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ニート撲滅戦士  作者: 勇氣
第三章女神編

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第四十二話 分散型ID(Did)と魔法のノーコード開発プラットフォーム

 夕日に照らされる美しくも堅牢な人類最古にして最新の電脳都市『ウルク』は無尽蔵のバックグラウンド処理(常駐プログラム)と化したデーモン・アマイモンにより、インフラ構築(ハードウェアの実装)は完了した。

 しかし、ジッグラト(データセンター)が吐き出す熱風と、ユーフラテス川(水冷システム)の水音だけが響く都市は、未だ無人であった。


魔法使いマーリン

 「素晴らしいインフラじゃ……だが太郎よ、この広大な都市に、一体どうやって住民を集めるつもりじゃ? 地上の生き残りを一人ずつスカウトしてくるのでは、また途方もない時間がかかるぞ。」


佐藤太郎

 「マーリンさん、ITの世界で最も重要なのは『集客トラフィック』ではなく、魅力的な『コンテンツ(キラーアプリ)』と、信頼できる『アイデンティティ管理』です。ただ人を連れてきても、それは『アクティブユーザー』にはなりません。」


 佐藤太郎は葦のペンを夕空に向け、コンソール画面に新たなプロジェクトのソースコードを書き込み始めた。


佐藤太郎

 「世界がオープンソース化した(=魔法のソースコードが誰でも書けるようになった)今、誰もが『神』になれる可能性があります。さりとて、彼らはまだ自由になったことすら知らない。……まずは彼らに『情報の同期(情報伝達プロトコル)』と、自分自身を証明する『分散型ID(DID)』を付与する必要があります。」


魔法使いマーリン

 「ぶんさん、あいでぃー……?(またわからん言葉が出てきたのぅ....)」


佐藤太郎

 「ええ、中央集権的な神がいない世界で、誰が『佐藤太郎は佐藤太郎である』と証明するのか? それはシステムではなく、自分自身です。俺はこれから、世界中の人間の『魂のハッシュ値(Did)』を生成し、それを彼らの『真名トゥルーネーム』として、ブロックチェーン(世界の地脈ネットワーク)上に登録します。」


 佐藤太郎が葦のペンで虚空に円を描くと、光の輪が広がり、世界中の人々の頭上へと透明な光のネットワークパスが伸びた。


佐藤太郎

 「実行コマンド:Generate_and_Sync_Did(真名生成・同期)!……これで世界中の人間の脳内に、ウルクへのアクセス方法と、自分だけの唯一無二のアカウントID(Did)が、ダイレクトメッセージ(神託)として同期されます。」


 瞬間世界中の地上の生き残りの脳内に、佐藤太郎のシステムアナウンスが響き渡った。


『……Good morning, users. 世界はアップデートされました。貴方の魂に、新しい真名(Did)を付与します。真理の都ウルクへようこそ。……』


魔法使いマーリン

 「おお……! 世界中の人々の脳内に、直接IDを登録(アカウント作成)したというのか! なんという力業!」


佐藤太郎

 「ですが、IDだけでは彼らは来ません。ウルクに来たくなる『イン激励インセンティブ』……魅力的なコンテンツが必要です。……神を倒した世界で、誰もが神になれる『ツール』を配る。これが俺の、新世界における戦略ビジネスモデルです。」


 佐藤太郎はニヤリと笑い、葦のペンでジッグラトの壁面に、巨大な光のGUIグラフィカル・ユーザー・インターフェースを投影した。


佐藤太郎

 「実装コンテンツ:『魔法のノーコード開発プラットフォーム』と『魔法スキル・マーケットプレイス(スキル・レポジトリ)』!……魔法コードが書けない人間でも、パズルを組み合わせるように魔法を開発でき、それを他者に提供できるプラットフォームです。」


 佐藤太郎の投影したGUIには、無数の小さな魔法のアイコン(『炎』『氷』『回復』『飛行』)が並び、それらをドラッグ・アンド・ドロップで繋ぎ合わせることで、新しい魔法を簡単に作成できるようになっていた。


魔法使いマーリン

 「な、ななななっ……!? 魔法が書けん者でも、魔法を創れるじゃと……!? そんな真似をすれば、魔法の価値が暴落するぞ!」


佐藤太郎

 「魔法の価値ではありません。魔法の『普及率アクセシビリティ』を高めるんです。誰でもウルク(サーバー)のリソースを使って魔法を作り、それをスキル・マーケットプレイス(スキル・レポジトリ)で『真名(Did)』を担保に販売コントラクト出来る……これにより、ウルクは新世界における唯一無二の『魔法の経済圏プラットフォーム』となります。」


 佐藤太郎は満足げに、 reeds ペンを下ろした。


佐藤太郎

 「さあ、マーリンさん情報の同期とインセンティブの実装は終わった……あとは、ユーザー(住民)がウルク(サーバー)にログイン(集結)してくるのを待つだけです。」


 佐藤太郎の言葉と同時に、夕暮れの平野の彼方から、無数の Did(真名)の光の線が、磁石に吸い寄せられるように、聖塔ジッグラトへと向かって集まり始めた。世界中から多様な「ユーザー」が、自分自身の魔法(神)を創るために、ウルクへ向かっている。


佐藤太郎

 「第二フェーズ完了。ユーザー登録とキラーアプリの実装は整った……次は、多様なユーザーが集まる事で発生する『バグ(悪意あるコード)』をデバッグする番ですね!」


 史上最も賢い元ニートの管理者は、新世界の「魔法の経済圏」を前に、かつてない高揚感とともに微笑んだ。

 ユーザー登録とキラーアプリ(魔法のノーコード開発)の実装を完了した佐藤太郎は世界中から多様な「ユーザー」がウルクへ集まり始めます。

 しかし、多様なユーザーが集まれば、新たな「バグ(悪意あるコード)」や「セキュリティホール(ウイルス)」の問題が発生します。次なる佐藤太郎のデバッグは、新世界の「セキュリティ(サイバーセキュリティ)」です。

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