第一章 1 『状況確認』
まずは整理しよう。混乱はさらなる混乱を招くだけである。
私は何をしていたのか。その答えはいたって簡単に出てくる。学校から帰り、好きなボカロPの新曲を聞こうとうきうきで帰っていたところだ。
そこまでは覚えている。しかし目を開けたらそこは見慣れた登下校ルートではなく、しらない部屋の中だったのだ。
そこに意識のラグはない。本当に一瞬の出来事だったのだ。
そして私が飛ばされた部屋を見てみよう。
まず目に入るのは自分が腰掛けている大きなベッドだ。部屋を見渡す限り、少し良家に生まれたお嬢様、あたりの立ち位置だろう。
ベッドには大きな枕が2つ。なかなか悪くない触り心地である。星3つ。
そして部屋の大きさはざっと学校の教室くらいだろうか。でかいな。
ベッドから降りて床に立ってみる。ふわふわのカーペットがはだしの足によく馴染む。
窓は2つ。どちらもカーテンは開いていて、外からは眩しい陽の光が入ってきている。陰キャにはちときつい光量だ。カーテンを閉める。
あとは勉強机らしき机(分厚い本が三冊立てかけられている)、本棚×2(皮で装飾された本がびっしり)、クローゼットらしき木の収納箱(木の家具のいい匂いがする)くらいだろうか。
なかなかシンプルで住みやすそうな部屋である。
そして部屋のクローゼットもどきの横においてある姿鏡を覗き込んでみる。
そこに写っていたのは見慣れたショートヘアのぱっとしない顔の私――ではなく、
「いやマジ美人だな」
白髪で紫紺の瞳を持った15歳ほどの少女の姿だった。
みぞおちほどまで伸びたよく手入れされた髪は寝癖でやや乱れ、白いワンピースのような服を着ている。パジャマ代わりだろうか。
あまりに私とかけ離れた姿に驚きはない。
なぜならそんなことがあったときの予行練習は日頃から余念がなかった。
つまり、あれだ
「これ、絶対異世界転生だよな」




