24 北海道名物
俺は悠木からの無線で状況を把握する。
ギャーギャーうるさかったが何だったのだろうか。
悠木か見たドローンの映像によると、ここから500mほど先のパーキングエリアの駐車場でタンクローリーがゾンビに囲まれ、道の駅は燃えていて辺りには煙が上がっているとの事だ。
運転席にはまだ人が乗っていて、それでゾンビ共が群がっているのだろう。
ゾンビの数は大凡300体。
300体ぐらいなら俺と大橋と阿澄で討伐は可能だ。
タンクローリーは更に先の新千歳辺りで使わせてもらうとするか。
運転手次第だが。
車を待機させ、俺は大橋と阿澄を連れてタンクローリーの救出へ向かう。
タンクローリーに近付くとゾンビ共が一斉にこちらを向く。
俺はゾンビ共に命令し停止させる。
さあ、レベルアップの時間だ。
大橋と阿澄をゾンビ共に向かわせる。
たまに赤目ゾンビが混じっているが、紫目ゾンビはいなく雑魚ばかりだ。
蹂躙が始まった。
ゾンビ共は二人のスピードに付いて行けず、次々と倒れて行く。
俺はその隙を付きタンクローリーへ近付く。
「おい、大丈夫か?」
「ん?何だお前?ゾンビ共はどうした?」
「今倒している所だ」
そこには白い髪の飄々とした男がいた。
その男が周りを見渡し驚愕する。
「何だあのちびっ子共は!めちゃくちゃ強えじゃねーか!」
「俺の配下なんだから当たり前だろ?」
「配下って何だ?まさかお前あんな小さい子を」
「違ーう!それは後で説明するするから。俺は福山だ。あんたの名前は?」
「俺は杉田だ」
「じゃあ杉田くん。単刀直入に言うが、このタンクローリーくれないか?」
「はっ?やるわけねーだろ?」
「じゃあ助けるの止めるわ」
そういって二人に撤収するように伝えようとすると。
「ちょ、ちょっと待て!」
「なんだ?」
「この車をやったら俺はどうするんだ?」
「安心しろ。他にも車がある」
悩む杉田。
「命には代えられないよな。わかったお前にやる」
「ありがとうな。大事に使うよ」
嘘だ。
後で爆破するのは決定済みだ。
色々諦めた杉田が辺りを再度見渡して、
「なんかゾンビの奴ら止まってねーか?」
「俺が止めているからな」
「お前何者だよ。まあいい、これなら俺でも倒せそうだな」
そういって杉田は助手席から赤黒くなった木刀を取り出す。
木刀には文字が彫られている。
北海道名物のあの文字が。
「ゾンビ共覚悟しろ!」
そういってゾンビの群れに突っ込んで行く。
木刀を頭に刺したりかち割ったりしている杉田は笑っていた。
(どこの白髪鬼ですか?)
ほどなくして戦闘が終了する。
「いやー、楽勝だったな」
良い笑顔をして戻って来る杉田。
俺的には配下の経験値を奪われたので不満だ。
でもこいつ強いな。
今までは俺と配下の三人が戦力だったが、これからは杉田にも戦ってもらおう。
俺は無線を飛ばし皆にこっちに来てもらい、杉田を紹介する。
「バトルジャンキーだ」
「戦闘狂かよ」
「怖いですね」
「怪我しないでね」
「ライバルッス」
「汚い」
「ツヨカッタデス」
「オラオラオラァ、ッテイッテタヨ!」
「あれ?杉田か?」
内田さんちょっと酷いですよ?
確かにゾンビの返り血を浴びて服が汚れているけど。
後で着替えを渡してあげよう。
着物は残念ながらないけど。
どうやらオッサンと知り合いらしく、家が近所で居酒屋でよく一緒になって飲んでいたらしい。
「藤原のオッサン!久しぶりだな」
「おお。元気だったか?」
「ああ。こんな世界じゃ元気もクソもないけどな。奥さんと子供は?」
「死んだよ」
「そうか。あっ、そうだ、道の駅からくすねて来た酒があるけど後で飲むか?」
「飲む飲む。今夜は酒盛りだな」
と二人で笑いあう。
男の友情だな。
これでオッサンも寂しくなくなるだろう。
やはり道草を食ってしまったが、タンクローリーという最大の武器を手に入れた俺達は更に南下して、一番の難関の新千歳空港ICに挑む。




