31 寝る子は捕まる
奇しくも、たまゆ・・・
はっ!私は何を言おうとしたのでしょう。
女性陣だけのメンバーとなりショッピングモールを目指します。
しかしどこも道が塞がっていて思うように進めません。
これは一回どこかで情報を仕入れるのが良いかもしれません。
そう考えながら進んでいると、進行方向に病院が見えてきました。
病院は閑散としており、一見無事なように思われますが、私は知っています。
入った途端にゾンビの群れが現れ襲われてしまうんですよ。
なのでここはスルーです。
案の定、病院の前を通るとバスのエンジン音に釣られてか、ワラワラとゾンビが出て来て追って来ました。
わかっていても怖いもので、私はアクセルの踏み込みを強めスピードを速めます。
バックミラーを見るとゾンビがいなくなっていて一安心。
と思って前を見たら今度は前に!
人でした。
学生服の男子四人組が、道に立って行く手を塞いでいました。
ゾンビは轢けても人は轢けません。
彼等の前でバスを止めます。
「なんでしょう?」
私は運転席の窓から顔を出し、恐る恐る訪ねます。
こっちは武器なんて持ってませんが、相手はバッドやら鉄パイプで武装してますし。
「僕達はこの先の高校の生徒です。食料を確保しに来ていたのですが、その途中でバスを見かけたので」
「そうなのね。私達は西にある高校の教師と生徒よ。こちらの高校は無事だったの?」
「はい。何とか門を閉めるのが間に合いまして。何体かは入り込んでしまったのですが、皆で協力して倒しました」
ふむ。この先にある高校と言えば大学付属の所ですね。
無事だと言うならそこで情報収集するのも手かもしれません。
すると先程から話しているリーダーっぽい男の子が提案してきます。
「もし行き先に困っているのなら、僕達の高校に来ませんか?」
「行っても大丈夫なの?食料とか足りなくならない?」
「学校の備蓄品がまだ沢山あるから大丈夫ですよ」
「ご飯食べたいんだよ!」
寝てたはずの井口先生がいつの間にか話しに入って来ています。
んー、なんでしょう?どこか違和感があるのですが。
「ご飯、ご飯!」
「お腹空きました」
「お腹ペコペコなので」
三人が主張してきますが、あなた達さっきまで寝てて何もしてないですよね?
それに井口先生はご飯抜きですよ?
でもしょうがないかと思い、違和感の正体を確かめずに承諾してしまいます。
「わかったわ。お願いしても良い?」
「はい。それで、案内するのでバスに乗せてもらって良いですか?」
「良いわよ。今開けるわね」
私はバスの前にある入口のドアを開けてあげます。
それが失敗でした。
男の子達はバスに入って来た途端に態度を豹変させ、ポケットに隠していたナイフを私達に当てます。
「ヒャハハー!騙されやがって!」
先程まで後ろで静かにしていた男の子が、世紀末的な雑魚い笑いをしています。
ようやく違和感の正体に気付きました。
学校に食料があるのに、わざわざ危険を冒してまで外に出ないですよね。
私のミスです。
皆さんごめんなさい。
「ちょっと何するんですか!」
「うるせぇ!学校に行くまでガマン出来ねぇからちょっと触らせろ」
「嫌です!」
ギブさんが襲われています。
他の二人は幼児体型ですからね。
と、そんな場合ではない。
「やめなさい!バスを動かさないわよ!」
私はバスを盾にし男達を制止します。
「やめておけ。学校に着いたらやり放題なんだから、それまで我慢しろ」
リーダーが雑魚男を諌め、その場では事なきを得ました。
しかしどうしましょう。
学校に行くみたいですが、そこは本当に無事だったようですね。
でも何故食料が必要なのでしょうか?
ここは大人しく着いて行き、隙を見て皆を助けるしかなさそうですね。
私はバスを走らせながら、今後の算段を練るのでした。




