34 スワベルート
一方その頃、茅野先生達と別れ、警察署に向かっていた俺達は身動きが取れずにいた。
「クッ、やっぱり駅の近くはゾンビが多いな」
俺はわかっていながらも悪態をつく事しかできない。
「スワベ。見張りを交代するよ。少し休め」
「ありがとうヒヤマ」
俺達は今、駅の近くにあるマンションの五階に立てこもり、ゾンビの動向を観察していた。
あれから民家に隠れながら駅まで着いたまでは良かったのだが、駅のホームはもちろんの事、駅周辺も大量のゾンビが彷徨いているのだった。
新千歳から避難して来た人達が感染してしまったのだろう。
その情報を、とある民家のテレビで知って驚愕した。
ここ苫小牧だけではなく、世界中でゾンビパンデミックが起こっている事に。
この状況では救助の可能性は低いだろう。
警察は機能しているかわからないし、自衛隊も要人やライフラインの警護でそれどころじゃないだろう。
未だに電気が通っているという事は、まだ頑張ってくれてるみたいだ。
「さて、これからどうする?」
「警察署に行くのは決定ね。壊滅している可能性が大きいけど武器の調達をしたいわ」
「キタムラ」
「ごめんなさいイノウエさん!配慮がなかったわね」
「いいのキタムラさん。私も世界の現状を知って、お父さんが絶対に無事とは思ってないから」
この状況だ。
警察署に勤めているイノウエのお父さんが生きている可能性は低い。
うまく警察署で籠城出来てれば良いが、市民優先の警察官にゾンビを撃つのは難しいだろう。
そこから瓦解してジエンド、が簡単に想像できる。
ただキタムラが言うとおり武器が欲しいので、警察署に行くのは確定している。
「問題はその後だよな」
「私から提案があるわ」
「何?キタムラ」
「ここにまだ電気が通っているという事は、発電所がまだ機能しているという事。ではその発電所を守っているのは誰?」
「そういう事か。自衛隊がいるんだな」
「そう。発電所まで辿り着ければ、自衛隊と合流できる可能性が高いわ」
「でもどうやって発電所まで行く?海があるから遠回りになるんじゃないか?」
「警察署から南に行けば港があるわ。そこで船を調達する」
「船があればいいが。まあなかったら地道に回り道すればいいか」
「そうね」
「はい!発電所に行くのが決定となると後は家族だね」
俺とキタムラで意見をすり合わせていると、イノウエが家族の心配をしてくる。
「俺の両親は警察署の近くの市役所に勤めているから、警察署に行くついでに探せるかな。イノウエのお母さんも警察署の近くに住んでいたよな?」
「そうだね。警察署か市役所に避難してればいいけど」
「私の両親は山奥にいるから心配しなくていいわ。あの人達ならこんな状況でも何とかするはず」
「ヒヤマは?」
「あー、僕の両親は海外にいるから気にしなくていいよ」
これで決定だな。
まずは警察署に行き、イノウエの父親の捜索と武器の確保。
そして次に警察署及び市役所で、イノウエの母親と俺の両親の安否確認だ。
合流でき次第、海に向かい船を探し発電所を目指す。
あとはこの状況を打開するだけだか。
「あっ!」
「ヒヤマどうした?」
「駅の北側にある店にゾンビが集まっている」
駅の北側というと、MEGAで殿堂な店か。
確かにあそこなら避難した人が集まってそうだな。
「その分、東側の道路が手薄になってるね」
「よし。すぐに行動しよう」
悪いがその人達には囮になってもらおう。
予めいつでも出発できるように準備中をしていたので、外に出るのに時間はかからない。
ここに来る途中に手に入れたジープに俺達は乗り込む。
運転は、ヒヤマが出来るという事で任せてある。
本当に授業以外ではハイスペックな男だ。
東側の通りに出ると、確かにゾンビは少ないがいないわけじゃない。
ヒヤマが器用にゾンビを避けながら走り、サンルーフから身を乗り出した俺が釘打ち機でゾンビを撃って倒す。
イノウエとキタムラは徹底的に周囲確認をしてもらっている。
ここまで来るまでに出来上がったパターンだ。
それを駆使し、俺達はようやく警察署に辿り着くのであった。




