表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/83

30 寝る子は育つ

私達はバスで脱出した後、近くの公園でバスを停め、今後の予定を話し合います。

広い公園なのでまだゾンビの影はありません。


「俺は警察署に向かうのが良いと思います。イノウエの父さんが警察署にいますから」

「そうね。異論はないわ。それが一番確実だと思うし」


スワベ君の提案に同調します。


「でもでも、警察署は無事なのかな?さっきから電話も通じないんだよ」

「私も父さんに電話しているのですが繋がらないですね」


井口先生が疑問を呈し、イノウエさんもお父様と連絡が取れないみたいです。

電話が繋がらないのは痛いですね。

ネットも繋がらないので、情報が何もないですから。

ラジオも混線しているようですし。

後はテレビでしょうけど、スマホで見れないので、どこかで一度落ち着きたいですね。

とりあえずは警察署に行くという事で、全員の意見が一致しました。


公園にもゾンビが集まって来ましたので出発する事にします。


「キャア!先生、横からゾンビが!」


キタムラさんの声で私も気付きます。

私はアクセルを踏み込みます。


「あれは人ではない。ゾンビ、ゾンビ」


自分に言い聞かせるように呟きながらゾンビを跳ね飛ばします。

フロントガラス越しに目の前に迫ったゾンビの顔を一生忘れないでしょう。

公園の敷地を出た所にある交差点に差しかかった時、私達はようやく今の現状を目の当たりにしたのです。

そこには衝突した車の数々が、交差点いっぱいに停まっていました。

周りにはゾンビが徘徊しています。

迂回したとしてもどこもこのような状況でしょう。


「俺が行きます」


スワベ君が車を避けに行くと言い出しました。


「ヒヤマ、援護してくれるか?」

「了解」

「私も行く」

「イノウエは危ないからバスに残っていろ」

「嫌よ!私はもう誰も失いたくないの!」

「スワベ、私も行くわ。イノウエさんと私で援護する。バスから離れないからいいでしょう?」

「わかったよ。危なくなったらバスにすぐ乗れよ」

「うん!」

「わかったわ」


スワベ君、ヒヤマ君に加えイノウエさん、キタムラさんも行くようです。

私は助手席に置いておいた鉄パイプをイノウエさんに渡す。


「危険だと感じたらすぐに戻るのよ?」

「わかりました」


私に出来るのはこれぐらいです。

後はいつでもバスを発車できるよう準備するだけです。

適材適所とはいえ子供にばかり危険な目に合わせるなんて教師失格ね。

もう一人の大人の井口先生はグースカ寝ていますし。

これはご飯抜きですね。


準備が整いバスの外に四人が出ます。

バスは動かす車の側に付け、四人がいつでも乗り込めるようにします。

まずヒヤマ君が近くにいたゾンビの頭に釘打ち機で釘を打ち込みます。

それを見てスワベ君が車へ近付き、タイヤを回して車を動かします。

こういう知識はどこから得るのでしょう?

本当に頼りになる生徒達です。


「スワベ君、危ない!」


車を動かしていたスワベ君にゾンビが迫ります。

ヒヤマ君は別のゾンビに対応していて間に合いません。


「やらせない!」


イノウエさんが鉄パイプを一閃、ゾンビの頭に突き刺します。

ホッとしたのも束の間、今度はイノウエさんに別のゾンビが襲いかかります。


「私も、私もやれるんだから!」


キタムラさんがドリルを回しゾンビの頭に刺すと、血が飛び散り制服が血だらけになってしまいました。

でもこれで近くにいたゾンビはいなくなり、四人がバスに乗り込もうとした時それは起こりました。

暴走した路線バスが、私達の後ろから交差点に突っ込んで来たのです。

後ろから追突された私達のバスは、スワベ君が開けてくれたスペースを通り抜ける事が出来ました。

しかし道路の向こう側に四人が取り残されてしまったのです。

路線バスが交差点を塞いでいた車に衝突したため、その車が火を吹き始めすぐに爆発しました。

その影響でバスにも火が燃え移り、完全に四人と分断されたのです。

スワベ君が向こうから叫びます。


「警察署には俺達だけで向かいます!後でショッピングモールで落ち合いましょう!」

「わかったわ。どうか気をつけてね」


そう言うと炎の勢いが増し、完全に向こう側が見えなくなりました。

今までの最大戦力がいなくなり、戦闘力皆無なこの面子で生き残れるか不安でしかありません。

でも大人の私が頑張るしかありません。

と、未だに座席の下に落ちながらも寝ている、井口先生を見ながら思う私でした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ