35 警察署
俺達が警察署に辿り着きそこで見たものは。
廃墟と化した警察署だった。
「お父さん!」
イノウエが口を押さえて絶句する。
警察署の敷地内には複数のゾンビが彷徨いていて、中にも数体いるようだ。
「さすがに正面からは無理そうね」
「裏の方に回ってみよう」
キタムラが辺りを見回しながら言い、ヒヤマがそう提案する。
警察署の裏に回ってみるとゾンビはいない。
塀はあるが1mぐらいしかないので簡単に越えられた。
一階にある窓から中を覗き、誰もいないのを確認する。
窓はカギがかかっていたので、ヒヤマがバッグからテープを取り出しガラスに貼って、音が出ないようにしてから割る。
俺が最初に入り、周囲にもゾンビがいないのを確認し皆を引き入れる。
「生存者はいなさそうだな。逃げていてくれれば良いが」
「覚悟はできているよ。先に進もう」
イノウエはそう言うが、できればゾンビ化したお父さんには会いたくない。
一階を探索していると、奥にあった部屋の扉が開け放たれていて、中には銃の保管庫が見える。
緊急で対応したため閉める暇もなかったのだろう。
だが中には銃が一つも残っておらず俺達は落胆する。
すると一体の警察服のゾンビが扉の影から襲って来た。
俺は手に持っていたサバイバルナイフをゾンビの頭に突き刺す。
ゾンビはそのまま倒れたが、嫌な思い出が蘇って来る。
「スワベ君」
「大丈夫だ」
イノウエが心配してくるが平気を装う。
こんな状況で弱音なんて吐けないからな。
咄嗟に刺してしまったが、警察ゾンビはイノウエのお父さんではなかったようで安心した。
警察ゾンビの腰には拳銃が紐からぶら下がっていたので、サバイバルナイフを使い紐を切る。
拳銃をヒヤマに渡すと目をキラキラさせて喜んでいたが、ライフルの方が良いらしい。
その後、何体か警察ゾンビがいたので、それぞれから拳銃を奪い、さっきのを含め五つの拳銃と予備の弾丸を手にいれた。
一人一つを持つ事にし、余った銃と予備の弾丸はヒヤマのバッグに入れておく。
念願の武器を手に入れる事ができたので、イノウエのお父さんの捜索に集中する。
警察署の入口が閉まっていたため、中にはそれほどゾンビはいなかった。
イノウエが鉄パイプで距離を取り、ヒヤマが釘打ち機で頭を撃つ。
それでも近付いて来た奴は、俺のサバイバルナイフとキタムラのドリルを頭に刺す。
そして二階に辿り着いた俺達は大きな会議室にいた。
そこで何か情報はないかと探していると、倒れていたホワイトボードを見たキタムラが俺達を呼んだ。
「これ見て!」
「これはお父さんの字!」
そこにはこう書かれていた。
『生存者は市役所へ』
希望が見えた。
警察はここを諦め市役所に移ったのだ。
するとここにいた警察ゾンビは囮になったのだろうか。
勇敢な警察官に冥福を祈る。
「さて、市役所に行くのはいいが、そこに生存者がいたとして、どうやって海まで行くか考えなければ」
「護送車と人員輸送車は?。さっき駐車場に停めてあるのを見つけた。問題は何人残っているかだけど」
護送車と人員輸送車か。
ぎゅうぎゅうに詰めても、乗れるのは50人ぐらいだろうか。
まあないよりはマシか。
「問題はどうやって人を乗せるかだな」
「市役所は目の前だから入口に乗り付けるのが一番かな」
ヒヤマの案を考えてみる。
車は二台あるから俺とヒヤマが運転し、市役所の入口に横付けしゾンビの侵入を防ぐ。
ジープはもったいないけど置いていく。
車を入口に付け次第、イノウエとキタムラが市役所内について入る。
俺とヒヤマはすぐに車の屋根に乗り、ゾンビ共の牽制だ。
これで何とかいけそうだな。
あとは俺とイノウエの両親が無事だと良いけど。
これは考えでもしょうがないか。
俺もイノウエのように覚悟を決めよう。
「ヒヤマ。車のカギの場所はわかるか?」
「わからないから、部屋を回るしかないかな」
「あっ。さっきいたヘルメット被った警察ゾンビが、カギを持っていたから拾っておいたけど、これかな?」
キタムラがカギを指に引っ掛けクルクル回す。
「「それだ!」」
警察も逃げようと考えていたのだろうが、車に行けずゾンビにやられたのだな。
カギも手に入れる事ができ、俺達は駐車場へ向かう。




