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掌編集:無知の箱  作者: むい


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嫌悪と認識

 俺は女が嫌いだ。

 町で見るぶんには構わないが、俺の家には絶対に入れてやらない。女特有の匂いや声や仕草が気に入らない。

 いつからか忘れてしまうほど前から、風呂場の扉の前に女が現れるようになった。ショートカットの女だ。首から上だけ出している女を睨むと、女も俺をにらみ返した。何度か女に声を掛けたこともあったが、女は一言たりとも喋らなかった。馬鹿にされている。

 毎日毎日女ににらまれて、最近はノイローゼ気味になってきた。彼氏やゲイ仲間と遊んでいるときも、女を見かけるだけで吐き気が込み上げてくるのだ。――どうしたらいい?

「おい」

 女は無表情でこちらを見ている。

「おい!」

 女は嫌悪感を露にした表情でこちらを見た。気持ち悪い。思わず俺は女に手を出してしまった。

 小気味良い音がして、女の頬に拳がめり込む。小さくなった、呆けた表情の女が、無数に増えてこちらを見ていた。

 ああ、それは俺だったのだ。




2012/08/04 01:34

2012/08/09 02:50

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