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ニート撲滅戦士  作者: 勇氣
第一章SSS級マンティコア討伐への道

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第二十一話深淵の基底区(エ・クル)と、全裸の「食料自給(アグリカルチャー・レボリューション)」

何時も読んでくれてありがとうございます。

 神聖インド帝国の地下深くには、建国以前から存在する広大な迷宮が広がっている。古代の神々が大地を管理するために築いたとされるその場所は、いつしか「深淵の基底区エ・クル」と呼ばれる絶対禁忌の領域となっていた。そんな人類未踏の闇の中を、鼻歌交じりに進む全裸の男が一人。手には、帝都のホームセンター(魔導具店)で買ってきた一本の鋼のスコップが握られていた。


1. 究極のサラダを求めて

佐藤太郎

 「いやぁ、最近ポチと一緒に最高級の肉ばっか食ってたからさ。なんかこう、無性にシャキシャキしたキャベツとかトマトが食いたくなってきたんだよな。」


ディセクター♂

 「だからって、なぜ帝都の地下迷宮に潜る!? 市場で買えば済む話だろうが! お前の今の資産なら、大陸中の農地を買い占められるんだぞ!」


ジョイス♂

 「ディセクター先輩、タロっちは既存の流通システム(サプライチェーン)を信用していないんですよ。鮮度を極限まで追求した結果、『伝説の世界樹の種』を自らの手で栽培するという、究極の一次産業ダイレクト・ファーミングに行き着いたんです!」


デューク♂

 「ふむ、自給自足こそが王の嗜み。しかもその農地として、かつて古代文明が遺した神聖な基底区エ・クルを接収するとは……。彼のスケールは、もはや国家の農林水産省すら凌駕しているな」


 タローの「ただの思いつき」を、仲間たちは相変わらず高度な政治的・経済的意図へと自動翻訳しながら、迷宮の最深部へと足を踏み入れた。


2. 絶対防衛農地システム・ホルトゥスの目覚め

最深部には、光り輝く一つの種――『世界樹のセメン・ヴィタエ』が、分厚い魔導ガラスの奥に封印されていた。タローがそれに手を伸ばそうとした瞬間、迷宮の壁が崩れ、巨大な土塊のゴーレムが姿を現した。


ゴーレム(念話)

 『侵入者ニ告グ。我ハ古代の絶対防衛農地システム・ホルトゥスヲ管理スル番人。コノ地ノ土壌ハ数千年ノ時ヲ経テ完全ニ枯渇シタ。種子ノ持ち出し及ビ、不法ナ耕作ヲ禁ズル』


ガラハド♂

 「……古代の守護神か。その硬度、私の聖剣でも容易には断てん。タロー殿、ここは私が――」


佐藤太郎

 「枯渇してる? んなことねぇだろ。ちょっとどいてろよ、おっきいおっさん。今からふかふかのベッド(畑)を作ってやるからさ」


タローはガラハドの制止も聞かず、守護神の足元に広がる「絶対に破壊不可能」とされる神代の岩盤に、買ってきたばかりのスコップを突き立てた。


3. 暴力的なまでの「開墾ティリング

ドゴォォォォォォンッ!!!


 タローが全裸の筋肉を躍動させ、スコップを振り下ろした瞬間、迷宮全体が激しく揺れた。ただの鋼のスコップが、タローの規格外の腕力と『概念礼装・エンペラーズ・ニュー(透明なナノ装甲)』の摩擦力によって超音速の振動刃バイブレーション・ブレードと化し、神代の岩盤を粉微塵に粉砕していく。


佐藤太郎

 「うおらぁっ! 鍬入れじゃあああ! ポチ、お前も手伝え!」


ポチ

 「ガウッ!」


 ポチが楽しそうに前足で土を掘り返すと、SSS級幻獣の爪に宿る魔力が大地に還元され、数千年間死に絶えていた土壌が、一瞬にして極上の黒土へと変異していく。それは古代の魔法すら超越した、純粋な暴力による「土壌改良」であった。


ゴーレム(念話)

 『エラ……ー? 岩盤ノ破壊及ビ、土壌ノ超回復ヲ確認。……アナタハ、新タナ創造主ルガルデスカ……?』


 守護神は攻撃するどころか、タローの圧倒的な「農作業」の前に平伏し、自らの土の身体を崩して最上級の肥料として大地に捧げ始めた。


4. 先物取引の崩壊アグリカルチャー・ショック

 ふかふかになった神代の畑に、タローは『世界樹の種』をぽいっと投げ入れ、皇室の噴水で汲んできた水をバシャッと掛けた。

 

 ゴゴゴゴゴ……ッ!!


 種は一瞬で芽吹き、迷宮の天井を突き破るほどの巨大な大樹へと成長してその枝には、林檎のように赤く輝く特大のトマト、大根、キャベツといった「あらゆる野菜」がたわわに実り始めた。


ティリー♀

 「ああ……! 奇跡です! 世界樹の力が、タロー様の『サラダが食べたい』という純粋な願いに応え、万能の野菜工場へと変貌を遂げました……!」


ジョイス♂

 「(信じられないものを見る目で)……何てことだ。タロっちは今、気候変動や季節の概念を完全に無視した『完全無欠の恒久供給ライン』を確立したんだ。……これによって、帝国の農業先物取引市場は完全に崩壊する! 大陸中の食料価格がタロっちのサジ加減一つで決まる、未曾有の【一次産業独占アグリ・モノポリー】の完成だ!」


 タローが放った種蒔きの一手は、天候リスクという農業最大の不確実性を消し去り、食料経済のルールを根本から覆してしまったのである。


5. サラダ記念日

佐藤太郎

 「おおー、美味そう! さっそく丸かじりしようぜ!」


 タローは全裸のまま、採れたての世界樹トマトに齧りついた。果汁が弾け、生命力溢れる味が口いっぱいに広がる。


佐藤太郎

 「やっぱ、自分で育てた(?)野菜は格別だな! おいジョイス、これ余るから、地上の連中にも適当に配ってやってくれよ。」


ジョイス♂

 「……了解しました。これで帝国の貧困層は飢えから解放され、君は文字通り『豊穣の神』として信仰の対象になるでしょうね。」


 こうして、帝国の地下には「絶対に枯れない全自動の世界樹農園」が誕生した。のちに『タローの菜園(エデンの箱庭)』と呼ばれるこの場所は、大陸中の農民たちが聖地巡礼に訪れ、鍬の代わりにスコップを掲げて全裸で祈りを捧げる奇妙な宗教の温床となっていく。


次話予告:

「野菜食ったら、今度は甘いもんが欲しくなってきたな」

 タローの際限なき食欲が、ついに帝国の「造幣局(スイーツ工場)」に牙を剥く!そして皇帝は、彼を止めるために最後の手段『お見合い』を画策するが……!?


佐藤太郎の現在の資産:


現金: 100,000,037€(変動なし、ただし食費が永久に無料化)


新不動産: 豊穣の聖地『タローの菜園(元・深淵の基底区)』


新事業: 世界樹印の完全無農薬・奇跡のオーガニック野菜流通元


フォロワー: 土塊のゴーレム(農地の自動管理AIとして再就職)


 全裸の男の胃袋が満たされるたび、世界地図の勢力図が新しく書き換えられていく。

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