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ニート撲滅戦士  作者: 勇氣
第一章SSS級マンティコア討伐への道

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第十六話覇道のドレスコードと、神鳴る経済の胎動

何時も読んでくれてありがとうございます。

 ギルドを出る佐藤太郎の背中は、もはや一介の風来坊のものではなかった。SSS級幻獣を従え、辺境都市の経済基盤を一夜にして再定義した男。その足取りは、彼自身の意図とは裏腹に、歴史の歯車を強引に回す重みを帯び始めていた。


1. 裸の王様、衣を纏う

アガルタでも最高級を誇るテーラー「ヴェルサーチ・ゴッド」。

 ディセクターに連れられたタローは、今、鏡の前で人生初の「拘束具(服)」を身に纏っていた。


ディセクター♂

 「……ちっ、素材が良いとここまで化けるか。癪だが、似合ってるぜ。」


 鏡の中にいたのは、深淵のような黒のシルクに、マンティコアの抜け毛から抽出された金糸で刺繍を施した特注のスリーピース・スーツを着こなす青年だった。鍛え上げられた肉体は布越しでもその圧倒的な密度を主張し、野性味と気品が奇跡的なバランスで同居している。


佐藤太郎

 「……なぁ、ディセクター先輩。これ、股間の風通しが悪すぎて落ち着かないんすけど。あと、この『ネクタイ』ってやつ、絞首刑の道具か何か?」


ジョイス♂

 「タロっち、それは『理性』という名の鎖だよ。今の君は、言葉一つで小国の予算を動かす存在だ。その格好は、相手を威圧するための軍服と同じさ。」


デューク♂

 「ふむ、これならば我が王宮の晩餐会に出しても恥ずかしくない。むしろ、貴婦人たちがその『野生の香り』に当てられて気絶するのではないか?」


2. インフレの咆哮

 タローがスーツを仕立てている間にも、ギルドマスターがサインした「SSS級素材独占供給契約」の報は、魔導通信テレパスを通じて瞬く間に大陸中を駆け巡った。


アガルタの地価: 3時間で400%上昇。


物流ギルド: マンティコア素材輸送のための特別護衛艦隊を編成。


周辺諸国: 「マンティコアの血清」による疫病の根絶を期待し、特使を派遣。


 タローが「ポチにご飯を食べさせたい」という純粋なアホの思考で放った一石は、硬直していた大陸経済という大湖に、巨大な津波を引き起こしていたのである。


3. 招かれざる「賢者」の来訪

 仕立て屋を出た一行の前に、突如として空間が歪み、一人の老人が現れた。白百合騎士団の紋章とは異なる、さらに禍々しく、そして神々しい装束。神聖インド帝国直属の経済顧問にして、伝説の錬金術師――サカモト・D・ゴールドマンである。


サカモト♂

 「……見事な手際だ、佐藤太郎殿。武力で幻獣を伏せる者は数多おれど、それを『永続的な通貨発行権』へと昇華させた者は、建国以来一人もいない。」


佐藤太郎

 「……(誰だこのじいさん。金色の服着てて強そうだな)……。おっさん、なんか用か? 今からポチと高級ステーキ食いに行くんだよ」


サカモト♂

 「くくく、無欲を装うか。君の構築した『マンティコア・スタンダード』は、既存の金本位制を破壊しかねない。君がその気になれば、この帝国の通貨価値を暴落させることも可能だ。……単刀直入に言おう。帝都に来て、我らと『世界を管理』する側に回る気はないか?」


 周囲の冒険者たちが、そのあまりの提案に息を呑む。それは事実上の「世界の共同統治者」への招待状だった。


4. 賢者の回答、愚者の真理

タローは一瞬、真面目な顔をして考え込んだ。その鋭い眼光に、サカモトは「やはりこの男、全てを見通しているのか」と戦慄する。だが、タローの脳内はこうだ。


佐藤太郎

 (帝都? たぶんここより美味い肉があるんだろうな。でも、偉い奴らと一緒だと、ポチをテーブルに上げたら怒られそうだな……)


 タローは不敵な、それでいてどこか悟りを開いたような笑みを浮かべ、サカモトの肩に手を置いた。


佐藤太郎

 「おっさん。あんた、頭良すぎて損してるぜ。経済だの通貨だの難しいことはよくわかんねぇが……。俺が欲しいのは『世界』じゃなくて、『ポチと仲間が毎日笑ってメシ食える場所』なんだわ。」


サカモト♂

 「な……!? 世界を掌中に収める権利よりも、一時の宴を選ぶというのか……!?」


佐藤太郎

 「それが一番贅沢だろ? あと、このスーツ窮屈だから、帝都に行くにしても全裸でいいなら考えてやるよ。」


ティリー♀

 「(頬を赤らめて)ああ……! 王としての座すら、全裸の自由のために投げ捨てる……! どこまでも高潔で、どこまでも規格外なお方……!」


5. 伝説の加速

結局、タローは帝都からの誘いを一蹴し、その夜、アガルタ中の酒場を貸し切りにして7000€を一日で使い切る勢いの宴会を開催した。


 翌朝タローが脱ぎ捨てた「ヴェルサーチ・ゴッド」のスーツは、後に『経済の神が纏った聖衣』として神格化され、オークションで10億€の値がつくことになる。そして、神聖インド帝国の皇帝は、自身の経済顧問を黙らせた「全裸の賢者」に興味を抱き、密かに動き出す。


 佐藤太郎――。

 自分がポチの爪を一枚売るたびに、世界のパワーバランスが崩壊し、新たな神話が刻まれていることを彼はまだ知らない。


次話予告:

「帝都からの刺客? 知らねぇよ、それよりポチの散歩だ!」

 加速するタローの無自覚な覇道。次なる舞台は、欲望渦巻く大カジノ都市へ!


佐藤太郎の現在の資産:


現金:99,993,000€(今夜の宴会費-7,000€)


資産:SSS級幻獣ポチ(時価換算不能・無限の素材生成源)


装備:特注スーツ(脱ぎ捨て済み)、マンティコアの毛皮のマント(下半身は全裸)

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