ここはスノー町だよ?
「…ん、うわぁ!!」
目の前に二人の少年少女、頭には何らかのコスプレだろう、犬耳がついている。
「わあ!いきなり大声出さないでよ!ビックリするなあ!」
少女の方が犬耳を抑えながら、そう言った。うむ、芸が細かいな、そっちの耳を抑えるのか。
「お姉ちゃん!覗き込んでたのは僕らだし…」
そう言ってくれた弟の方も犬耳を抑えている。ううむ、姉弟そろって芸が細かいな、とルイが関心していると
「んで、なんでお兄さんはこんなところで寝てたの?」
と犬耳姉が尋ねてきた。
「はっ!そうだ、俺は階段から落ちて、バス停にぶつかって…?」
「バステイって…なに?」
「バス停はバス停だよ!ほら、乗り物のバスが停車してお客さんを乗せる…」
嫌な予感がする。というか、最初に発した自分の声が若々しいというよりは、若返っていたことから、薄々嫌な感じはしていたのだが、それがこのやり取りでほぼ確信に変わる。
「なあ、君たち、ここ、日本だよな?」
「ニホン?何それ!知らないわよ!」
「ここはスノー町だよ?おじさんはここの住人じゃないの?」
「スノー町…?俺は、どこに来ちまったんだ…?と、いうか!!」
ルイは寝ていた道にあった水たまりを覗き込んだ。するとそこに映ったのは。およそ30年前くらいの時の自分の姿であった。
「若返ってるうううううううう!!!」
「「お兄さん!うるさい!!!」
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「んで、だ。ここまでの話をまとめると、ここはエイジンって国のスノー町で、君たち二人組は犬の獣人だと。そんで、俺みたいな人のことを【流れ人】って言って、どこからともなくこの世界にやって来ては、魔王討伐であったり、歴史的発見、産業革命を起こす人だと。そして、俺もその一人っていうわけだな?」
「うん!そう!お兄さんも【流れ人】ならなんか凄い能力があるはず!!もし、すごい人だったら、私たち、第一発見者として表彰されちゃったりして!!」
「お姉ちゃん、話がすごい飛躍してるよ…【流れ人】を見つけたら、まず役場に連れて行かないと…」
役場、とても親しみのある響きだ。でも、流れ的に俺は、迷い猫とか迷い犬のような扱いではないか?
窓口でそういう対応をしたことがあるぞ?
「そうだったわね…よし!じゃあお兄さん、役場に行くわよ!」
「わ、わかったよ。案内してくれ。」
俺は、二人の揺れる尻尾に目を奪われながら、後をついていった。




