表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ニート撲滅戦士  作者: 勇氣
第一章SSS級マンティコア討伐への道

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/55

第二十話呪いの凶衣(アサシン・スーツ)と、全裸の「価格破壊(デフレ・ショック)」

何時も読んでくれてありがとうございます。

 神聖インド帝国の中心、皇帝直轄の「天上の庭園」

 世界最高の魔力濃度を誇るこの場所で、新任の「終身名誉・全裸顧問」佐藤太郎は、皇室専用の噴水で無邪気に水浴びをするSSS級幻獣ポチを眺めながら、備え付けの最高級マスカットを呑気に頬張っていた。そこへ、恭しい足取りで近づく一団があった。帝国の衣服市場を牛耳る「黄金裁縫師ギルド」の重鎮たちである。


1. 殺意のオートクチュール

ギルド長♂

 「お初にお目に掛かります、佐藤太郎顧問。我々は黄金裁縫師ギルド。本日は陛下より賜った『全裸礼装』の特権を祝し、顧問に相応しき『見えない糸』で織り上げた特注のタキシードを持参いたしました」


佐藤太郎

 「ん? 見えない糸? なんだそれ、結局全裸ってことじゃねぇか。まあいいや、最近朝晩は冷えるから、ちょっと羽織ってみるか」


 タローが何気なくその透明な衣服に腕を通した瞬間――ギルド長たちの顔に、邪悪な哄笑が浮かんだ。


ギルド長♂

 「愚かな! それは深淵の魔蜘蛛アラクネの糸を圧縮した『絶対拘束の呪衣』! 着用者の魔力と生命力を際限なく吸い尽くし、その肉体を永遠に社会の『常識ドレスコード』という名の檻に閉じ込める凶悪な魔具! 貴様の全裸神話も、我がギルドの利権の前には無力よ!」


 ギリギリィッ! と、目に見えない糸がタローの鋼の肉体に食い込み、周囲の空間すら歪むほどの超高密度の重圧が彼を襲う。


2. 「不快感」という名の規格外

ディセクター♂

 「チィッ、暗殺か!? しまった、あの糸は物理切断を反射する結界機能を持っている……タロー、無理に動くな! 肉が削ぎ落とされるぞ!」


 帝国最強の戦士ですら青ざめる必殺の呪い。しかし、当のタローは眉をひそめ、己の脇の下をポリポリと掻いていた。


佐藤太郎

 「……おい、おっさん。この服、脇のところがすっげぇチクチクするぞ。あと、肩幅がキツすぎてポチにフリスビー投げらんねぇんだけど。サイズ測り間違えてねぇか?」


ギルド長♂

 「なっ……!? 深淵の呪縛を『サイズ違いの不快感』で済ませているだと……!? ええい、構わん、最大出力で締め付けろ!」


佐藤太郎

 「あーもう、鬱陶しいな。ちょっと洗えば縮みも取れるだろ。おいポチ、俺もそっち入るわ!」


 タローは拘束を気にする素振りすら見せず、無理やり腕を振り上げると、ポチが泳ぐ「皇室専用の魔導噴水」へと豪快にダイブした。


3. 呪いの「洗濯」と概念の溶解

バシャァァァン!!


 その瞬間、化学反応アルケミーは起きた。皇室の噴水に満たされた「極大の浄化魔水」、ポチの毛穴から溶け出した「SSS級幻獣の皮脂」、そしてタローの規格外の筋肉が発した圧倒的な摩擦熱が一堂に会した結果、タキシードを構成していた深淵の魔蜘蛛の糸は、耐えきれずに分子レベルで分解ロンダリングされてしまったのである。


ギルド長♂

 「ば、馬鹿な!? 帝国の歴史上、決して破られなかった究極の呪衣が……ただの水浴びで溶けていく!?」


ジョイス♂

 「……いや、ただ溶けただけじゃない! タロっちの肉体が放つ生命エネルギーと結びつき、糸が『不可視の極小魔装甲ナノ・マテリアル』へと再構築されている!」


 噴水から上がったタローの身体は、完全に全裸であった。しかし、その肌の表面には、あらゆる物理・魔法攻撃を無効化する透明なベールが薄く定着していた。


4. アパレル産業の「終焉パラダイム・シフト

佐藤太郎

 「おお、なんか肌がスベスベするぞ! しかもチクチクしなくなった。やっぱ新品の服は一度水通ししねぇとな!」


ジョイス♂

 「(震える声で)……タロっち。君は今、衣服における『摩耗』という物理的制約を完全に破壊したんだ。それは永遠に損耗せず、着替えも洗濯も不要な『見えない概念礼装』。……これにより、定期的な買い替えを前提としていたアパレル産業の【計画的陳腐化ビジネスモデル】は、たった今、終焉を迎えた!」


 ジョイスの残酷なまでの経済分析に、ギルド長は膝から崩れ落ちた。衣服の概念そのものが上位互換へとアップデートされた今、彼らが独占してきた布の市場は、文字通り「紙切れ」以下の価値に暴落したのだ。


ティリー♀

 「ああ……! 刃向かう者には暴力ではなく、産業構造の根本的破壊をもって報いる……。血の一滴も流さずに巨大ギルドを完全敗北に追い込む、全裸の冷徹なる経営戦略……!」


佐藤太郎

 「ん? おっさん、どうしたんだ? 泣くほどこの糸高かったのか? ごめんな、ポチの背中洗う時のスポンジ代わりに使っちまった」


ギルド長♂

 「……完敗だ。我々が着飾っていたのは、己の弱さを隠すための『布』に過ぎなかった。真の美しさとは、圧倒的な力で紡がれた己の肉体ブランドそのもの……!」


 黄金裁縫師ギルドは、その日のうちにタローの傘下に入り、「タロー・メタル」を使った装飾品部門への事業転換ピボットを余儀なくされるのであった。


5. 皇帝の憂鬱

一方、宮殿の最上階。

 望遠鏡で一部始終を見ていた皇帝は、深く息を吐き、玉座に背を預けた。


皇帝♂

 「……もはや奴の経済支配は、軍事や通貨の枠を超え、『概念』にまで及んでいる。帝国の根幹が、あの男の『生活習慣』一つで書き換えられていくとはな……」


 しかし、皇帝の口元には、隠しきれない歓喜の笑みが浮かんでいた。停滞していた帝国が、数千年の時を経て、未曾有のインフレーションへと突入しようとしていたからだ。


次話予告:

「肉ばっか食ってたら野菜も食いたくなってきたな」

タローの一言で、今度は大陸の『農業流通チェーン』が崩壊の危機!?

帝都最大の地下迷宮に眠る「世界樹の種」を求め、全裸の男がスコップを握る!


佐藤太郎の現在の資産:


現金: 100,000,037€(帝都の経済顧問報酬に、黄金裁縫師ギルドの全資産が吸収合併により追加)


新装備: 『概念礼装・エンペラーズ・ニュー(透明な絶対防御ナノ装甲)』


フォロワー: 黄金裁縫師ギルド(全裸を究極の美と崇め始めた熱狂的ファンクラブに豹変)


 全裸の男が歩けば、世界経済がその足跡にかしずく。タローの覇道は、いよいよ帝国の深淵へと迫る。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ