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仲間No.7 杉田 智(すぎた とも)

俺の名前は 杉田 智だ。

30歳、独身。

彼女がいるが、今は音信不通だ。

多分もうこの世にはいないだろう。

俺は昔から剣道をやっていて、高校では国体にも参加した。

その後、警察官になったが新人いびりに嫌気がさして辞めた。

で、今はタンクローリーの運転手だ。

タンクローリーの取り扱いには細心の注意が必要で、ちょっとの静電気でも一瞬でドカンだが、剣道をやっていた時の集中力が役にたった。


こんな俺にも剣道時代には弟子がいた。

眼鏡をかけてナヨナヨしているが、いざという時は頼りになるダイスケ。

いつもチャイナ服を着て、竹刀を持つより素手の方が強いんじゃね?と思うリエ。

昔は三人でよくつるんでたっけな。

ダイスケの姉にちょっかいを出して殴られたり、リエの父や兄とも勝負したな。


そしてあの日を迎えた。

俺は朝からガソリンの納品のため、高速を使い苫小牧方面へ向かっていた。

千歳方面からの車の量がいつもより多い事に疑問を感じながら走り続ける。

そして一旦休憩をするため、輪厚パーキングエリアに駐車した。

そこでちょっと早めの昼食を取ろうとガラス張りの建物の中に入る。

腹を空かせた俺が店内に入って見たものは、アズキを咥えた人、ではなく青白い顔をし口元を赤黒く染めた人だった。

そいつがいきなり大口を開け襲いかかって来たので、そばにあったお土産用の木刀を手に取り突きを見舞った。

しかしそいつは何事もなかったように立ち上がり再び襲って来る。

俺は覚悟を決めた。

多分こいつらは俗に言うゾンビだ。

だから頭に致命傷を与えれば活動を停止するだろう。

俺は躊躇うことなく木刀を脳天目掛けて振り下ろした。

木刀が頭にめり込みゾンビは倒れて動かなくなった。

ホッとしたのも束の間、奥からどんどんゾンビが湧いて来た。

次々と木刀をゾンビに振り下ろしながら、俺は楽しくなっていた。

確かに剣道の試合をやっていた時から試合が面白くてしょうがなかったが、命の取り合いをする死合で戦闘狂が目覚めたようだ。

店内にいる全てのゾンビを倒し、昼食用に軽食コーナーにあったホットウォーマーから揚げ物を頂戴した。

アズキはなかった。


車に戻り、ゾンビ発生の原因を考えながら唐揚げを食べていると、反対車線の方から車の衝突音が聞こえた。

そっちを見ると、渋滞で止まっていたはずの車が発進し、前の車に衝突したようだ。

その車を見ると運転席の男が車の横に立っている女に噛みつかれていた。

逃げようと思い、ついアクセルを踏んでしまったのだろう。

後ろの方を見ると、千歳方面から続々とさっき見たゾンビと同じような奴らがこっちに向かって来ていた。

数は200ぐらいだろうか。

次々に車から逃げ出す人に噛みついている。

これはヤバいと思いエンジンをかけ車を発進させようとするが、こっち側の車線もすでにゾンビで一杯だ。

轢き潰そうかとも考えたが、あの数だとすぐにタイヤがスリップしてしまうだろう。

そんな時に俺は発見してしまったのだ。

こちらに歩いて来るゾンビの中に、眼鏡をかけた男とチャイナ服の女がいて、そいつらが人を襲っているのを。

俺は絶望を感じるのと同時に、あいつらを介錯してやるのが俺の務めだと思った。

さっき使った木刀を手に俺は奴らの下に向かった。

近付くゾンビを次々に木刀の餌食にし、あいつらの所に辿り着いた。

二人は他のゾンビと違い赤い目をしていた。

他のゾンビよりも動きが速い。

(だが昔のお前らはこんなもんじゃなかったはずだ!)

眼鏡の攻撃をかわし頭に木刀を振り下ろす。

チャイナ服の攻撃をかわし頭に木刀を刺す。

気付くと俺は、笑いながら泣いていた。


俺は誓った。

こんなクソッたれた世界にした奴を絶対潰すとな。


それから俺はあいつと出会ったのだ。

このクソッたれた世界を変える事のできるだろう、あの間抜け面の男に。


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