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AO 《アーティファクト・オーバードライブ》  作者: 天道
第1章 運命の召喚と契約編
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第11話 思い出の喫茶店

今回は天音の持つ免許とかが判明します(笑)



白蓮達と合流して恭弥に案内された場所に俺と千歳は感心した。

「着いたぞ、ここだここだ」

「ここか……」

「へぇー、西洋風の懐かしい昭和時代の建物だね」

恭弥の案内で着いたのは西洋風の小さな建物で昭和の懐かしさを感じるものだった。

窓から中を覗くといかにも喫茶店といった感じの木造中心の落ち着いた雰囲気のカウンター席と窓際のテーブル席が並んでいた。

「学園の中にこんな喫茶店があったなんて知らなかったな」

「私も。でも、中を見た感じだとそんなに時間は経過してないみたい」

「入ってみたいけど、多分……やっぱ鍵がかかってるな」

当然喫茶店の扉には鍵がかかっていて中には入れない。

鍵は恐らく学園の関係者が管理をしているのだろう。

「んー、よし!じゃあおじいちゃんに頼んで鍵を貰ってこよう!」

「いや……千歳。そんなことをしなくてもいいよ」

「え?」

「まあ、ちょっと犯罪を犯すけど見るぐらいなら良いよな……」

「犯罪?」

霊力を指先に集中させて扉の鍵穴に触れる。

「閉ざし扉を開け……霊操百十五番『開錠』」

鍵穴から青白い光が放たれ、俺の手に小さな鍵が現れる。

「開かない扉は開けましょう♪」

ガチャ。

霊力で作った鍵で喫茶店の扉を開ける。

「よし、開いた」

「いやいや、あーちゃん。その理屈はおかしいよ?」

「相変わらず万能すぎるな、蓮宮の霊操術は……」

千歳は懐かしの呼び方をして俺にツッコミ、恭弥は軽く呆れたような顔をする。

俺が千歳をたまに『ちーちゃん』と呼ぶように千歳は小さい頃に俺を『あーちゃん』と呼んでいた。

普段は俺を天音と呼ぶけど、俺と同じで偶に昔の呼び方をいってしまう。

そして……霊操百十五番の開錠は蓮宮十一代目当主が霊煌霊操術を元に作り出した数ある霊操術の一つで、鍵掛けられたものを開ける力を持つ。

流石に科学機械の扉とかそう言うのは無理だけど、アナログ的な鍵を使ったものはだいたい全て開けることができる。

まあ簡単に言えば万能ピッキングと言ったところでこれを使えば泥棒をし放題だけど、そんなことに使うつもりは毛頭ない。

「さて、入りますか」

「お邪魔しまーす」

「ばれないようすぐに出るぞ」

とりあえず中に入るとやはり何年も誰も来ていなかったのか埃が凄く、口を手で押さえながら中に入る。

中に入って気付いたが、喫茶店の雰囲気はとても良く入るだけでも落ち着ける。

「あれ……?この写真……」

喫茶店の壁に掛けられた写真の数々に見慣れた人たちが写っていた。

「おじいちゃん……?」

まずはこの学園を統べる千歳の祖父の学園長が写っていて、その隣には喫茶店の制服を着た老夫婦が写っていた。

更には俺たちの先輩である星桜学園の生徒達がみんな笑顔で美味しそうにケーキなどのお菓子を食べていた。

「この喫茶店のオーナーかな……?」

「部員は……おっ、隣に写って……んんっ?天音、この人達ってお前の……」

「え?」

写真には喫茶店の老夫婦と一緒に二人の男女の生徒が写っていた。

二人とも髪は黒髪で長く、瑠璃色の瞳を持っており、何処と無く顔付きが似ていた。

「『璃音兄ちゃん』……『花音姉ちゃん』……」

それは俺が慕う兄と姉の二人の姿が映る写真だった。

「えっ!?天音ってお兄さんとお姉さんっていたっけ?」

「正確にはいとこの兄ちゃんと姉ちゃんだよ。璃音兄ちゃんと花音姉ちゃんは先代当主の子で、親父は先代当主の弟なんだよ」

「そうなんだ……あれ?でもちょっと待って。『詩音さん』に子供がいるなら、次の当主の座はその二人のどちらかに継がせるんじゃ……」

蓮宮詩音。

蓮宮十二代目当主で俺の叔父にあたる人だ。

詩音叔父さんには璃音兄ちゃんと花音姉ちゃんと言う二人の子供がいて、もちろん二人も蓮宮の武術と霊操術を習得している。

「うーん、兄ちゃんは蓮宮当主になるみたいだけど、五年ぐらい前かな?突然次期当主の座を俺に譲り渡すって言ったんだ……」

「何でだろう?」

「知らない。兄ちゃんも姉ちゃんも二年ぐらい前からどっかに行っちゃったし……」

「どっかって……連絡は付いてるの?」

「偶に写真付きのメールが届くけど、世界の名所のあちこちに居て、しかも蓮宮の銀行口座に多額のお金が振り込まれているんだよね。二人とも、本当に何をやっているのか……」

特に慕っている兄と姉が何をやっているのか分からず、心配でため息をついてしまう。

「まあ大丈夫じゃねえの?あの二人が死ぬことはなさそうだし……」

「恭弥、二人を知ってるの?」

「何回か会っただけど、あの二人はヤバいぜ。前衛と後衛のコンビネーションは抜群で、並みの相手じゃ敵わない強さだ」

『へぇー、そいつは一度相手をしてみたいな』

『千歳よ、変な機械が沢山あったぞー』

『天音!美味しそうなお菓子のレシピがあったよー!』

そこに今まで何処にいたのか、店の奥から色々物色して持ち出した白蓮達がやってきた。

「白蓮、それどこにあった?」

「ちょっと銀羅!?勝手に物色しちゃダメだよ!」

「凄いな……喫茶店の専用器具が沢山あるな……」

それは恐らくこの喫茶店の老夫婦が作ったお菓子のレシピに珈琲や紅茶を淹れる為の専用の器具、更にはお菓子作りの器具だった。

幼い頃から長年お菓子を作ってきた俺だから分かる。

これを見る限りこの喫茶店は本当に本格的で老夫婦の強い拘りを感じる。

「天音、これを元にこの喫茶店を復活させたら?」

「良いじゃねえか!天音はお菓子作りは得意だし、喫茶店のマスターになっちまえよ!」

喫茶店のマスターか……実はちょっと憧れがある。

璃音兄ちゃんに次期当主の座を渡す前まで俺は喫茶店を経営してみたいと思っていた。

儚い夢だと思っていたけど……良いのだろうか?







「ほう、盗人かと思いきやこの喫茶店を甦らそうとする若者達だったか」







ビクッ!!?

突如、背後から渋い声が響き、俺たちは一斉に振り向いた。

「「が、学園長!?」」

「おじいちゃん!?」

そこにいたのは杖をついて歩く学園長だった。

その時俺はある意味死を覚悟したような気分で学園長を見た。

この喫茶店は不法進入で入ってしまったのだ、愛孫の千歳がいるとはいえ主犯は俺だ……ああ、どんな処罰が下されるのだろう。

「学園長!申し訳ありません、全ては俺が……」

「この喫茶店はな……儂の親友が経営していた……」

「え?」

怒られると思っていたが、学園長は昔話を語り出した。

「親友は奥方と共に一流のパティシエでな。子供のいない二人はこの喫茶店で学生達に美味しいお菓子を提供していたのだ……」

学園長の親友……じゃあ写真に写っていた老夫婦がその二人だったのか。

「しかし、奥方が病気で倒れてしまってな……数年前に療養で実家の田舎に帰ってしまい、この喫茶店はそのまま閉まってしまったのだよ……」

奥さんが病気で……そうか、それでこの喫茶店が閉まっていたんだな。

二人はどれほど悔やまれた事だろうか……写真を見る限りこの喫茶店に来ていた生徒達の顔はみんな笑顔で輝いている。

「儂は親友が淹れてくれたコーヒーとケーキが好きでな……執務で忙しく、疲れた時にはここに来てよく愚痴をこぼして嫌な顔をせずに聞いてくれた……」

学園長はカウンター席の埃を手で叩いて座り、白蓮達が持ってきたコーヒーカップを手に取り、その時のことを懐かしんでいた。

「ねえ、おじいちゃん。もし……この喫茶店が復活するとしたら……」

「それはもう嬉しい限りじゃ。しかし、あやつがいない代わりはどうする?」

「天音は小さい頃からお菓子作りをしてきて絶品なんだよ!コーヒーも紅茶の淹れ方も上手だし……」

「いや……俺はそこまで大したもんじゃないよ」

俺がお菓子やコーヒーや紅茶をご馳走したのは家族や親しい人の千歳と恭弥ぐらいだから、喫茶店で出せる万人に認められるものかどうか分からない。

「ふむ……千歳がそこまで言うのなら試してみるかの……」

学園長は椅子から立ち上がり、俺を静かに見つめる。

「天音君……君にチャンスを与えよう」

「チャンス、ですか……?」

「うむ、この喫茶店を君に託す。そして、この店の経営を全て君達でやるのだ」

「この店の経営を全て……?」

「ちょ、ちょっと待ってよおじいちゃん!料理とか接客はともかく、経営を全てやるなんて無茶だよ!」

「いや、待てよ……天音、お前は確か中学の時に……」

「ああ。まさか、こんなところで役に立つ時が来るとは思いもよらなかったけど……」

未成年が喫茶店の経営をするなんて普通に考えたら無理だと誰もが言うだろう。

だけど俺は少し『特殊』でこの歳でも喫茶店を経営できる資格を持っている。

「え?な、何の話?」

「天音はな……中学の時に調理師免許と製菓衛生師の資格を取ったんだよ」

「え……ええっ!?天音、調理師の免許を持ってたの!?」

「前に言ったけど、中学の時は帰宅部で勉強と修行以外にやることはなかったから、資格を取った。いつか蓮宮神社に小さな茶屋を作ってみたいと思っていたからさ」

その話は既に先代当主の叔父や両親にも話していて、前向きに検討している。

「それに……飲食店の経営関係の本も読んでいるから、何が必要なのか、何をするのかとか分かるから大丈夫だよ」

「すごい……流石は天音!私の愛しの婚約者!」

「うわっ!?く、くっつくな!?」

千歳は俺に抱きついてキスをしようとしていたのですぐに離した。

「はっはっは!流石は蓮宮の若き当主にして千歳の婚約者じゃの!!」

「あ、あはは……いや、別に……」

あー、そっか……既に学園長にも俺と千歳が許婚同士になったと知られているんだよな。

それはとりあえず置いておいて、せっかくこの喫茶店を経営することになったんだ、チャンスをくれた学園長に決意表明をしなくちゃ。

「学園長……この喫茶店、この写真の時みたいに戻れるよう頑張ります」

「ははは、楽しみにしておるぞ。それから親友には連絡をしておく。あやつも喫茶店を閉めると決めた時には物凄く落ち込んでおったからの。受け継いでくれる者が来たと知ったら喜ぶじゃろ」

「はい!」

こうして俺はこの喫茶店を任され、廃部となっていたカフェ部を復活させる事になった。

しかし、閉まっていた喫茶店の仕入先の決定や必要書類の届出などをしなければならない。

まだ仮期間で正式な部活となってないが、俺たちは入学したばかりでまだ三年生まで時間はある。

とりあえずは一カ月以内にオープン出来るようにしないといけない。

「さぁて……まずは掃除からだ。みんな、頑張っていこう!」

「おー!」

「よっしゃ、やってやろうぜ!」

『うーん、お菓子たくさん食べられるかな?』

『こらこら、そこを期待するんじゃないぞ白蓮』

『飲食店か……ま、面白そうだな』

白蓮達も協力してくれる事になり、早速喫茶店の掃除から始まった。

俺は掃除をしながら頭の中で仕入先の候補や必要書類の用意、そして喫茶店で出す洋菓子やお茶類を考えるのだった。





天音は喫茶店を開くことになりましたが既に必要な免許とかを取得していました。


なかなか調理師免許や製菓衛生師の資格を持ってる主人公はいませんよね(笑)


さて次回は既に半分以上は書いてあって、天音の女体化の原因?みたいな存在と対面します。

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