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第8話:本社の犬と、エリア責任者の孤独

第8話にお越しいただき、ありがとうございます!


神崎先輩の「ラストバレット」によって、社長直轄案件として認められた私たちのプロジェクト。営業所の士気は最高潮ですが、その陰で、いつも本社にペコペコしてばかりの頼りない男性所長が、一人頭を抱えていました。


中間管理職として、本社の理不尽な命令と現場の突き上げの板挟みになり、孤独に震えるボス。

星野さんは彼を「敵」として切り捨てるのではなく、彼のプライドと強みを活かすための「おもてなしのパス」を回します。


チーム全員を巻き込むための、優しいマネジメントハックをどうぞ!

神崎先輩が社長室から勝ち取ってきた「社長直轄」の御朱印。

これによって、本社の古い役員たちも手出しができなくなり、営業所のプロジェクトは一気にオフィシャルなものとなった。


沸き立つ営業所の中で、ただ一人、デスクで青い顔をしてため息をついている人がいた。

私たちのボス、所長だ。


彼はいつも本社の役員にペコペコし、現場には「本社がこう言ってるから」とマニュアルを押し付ける、典型的な「本社の犬」だった。

社長直轄案件になったことで、自分の頭越しに仕事が進み、本社の役員たちから「お前の営業所の管理はどうなっているんだ!」と激怒され、板挟みになって完全に孤立していたのだ。


私の脳内で、ゴジラが少し心配そうに呟いた。


『ウオオオン(所長、いつも頼りないけど、胃に穴が開きそうな顔してて可哀想……)』


(敵を作って勝っても、本当の勝利じゃない。所長がこれまで本社の犬として徹底的に社内政治に耐えてきた経験だって、見方を変えれば最強の武器になるはず)


私は、温かいお茶を淹れて、所長のデスクに向かった。


「所長、お疲れ様です。今回の社長直轄案件ですが、実は私や神崎先輩だけでは、今後の本社各部署との『細かい調整』や『社内政治の根回し』が全くできなくて、途方に暮れているんです」


「え……? 私にかね?」


所長が驚いて顔を上げた。私はお茶を置き、真摯な目で言葉を続けた。


「はい。本社の役員たちの複雑な人間関係や、どこの部署にどう話を通せば書類が速く回るかという『本社の仕組み』を最も知り尽くしているのは、この営業所で所長、あなただけです。現場の私たちが全力で走るために、どうか所長のその圧倒的な社内政治力で、私たちの『後ろ盾』になっていただけないでしょうか?」


「現場の……後ろ盾……」


所長はゴクリと唾を呑んだ。


いつも現場から「頼りない」と無視され、本社からは小言を言われていた中間管理職の彼。

その彼に、現場の急先鋒である私から、彼の「社内政治というスキル」を必要とする最高のリスペクトのパスが回されたのだ。


所長の目に、かつてない男のプライドの火が灯った。


「……フン、お前たちのような若造が本社の荒波を泳げるわけがないからな。よし、分かった。本社の老害どもの嫌がらせや面倒な根回しは、すべてこの私が引き受けてやる。お前たちは、現場の数字だけに集中しろ!」


本社の犬だったはずの管理職が、現場を守るための最強の防衛大臣へと変わった。

これで、営業所のパズルが、また一つ完璧に噛み合った。


===============================


 今日のゴジラ・ハック

【「本社の犬」を敵視するな、中間管理職の孤独を癒やすパスを回せ】


職場で上層部のイエスマンになっている頼りない上司を「無能だ」と批判して切り捨てるのは簡単です。しかし、彼ら中間管理職もまた、組織の板挟みの中で孤独に戦、疲弊しています。


彼らが持つ「社内政治の知識」や「上層部への顔の広さ」は、見方を変えれば現場を理不尽から守るための最強のインフラ(防衛能力)になります。上司の役職とプライドを立てつつ、「あなたにしかできない調整力で、私たちの盾になってほしい」と依頼する(おもてなしのパス)。これで、上司は「保身の犬」から「現場を守る名将」へと覚醒します。



 飼育員からの超重要アドバイス

優れたリーダーシップとは、自分が一番前で目立つことではなく、チーム全員の「強み」をパズルのように噛み合わせることです。ダメ上司すらも味方に変えてしまう絶妙なファシリテーションこそが、真の他者貢献です。



 明日使えるアクションプラン

上司の頼りなさにイライラしたら、感情的に反発するのをやめ、「〇〇部長の本社との調整力を見込んで、この件の根回しをお願いできませんか」と、相手の得意な社内政治のフィールドで頼ってみましょう。

読者の皆様、第八話をお読みいただきありがとうございました!

このエピソードでは、物語の大きな転換点となる出来事が描かれました。これまで積み重なってきた伏線や、登場人物たちの秘められた想いが少しずつ形を変えていく様子に、執筆しながら私自身も胸が熱くなる思いでした。皆様の心に少しでも響くものがあれば幸いです。

次回、第9話:消えた予算と、兵站(へいたん)将軍では、今回の事件を経て変化した彼らの関係性と、いよいよ本格的に動き出す新たな局面が描かれます。物語はさらに加速していきますので、ぜひお見逃しなく!

また、いつも温かい感想や評価、ブックマークを本当にありがとうございます。皆様の応援が何よりの執筆の原動力です。

それでは、次回の更新でまたお会いしましょう!


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