魔力が…ない?
町長室に到着し、ソファに向かい合わせで座らされ、町長と向かい合った。
「早速だが、ルイ君。本町の条例で【流れ人保護実施要綱】というのがある。【流れ人】を本町で保護した際の規定なのだが、これに基づいて我々は行動する必要がある。」
条例、要綱、懐かしい響きだな。まあ、町ならあるわな。
「はい、じゃあ俺は何をすればよいですか?」
「まずは魔力を計測する必要がある。その次に身体能力、知識などを測定する。これは、【流れ人】に英雄の素質があるか、ないかを知るためだな。で、もし仮に、能力が高くない場合でも、【流れ人】の生活はある程度保証されるのだ。」
「それは、どの程度?」
「そうじゃな…こっちの世界の基準でいうと、太陽が100回上るまでは、衣食住は保証される。それまでに、職につき、自分で住むところを見つけ、こちらの世界に順応してもらうのだ。」
なるほど。生活保護みたいなものか。いきなり知らない世界にほっぽり出されて、はい生活してねは無理なことだと俺も思う。
「まあ、この条例自体も先人の【流れ人】が作ったものであるしな。後輩に苦しい想いをさせまいという気遣いだろうな。まあ、そのお方は邪神封印を成功させた超英雄だが…」
ありがとうございます。大先輩。おかげさまで命拾いしてます。
「そのお方はいま何を?」
「現在はこの国の国会議員をしてる。タイラ=ユウイチロウという名前だ。」
「も、もしかしたら同郷かもしれません。名前にとても親近感を覚えます。」
「そうか!!ならばルイ君もすさまじい力を持っているかもしれぬ!早速魔力を測ろうではないか!」
ファント町長はもう待ちきれないといった感じで、握力測定器のようなものを持ってきた。
「これは魔力測定器だ。この取っ手の部分を握れば、握った人の魔力が分かる優れものだよ。さあ!早速にぎってくれ!!」
「こう…ですか?」
ピピッという電子音と共に、示された数字は…0
「魔力が…ない?」
ファント町長が唖然としながらそうつぶやいた。




