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ニート撲滅戦士  作者: 勇氣
第三章女神編

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第四十一話 仮想化コンテナ群『ジッグラト』と地殻変動デーモン・アマイモン「絵」

 オープンソース化という混沌カオスの海に投じられた新世界の基盤となるメインサーバー『ウルク』を構築するため、佐藤太郎と魔法使いマーリンは、手つかずの広大な平野へと足を踏み入れた。どこまでも続く緑の絨毯を見渡し、太郎は葦のペンを指先で器用に回す。


魔法使いマーリン

 「して太郎よ。人類最古の都市を築くと言ったが、泥と葦を集めてゼロからレンガでも焼くつもりか? いくらなんでも、我々二人では途方もない時間がかかるぞ。」


佐藤太郎

 「まさか、手作業でモノリス(一枚岩)の巨大システムを作るなんて、保守性の観点から見ても三流のやることです。俺が構築するのは、完全に独立した環境を複数立ち上げる『マイクロサービス・アーキテクチャ』……要するに、仮想化コンテナ群の集合体です。」


 佐藤太郎が葦のペンで虚空に四角い枠を描くと、光の線が地面に向かって伸び、広大な区画を一瞬にして定義づけた。


佐藤太郎

 「古代メソポタミアの都市は、巨大な神殿を中心に機能していた。これを現代のサーバー構築に置き換えれば、神殿とはすなわち『巨大なデータセンター(サーバーラック)』だ。……これより、中央処理装置となる聖塔ジッグラトをデプロイ(展開)する。」


 佐藤太郎の言葉と同時に、地面が低く震え始めた。

 しかし、彼の手元から紡がれる楔形文字のコードだけでは、物理的な「土」や「石」の質量を瞬時に隆起させるための演算リソース(物理エンジン)が足りない。


魔法使いマーリン

 「佐藤太郎!魔法の論理式は完璧だが、マシンスペックたる『魔力』の出力が地形変動に追いついておらん! 世界の描画がカクついているぞ!」


佐藤太郎

 「ええ、想定内です。物理層のレンダリング(土木工事)なんて重い処理、フロントエンドの俺たちが手動でやるべきじゃない。こういう時は、専門のバックグラウンド処理(常駐プログラム)に任せるのがIT業界のセオリーですよ。」


魔法使いマーリン

 (IT業界とはなんじゃろか....)


 佐藤太郎はニヤリと笑い、コンソール画面に強烈な権限(root)を持った実行コマンドを打ち込んだ。


佐藤太郎

 「東方の地殻を統べる悪霊よ。我が分散型合意形成のネットワークを通じ、その労働力リソースをここに供出せよ。……sudo systemctl start amaimon.service(デーモン・アマイモン、起動)!」


 ゴゴゴゴゴォォォッ!!

 大地が割れ、赤黒い瘴気と共に、伝承において東方の地(地の底)を支配するとされる強大な魔神『アマイモン』が顕現した。山をも砕く四肢と、猛毒の息を吐くその姿は、かつて人類が恐れた「災害」そのものだった。

挿絵(By みてみん)

アマイモン

 『 我を喚び出したのは何者だ!? 供物はどこだ! 血肉か!? 絶望か!? 我はこの大地を破壊し尽くす――』


佐藤太郎

 「あー、うるさい。エラーメッセージ(雄叫び)は/dev/nullに捨てろ。お前のジョブは破壊活動じゃない。IaaS(Infrastructure as a Service)……つまり『インフラの自動構築』だ。」


アマイモン

 『……は? イア....ス?』


佐藤太郎

 「ほら、そこに俺が指定した仮想コンテナの設計図(Dockerfile)があるだろ。お前は地の底からデータブロックを無限に引っ張り出してきて、60進法セクサジェシマルの法則に従って正確に積み上げていけ。寸法が1ピクセルでも狂ったら、プロセスごと強制終了キルするからな。」


 管理者権限スマートコントラクトによって逆らうことを許されない大悪魔アマイモンは、屈強な腕に「物理的なスコップ(のような魔力構造物)」を持たされ、涙目で大地の掘削とレンガ積みを強制されることとなった。魔界の王族が、完全なる社畜デーモン・プロセスへと成り下がった瞬間である。


魔法使いマーリン

 「おお……おおお! 東方の魔王に、土木作業の自動化スクリプトを走らせるとは! なんという恐ろしい効率化!」


佐藤太郎

 「デーモン(Daemon)の語源は、元々神々と人間を仲介する守護霊ですからね。本来の語源通りの真っ当な働き方ですよ。」


 アマイモンという無尽蔵のバックグラウンド処理を得て、メインサーバー『ウルク』の構築は異常な速度で進んでいった。天を衝くほどの巨大な泥の聖塔『ジッグラト(サーバーラック)』が中央にそびえ立ち、その周囲には、外部からの不正なパケット(魔物や敵対者)の侵入を弾く強固な『絶対防壁ファイアウォール』――すなわち、ギルガメシュ叙事詩にも謳われた「ウルクの城壁」が、黄金の魔法陣と共に展開されていく。


佐藤太郎

 「良し!聖塔データセンターの排熱処理のために、冷却水として『ユーフラテス川(水冷システム)』の流路も引き込んだ。これでサーバーダウンの心配はない。」


 夕日に照らされる、美しくも堅牢な人類最古にして最新の電脳都市に葦のペンを下ろした太郎は、額の汗を拭いながら、自身の「作品プラットフォーム」を満足げに見上げた。


佐藤太郎

 「第一フェーズ完了。物理層のインフラは整った。次は、この空っぽのサーバーに『住民ユーザー』をアクティベートする番ですね!」

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