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まずいコーヒー
「ほら、今回の依頼の報酬だ。」
マスターは湯気の立つコーヒーを一杯、平の前に置いた。
「……ふざけてるのか。」
平は無表情のまま言う。
「真面目だ。」
マスターは至って真剣な顔で頷いた。
「俺の店で一番の一杯だぞ。」
平は無言でカップを持ち、一口飲む。
数秒の沈黙。
「……まずい。」
店内の空気が固まる。
「おい!」
マスターが勢いよく立ち上がる。
「悪石の舌がおかしいんだ!」
「いや、普通にまずい。」
「そんなはっきり言うな!」
宝は肩を震わせながら笑いを堪え、天音は不思議そうに首を傾げる。
「……まずいの?」
「飲んでみるか?」
平がカップを差し出す。
天音は恐る恐る一口飲み――
「……にがい。」
その一言に、店内は笑いに包まれた。




