え?俺もしかしてヤバイ?
「魔力が…ない?」
え、魔力なし?まあ、そりゃ俺は地球の一般人ですし…
「【流れ人】でも魔力は少しは、持っているはずなんだ…それが0はおかしい!!」
「え?もしかして俺ヤバい?」
「ヤバいなんてものではない!!君が生きているのが不思議なくらいだ!!だれか!!誰かいるか!?魔法課長を呼んでくれ!!」
「すぐ呼んできます!」
町長室に一番近い課だから、総務課だろうな…なんて考えていると、いかにも魔女の装いで、妙齢の女性が、若い職員に連れられてやってきた。
「お待たせしたよ、町長。私を呼び出すってことは、例の【流れ人】だね?そんなに魔力量がすごかったのかい?」
「ああ、シャシャール、忙しいところすまない。いや、まあいろんな意味では凄かったんだよ。」
「ん?」
「彼は魔力量が0なんだ」
「0かい、そうかい、0かい…0!?あんた、どうやって生きているんだい!?」
「キシャール、それは私がもうやった。」
「んんん…と、とにかくこの者は魔力が無い。生まれたばかりの赤ん坊ですらあるのにだ。つまりこれは…細かくはわからんが、【流れ人】の特性というとこだろう。」
「まあ、僕は魔力とは無縁のところから来たので…あ、でもタイラさんとは同郷かもだし…?」
「タイラ…タイラ様のことか!?」
「タイラ様か…まあ英雄様はそう扱われるよね。たぶんシャシャール課長の思ってるタイラ様ですよ。」
「それは誠か!!同郷というのは!!」
「え、はい。多分ですけど。」
「ならばおぬしにも英雄の才が…でも魔力は0…うーぬ、わからん。」
「シャシャール、とりあえずは他の能力をチェックしよう。もしかしたら、その部分で英雄の才能があるのかもしれない。」
「そうじゃな、そうしよう。」
「では、場所を移して次は身体能力検査だ!」
町長に連れられて、着いた先は、
「体育館?」
「タイイクカン、というのが何かは分からんが、ここは訓練場!町民にも解放されていて、ここで皆体を動かし、汗を流しているぞ!」
なるほど。町民にも解放されている体育施設か。スポーツ振興もなかなかよくされているようだ。
「とりあえず、身体能力検査だが…走ることから始めようと思う。訓練場の端から端まで走ってもらい、速さのランク分けをしてくれる魔法がある。それをつかって、ルイ君のスピードを測る、というわけだ。」
「はあ…」
「とりあえず、走ってくれたまえ!!」
と言われた通りに走ってみたものの、俺の足の速さは地球にいたころのままで、特別速いわけでもなく、むしろこっちの世界では遅い方だった。
力の強さも同じように測ったが、全然。鍛えていたわけでもない俺は、本当にただの弱い人間だった。
「薄々気がついていたけど、こうして現実を突きつけられると落ち込むな…」
「ううむ、ルイ君、だが、この世界には産業革命など、知力で英雄になった者もおるのだ!最後は知力を測ろうではないか!!」
「そ、そうですね…」
ファント町長の優しさに涙が出そうだったが、俺は最後の希望を託し、知力検査に臨んだ。




