君の課は
二次試験終了から体感にして数十分後、試験の結果が出たようだ。
俺は…合格だった。まあ、この結果は予想してたが、受かるというのはうれしいものだ。
この後、町長室で内示があるようだ。
だが、困ったことにこちらの世界の正装が全く分からない。文化的には西洋っぽい気もするが…職員はみんなTシャツにズボンのようなもので、ビジネスカジュアルみたいだ。
内示は正装で受けねば、という固定観念があるため、どうしてもやはり、この格好というのは違和感がある。
そんな悶々とした思いを抱えていると、町長室に呼ばれた。
「合格、おめでとう!筆記試験、論文、面接全てにおいて過去最高得点だそうだ。文句なしの合格だよ!」
「ありがとうございます。過去の経験が活きました。」
「さて、早速君の内示を発表するわけだが…ここだ!」
ビシッ!と差し出された辞令には、こう書かれていた。
企画政策課
「あれっ」
「なんだ?不満か?」
「あ、いえ、なんていうか以外だったというか…」
「まあ、言ってしまえばほぼすべての部署が君を欲しがったんだ。」
【流れ人】の先人たちが残した実績もあるだろうが、欲しがられるというのは非常にうれしい。
「もっと言うと、あの面接した3人がいただろ?特にその3人が欲しがった。何なら殴り合い・魔法合戦に発展しそうだったからくじ引きで決めたんだ。」
「くじ引き…」
「それで企画政策課になったという訳だ。まあ、新しい政策などを打ち出すにはうってつけの場所だ。君の能力を生かしてドンドン素晴らしい政策を提言してくれ!」
「わかりました!!」
「うむ、では早速町の説明からしようか!!」
と、町長が言うと、俺の代わりに腹が返事をした。
「ははは!!腹が減ったか!!では飯でも食べながら説明をしよう!行きつけのカレー屋があるんだ。カレーも歴代の【流れ人】がだな…」
町長の後をついていきながら、今後どんな政策を打つか、どんなことをしてやろうかと野心に燃えていた。
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「スノー町は、人口1万人程度の小さな町で、豊かな自然がある。農業・漁業・林業が盛んで、1次産業が強い。」
「ふむふむ」
「さらに、自然を住処にする魔獣も多い。」
「魔獣?」
「そう、魔獣だ。その反応を見るに、君の世界にはいなかったんだな。魔獣は、自然動物が魔力によって変異したものだ。自然動物との違いは魔法が使えるいことだな。しかし、その代わり、身に蓄える栄養が多く、非常に美味とされる。」
「なるほど…この肉は?」
俺はカレーに入っている肉を指しながら聞いた。
「その肉は、家畜の肉だ。普通にその辺の市場でも売られている。」
「魔獣は家畜にできないんですか?」
「それが、できないんだ。魔獣は人に懐かないし、そもそも繁殖をしない。1代限りの生物なんだよ。」
「なるほど…」
魔獣は本当に家畜にできないのか、できたら特産品になるんじゃないか、などルイの頭は新政策を考えることでいっぱいだった。
「ルイ君、君はすごいね。こんな時にも政策を考えて町を豊かにしようとしている。君のいるところはやはり行政に違いない。」
「あはは、恐縮です。」
美味しいカレーを食べ終え、次に向かったのは不動産であった。




