第二章 1 『この世界』
今回はたくさん設定がでてきて、たくさん情報がでてきます。
わかりにくかったらごめんなさい。
そういうわけでカルシュが味方となってくれた。
私は今カルシュのもと、この世界についてのお勉強だ。
まずこの世界は魔法ありあり、戦闘どかどか、という感じらしい。
もちろん人外もたくさんいて、多くの種族が存在しているそうだ。
私達が今暮らしているのはエルメッテ帝国という帝国らしい。
世界の中でもトップクラスの軍事力と経済力を誇り、皇帝を中心とした国の運営を行っている。
今いるこの家はフォート家という由緒正しい家系らしい。
父のインテリゲント・フォートが帝国軍級魔剣術士という肩書を持ち、帝国軍の壱番隊副隊長というものを務めているらしい。
まず帝国軍とはなんなのか。
それはこの家が所属する帝国の皇帝率いる世界有数の超有力部隊のことらしい。
全5000人から編成されているこの軍隊は、七部隊に分かれており、それぞれに隊長、副隊長、参謀がいるらしい。
この帝国軍というものに入るのは結構大変そうなのだ。
まず、この国の軍隊はエルメッテ軍という。
そこには初級、中級、上級、師範級、守護級、帝国軍級、魔法帝級という階層がある。
エルメッテ軍は全1500万の軍勢を誇り、その中の上位5000人が帝国軍に所属できる。
この守護級の戦士が訓練兵となり、実際の帝国軍級の人たちから訓練され、選抜試験に合格すれば帝国軍に入れるらしく、選考基準も大変厳しいそうだ。
そしてその上にある皇帝直属の部隊というのが魔法帝という集団らしい。
帝国軍は基本的には皇帝の命令で動くが、大規模の軍隊なので、それぞれの隊長がそれぞれの隊を動かすらしい。
しかし魔法帝は隊長というものはなく、皇帝から直接命令を受け、動く部隊らしい。
この人たちは魔法帝学校という超エリート学校の成績優秀者の中で選抜で決められるらしく、超難関として有名らしい。
数人しかいなく、皇帝を守るための特別部隊だそうだ。
ちなみに王族の血を引いていることが魔法帝に入る必須条件らしい。これでほとんどの人が落とされるのだろう。
魔法帝学校で魔法帝に所属しなかったものはだいたい帝国軍で隊長やその他の肩書を得たり、暗躍部隊に所属したりと、色々進路が別れるらしい。
結局私は絶大な権力を持っているであろう皇帝が何者なのかというのが気になる。
そしてインテリゲントの肩書はフルネームで、壱番隊副隊長帝国軍級魔剣術師、らしい。
いや、長すぎる。
これは壱番隊副隊長であり、帝国軍に所属するという意味と、
最後の魔剣術士というのは、魔剣と魔術を両方操ることができるという。
本来ならば片方しか使えないそうだが、どうやらハイスペックらしい。
どちらにも秀でているというのは王族級の才能があるそうだ。
何者なのだ、インテリゲント。
あまりに情報が多くて私はこんがらがっている。
それなのにカルシュからの説明は止まらない。この国の一般常識らしい。
しかも帝国軍の肩書を持つ人の家族は皆優秀でなければならなく、教育もまた厳しいものとなってくる。
「だから魔法も剣術もやるって朝食のときに言ってたのか…」
「そうだよ、私達は大忙しなんだから」
やはり由緒正しい家だったか。私はこんな状態で両親を怒らせないか心配だ。
これでこの何もできないからっぽな私が着てしまったせいでクルシュの今までの努力を無駄にしてしまわないか不安になってきた。
「でも安心して。お父様は慈悲深いお方なんだよ。だって私達が世間の目にさらされないように首都圏から遠く離れたここの森のなかに小さなお家を建てて、のびのび学べるような環境を用意してくださったんだよ」
「そうなの?」
「帝国軍級のトップたちは家族にまで期待の目が集まる。それは名誉なことでありながらも重圧なんだよ。それから私達を守ってくださっているの」
たしかにカルシュたちの父、インテリゲントは優しい人のようだ。
確かに見た目からも聡明で力強く見守る父、という印象を受ける。
これは恵まれた場所にいるのだな。
「じゃあ、お母様の説明に入るね」
「え、まだあるの」
「お母様――サージ・フォートもまたすごいお方なんだから」
次に母、サージ・フォートの肩書である。
彼女は帝国軍級守護訓練魔術師、というらしい。
これは先程説明した、帝国軍に入るための守護級の人々を訓練している魔術師、という意味だ。
つまりサージは教官であり、帝国軍を育てているということだ。
サージもかなりの実力者で、女性で帝国軍に入るというのは珍しいらしい。
「お父様からは剣術を、お母様からは魔術を教わっているんだよ、私達は」
カルシュが誇らしげに胸を張る。
それはそうだろう。このような立派な両親に囲まれていたらさぞ鼻が高かろう。
「お父様は魔法も使えるけどお母様は魔法の専門家だから魔法だけでいったらお母様のほうが強いかもしれないんだよ!」
「副隊長と張り合えるなんてお母様はすごいんだね」
「何よりもお母様が得意とするのは治癒魔法だよ!帝国で知らないものはいない、治癒魔法の名手なんだ。だからお母様は訓練兵が死なないようにという意味も兼ねて教官を任されていらっしゃるらしいよ」
「治癒魔法…確かに聖母のような見た目だったな」
「だからもし戦いがあったときはお母様は前線に行かれて、治癒魔法を施すそうだよ。女神って有名なんだって!」
カルシュはサージが大好きなのだろう。
あんな美男美女のエリート両親を持っていたら誰もが羨ましがるに違いない。
「それで、私達のことは?」
大事なのはそれだろう。まずはクルシュ、そしてカルシュについても詳しく知っておかなければならない。
「私はカルシュ・フォート。あなたはクルシュ・フォート。15歳の仲良しの双子だよ。私は剣術が得意。そしてクルは魔法が得意だよ。クルの得意魔法は風魔法。風の精霊、イルゼ様と縁があるんだね、きっと」
「精霊?」
「魔法は基本的に四属性に分かれてる。風、水、火、氷だよ」
「あそこ地じゃないんだ」
私が思っている四属性とは少し違った。
「大地は私達の力の及ばぬ精霊たちの領域。干渉できても操ることはできないよ」
「さっきから言ってる精霊って何なの?」
「その四属性を司っているのが精霊。その精霊たちの加護があるおかげで私達は魔法を使うことができるんだよ」
なるほど、魔法とは精霊のものなのか。
きっとさっき言っていた精霊イルゼというのはクルシュが得意とする風魔法の精霊なのだろう。
「魔法を極め、精霊と接触することができればそれはすごいことなんだよ。クルは風魔法の名手だからきっといつかはイルゼ様と接触することもできるかもしれないね」
「じゃあ、魔法のすごいお母様はどうなの?」
「いいとこに気づくね。お母様は治癒魔法の名手。癒やしを司る属性は水魔法だよ。だからお母様は水魔法を極めているの。そしてお母様は水の精霊、キルイ様と出会ったことがあるんだって」
カルシュの話では、サージはまだ守護級魔法使いで、帝国軍に入るために訓練兵となっていた頃。
女性で訓練兵というのは少なく、肩身の狭い思いをしながら訓練に励んでいたのだが、自分自身の限界を悟ってしまうこととなる。
それでも自分の水魔法への適性と帝国軍への憧れ、治癒術師としてのプライドを懸け、必死に訓練していたところ、精霊と出会ったそうだ。
そこで精霊からの加護を受け取り、水魔法の技術が大幅に向上、色々なスキルを身に着け、見事帝国軍に入ることができ、精霊に出会った者として一躍有名になったそうだ。
「この通り、精霊と出会い、加護をもらうことができればその魔法の高みを見ることができる。だからみんな精霊に出会う機会を求めているんだよ」
「これってランダムに出てくるの?」
「精霊が素質と人間性を認めたら姿を現してくださるんだよ。真摯に魔法と向き合い、そしてそれを良い方向に使うものだけが精霊の加護を得ることができる」
精霊も選り好みをするらしい。
確かに自分の力を分け与えるならば自分の気に入った人がいいのだろう。
「一旦この世界の一般常識はこれくらいでいい?」
「疲れた…情報過多すぎる」
疲れたという顔をしてみせる私にカルシュは微笑みを向けてくれる。
そして無慈悲にも六法全書かと思うほどの本を取り出し、私の前に座る。
また話が始まるのか。もう覚えられないよ。
そう心のなかで愚痴をこぼしたその時、
「――じゃあお待ちかねの、あなたがどうしてこの世界に来たのかという説明と、帰り方についてだけど」
そうカルシュが言った途端、私はカルシュの前に座り、話に耳を傾けた。
情報過多な感じは次回まで続きます。




