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掌編集:無知の箱  作者: むい


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孤独の王

孤独の王


 ぼくは、特別な力を手に入れたんだ。願うだけで、他人を消せる。ぼくは神に選ばれたんだ。だから、この力はぼくのために惜しみ無く使おう。


 ぼくに暴力を振るうやつらをまとめて消した。すっきりした。ついでに電車でぼくに肘をぶつけた女も消した。

 髪を染めてる女ってむかつくんだ。こいつらもいらないよね。不細工なやつらも見てるといらいらするんだよ。消えてしまえばいい。

 ピンクが好きな男っていけすかない。大嫌い。口が汚いやつは人を不快にするよね。

 こういう顔むかつくなあ。

 このほくろやだな。

 こいつ馬鹿そうな顔してる。

 何かむかつくなあ。


――――


――――


――――

 

 

 いつの間にか、この地球に人間は一人だけになってしまった。映画を見て、人間ってみんなくずだなあって思ってしまったから。ぼくは神に選ばれたんじゃなくて、本当は神そのものなのかもしれない。

「そうだ。この世で一番ムカつく女が生きているんだよ」


 こうして人間はいなくなって、ぼくも消えた。

 悔やんでも悔やみきれないよ。


(2013/04/10)




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