周りにはゾンビがいなかったので大丈夫だろう。
しかし小学生のうちの一人が文句を言ってきた。
「こら、てめー。なんて物を見せやがるです」
隠すのが遅かったらしい。
気丈にも立ち上がった少女は、腰まである茶色い髪をツインテールにしていた。
「ごめんよ。怖かっただろ?」
「怖くねーです!」
足を震わせながら答える少女。
何これ可愛い。
まあ俺にそんな趣味はないので。
えっ?配下がちっちゃい女の子ばかり?
ぐ、偶然だよ?
早見さんが睨んでくる。
こ、怖い。
そうしている内に、新配下の井口が食べ終わり帰って来た。
目は紫色になっているので無事に進化できたみたいだ。
ただ、太っていた。
まるまると大きく。
これはあれだな、力タイプの奴と同じだ。
「ナンナンナンダヨ、コレハ!フトッチャッタンダヨ!」
文句を言いながらボヨンボヨン跳ねている。
その後、小学生達が怖がらないように、内田さんが急いで口元を拭き取る。
慣れたものですね。
「デモ、タクサンタベタノデ、ダイマンゾクナンダヨ」
「井口先生!良かった」
茅野さんが涙目で井口に抱き付く。
腕は回らないが。
「カヤノセンセイ、オタガイブジ?デヨカッタンダヨ」
「うん。井口先生のおかげ、ありがとね。でもタケタツさんとギブさんは」
「アノジョウキョウダト、シカタナカッタンダヨ。フタリノブンモ、イキルンダヨ」
「うん。わかったわ」
こうして俺達に新たな仲間が加わった。
でもこれ、元の大きさに戻るのだろうか。
車が狭い。




