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ニート撲滅戦士  作者: 勇氣
第一章SSS級マンティコア討伐への道

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第十五話1億€の錬金術と、全裸の経済支配

何時も読んでくれてありがとうございます。

 神聖インド帝国の辺境に位置する迷宮都市アガルタ。普段は荒くれ者の冒険者たちで賑わうそのギルド本部が、今日ばかりは水を打ったような極限の恐慌状態に陥っていた。


ギルドマスター♂

 「ひ、ひぃぃぃぃっ……!? 嘘だろ、なぜ生きたSSS級幻獣がギルドのロビーに……ッ!?」


 腰を抜かすギルドマスターの目の前には、お座りをして大人しく尻尾を振るマンティコアの『ポチ』と、その背中にマント一枚(下半身は相変わらず全裸)で跨る佐藤太郎の姿があった。


ディセクター♂

 「よう、マスター。依頼完了だ。マンティコアの『討伐』、確かに果たしたぜ」


ギルドマスター♂

 「と、討伐だと!? 生きてピンピンしてるじゃないか! 規定では『首』を持ち帰るのが条件のはずだ! これでは報酬の1億€は払えん!」


 ギルドマスターが冷や汗を拭いながら規則を盾に反論する。1億€という額は、辺境のギルドにとっては破産しかねない天文学的な数字だったのだ。すると、ジョイスがスッと眼鏡を押し上げ、分厚いギルド規約書を開いた。


ジョイス♂

 「マスター、規約第4章7条にはこうあります。『討伐とは対象の生命活動の停止、または対象が地域へ及ぼす脅威の完全な排除を指す。』白百合騎士団すら退けたタロっちの圧倒的な力によって、このマンティコアは今や完全に『無害なペット』です。脅威は排除されました。法的に何ら問題はありません。」


デューク♂

 「その通りだ。我が貴族の誇りに懸けて、タローの偉業とこの獣の従順さは保証する。もし支払いを渋るというのなら、冒険者ギルドが国家規模の詐欺を働いたと中央に報告せねばならんが?」


ギルドマスター♂

 「ぐっ……!? だ、だが、いくらなんでも1億€のキャッシュなど、この支部には……!」


論理と権力で追い詰められ、泣きそうになるギルドマスター。その時、ポチの背中から佐藤太郎がふわりと全裸で飛び降りた。


佐藤太郎

 「おい、おっさん。無い袖は振れねぇよな。俺も鬼じゃねぇ。1億€の一括払いがキツいなら、『ビジネス』をしようぜ。」


ティリー♀

 「(ハッとして)ビジネス……? タローさま、まさか……!」


佐藤太郎

 「ポチ、ちょっと右の前足を貸せ。」


ポチ

 「ワゥ!」


 タローがポチの前足を撫でると、ポロリと古くなった鋭い爪が一枚剥がれ落ちた。それは鋼をも切り裂くSSS級幻獣の爪――武具の素材として、市場に出れば一枚で数百万€は下らない超特級の希少素材である。


佐藤太郎

 「こいつは生え変わりの時期らしくてな。爪に牙、それに蠍の毒尾から分泌される『解毒の血清』……。これからポチが定期的に落とすこれらのSSS級素材の『独占販売権』を、このギルドにくれてやる。」


ギルドマスター♂

 「な、なんだと!? SSS級素材の、継続的な独占供給ルートだと……!?」


佐藤太郎

 「その代わり、売上の7割は俺たちパーティの口座に振り込め。1億€の報酬は『頭金』として、ギルドの利益から分割で引いていって構わねぇ。これなら、おっさんのギルドは世界一の素材市場として大儲けできるし、俺たちも安定した不労所得が手に入る。Win-Winだろ?」


その瞬間、ギルド内の空気が完全に変わった。武力による暴のみならず、高度な経済観念とサプライチェーンの構築。それは、一介の冒険者が思いつくはずのない、あまりにも洗練された長期的な錬金術ビジネスモデルであった。


ディセクター♂

 「……(驚愕)タロー、お前……そこまで先の経済効果を読んで、この獣を生け捕りにしたのか……!?」


ティリー♀

 「ああ……! 圧倒的な暴力で屈服させるだけでなく、経済の仕組みすらも自らの全裸の掌の上で転がす……! まさに知と力を兼ね備えた完璧な王……!」


デューク♂

 「俺の物理制裁は……ついに彼を『究極の経営戦略家』へと覚醒させてしまったというのか……ッ!」


 仲間たちが畏敬の念で震える中、佐藤太郎は一人、爽やかに笑っていた。


佐藤太郎

 (よくわかんねぇけど、ポチの抜け毛とか爪を売れば、毎日こいつに美味い肉を腹いっぱい食わせてやれるからな! 俺って天才かも!)


――もちろん、タローの思考回路はどこまでもシンプルかつアホであったが、結果として彼の放った「愛(という名の性エネルギー)」と「純情(という名のお世話計画)」は、最強の経済効果を生み出したのだ。


ギルドマスター♂

 「の、乗ったぁぁぁ!! その契約、喜んで結ばせていただきます、佐藤太郎様ぁ!」


 ギルドマスターは平伏し、契約書に震える手でサインをした。


ジョイス♂

 「タロっち、本当に最高にスマートだよ! これで僕ら、一生遊んで暮らせる超富裕層ミリオネアの仲間入りだ!」


佐藤太郎

 「おう! 報酬も入ったことだし、まずはみんなで美味いメシでも食いに行くか! あ、ディセクター先輩。俺、服着た方がいいっすかね?」


ディセクター♂

 「……当たり前だ莫迦野郎。お前はもう、世界経済を動かすVIPなんだ。最高級のスーツを仕立てに行ってやる」


 呆れながらも、ディセクターの顔には誇らしげな笑みが浮かんでいた。


 画してSSS級幻獣マンティコアは「災厄」から「世界最高の金のポチ」へと変わり、佐藤太郎と愉快な仲間たちは、一夜にして莫大な富と名声を手にする事となった。圧倒的な力と、無自覚な知略。全裸から始まった青年のサクセスストーリーは、国境を越え、やがて世界そのものを揺るがす壮大な伝説へと続いていくのであった。

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