第7話:ラストバレット(残された一発)
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すべての伏線がこの瞬間のために。
星野さんと木下さんが進めていた、地方営業所の命運をかけた新規プロジェクト。しかし、それを快く思わない本社の古い役員たちから、理不尽極まりない「企画差し止め」の横槍が入ります。
前線が絶望の危機に瀕したその時、窓際の席から、あの「お局の先輩」が不敵に笑って立ち上がります。
組織の中で数少ない認められた者のみが有するたった一発しか撃てない、誰も文句の言えない最強の社内ルールという名の「ラストバレット」。神崎先輩の圧倒的なプロの背中を、どうぞ見届けてください!
「……そんな、ここまで準備を進めてきたのに、本社の役員ルートから『前例がないから企画は差し止め』だなんて、あんまりです……!」
木下さんが、本社の決定通知のメールを見つめながら、声を震わせた。
私も唇を噛み締めた。
地方営業所が一致団結し、ルールのハードルを下げてようやく掴みかけた、エリア全体の新しいシェア獲得プロジェクト。
それを、本社の机の上でしか数字を見ない古い役員たちが、書類一枚で握りつぶしにきたのだ。
営業所に絶望の静寂が広がる。
私一人のロジックでは、本社の役員会の決定をひっくり返すことはできない。ここまでなのか……。
その時、オフィスの静寂を破って、ゆっくりと席を立つ音がした。
窓際の席から歩み出てきたのは、神崎先輩だった。
その手には、色褪せた一冊の「社内特別規定集」が握られていた。
「ガタガタ泣き言を言うんじゃないわ、若造が。みっともない」
神崎先輩は私のデスクの前に立つと、フッと不敵な笑みを浮かべ、その老眼鏡の奥の目をギラリと光らせた。
「星野。あんたが私に払ってくれたリスペクトの価値、ここで見せてあげるわ。本社のあの老害どもが、一番恐れている『ルール』を教えてあげる」
先輩は規定集の特定のページをバサリと開いた。
「これを見なさい。我が社の設立規程第14条第3項。『地方特区における特例推進条項』。10年以上在籍し、かつて社長代表彰を受けた社員が推薦した現場の発案は、役員会の決議を飛び越えて、直接『社長直轄案件』として1回のみ即時執行できる――」
「えっ……!?」
「本社の役員どもは、自分たちの権力が絶対だと思い込んで、創業者たちが残したこの古い『現場救済の特例ルール』の存在を完全に忘れているわ。そして、この営業所で本社長代表彰を持った10年以上の在籍者は………私ただ一人よ」
神崎先輩は、上着のボタンをピシッと留め、かつて本社を震撼させた伝説のキャリアウーマンのオーラを完全に解き放った。
「私が現役時代、本社の理不尽に潰される前に、いつか次の世代のために使おうと残しておいた、たった一発の弾丸。――『ラストバレット』。これをあんたたちのために撃ち抜いてあげる。星野、その企画書を貸しなさい。本社の社長室へ、私が直接叩き込んできてあげるわ!」
窓際の重鎮が、現場の若きひたむきさを守るために、最強の後ろ盾として覚醒した。
その圧倒的にかっこいい背中を見送りながら、私の脳内のゴジラは、興奮と感動のあまり、見たこともない大音量で天に向かって大咆哮を上げていた。
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今日のゴジラ・ハック
【ベテランの持つ「ラストバレット(制度の武器)」で組織の壁を撃ち抜け】
組織の官僚的な理不尽や上層部の横槍に対して、若手や中堅が正論で挑んでも、権力構造の前に圧殺されることがほとんどです。そんな時に戦況を一撃でひっくり返せるのが、長年組織に身を置いてきたベテランだけが知っている「隠された制度や特例ルール」です。
どれほど時代遅れに見える組織であっても、創業期の熱い想いや、過去の変革期に作られた「現場を守るための防衛システム(ルール)」が眠っていることがあります。これこそが、ベテランが持つ一発必中の「ラストバレット(残された一発)」なのです。
飼育員からの超重要アドバイス
若手が日頃からベテランを敬遠せず、信頼関係(他者貢献)を築いておくことで、彼らは自分の命とも言えるその最後の弾丸を、「この子たちのために使おう」と決断してくれます。これこそが、ファシリテーターが実現すべき、世代を超えた最強の「絆の力」です。
明日使えるアクションプラン
職場で大きな壁にぶつかったら、自分たちだけで悩むのをやめ、社内の古い歴史や規定を熟知しているベテランやOBに「何かこの状況を突破できる、過去の特例やルールはありませんか」と知恵を借りに行ってみましょう。
第7話をお読みいただき、本当にありがとうございました!
お局・神崎先輩が、かつての栄光の証である表彰盾と、眠らせていた最強の特例ルール「ラストバレット」を引っ提げて、本社社長室へと乗り込むシーン……!星野さんが繋いだパスが、最高の形でシュートへと変わりました。
次回、第8話は「本社の犬と、エリア責任者の孤独」。
いつも本社にペコペコしてばかりで頼りなく見えた男性所長。彼もまた、男社会の板挟みで孤独に震えていました。そんな所長を、星野さんが「おモテなしのパス」でこちら側の味方に引き入れます。
「神崎先輩、かっこよすぎて震えた!」「最高のラストバレット!」と思ってくださった方は、ぜひ【ブックマーク登録】や【評価(★マーク)】で神崎先輩と星野さんに熱い応援をお願いいたします!
次回も、営業所の逆襲は止まりません!




