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白狼の勇者

「平くんだからね。責任、とってね!」


平は、その言葉を聞いても顔色ひとつ変えなかった。


(……こいつ、まさか南都の生き残りか)


「平くん、聞いてる!?」


「あぁ……」


その時だった。


低い唸り声が雨音に混じる。


闇の向こうから、三つ首の魔獣――ケルベロスの群れが姿を現した。


「ケルベロス……!」


宝の表情が青ざめる。


「……しょうがない」


平は懐から一本の銃を取り出した。


「――展開」


銃が蒼白い光を放つ。


次の瞬間、その光は平の全身を覆い、白銀の装甲へと変わった。


孤高の狼を思わせる鋭い装甲。


静かに輝く赤い眼。


まるで戦場を駆ける白狼そのものだった。


「平くん……」


宝は目を見開く。


「白狼の勇者……なの?」


ケルベロスたちが一斉に飛びかかる。


しかし。


閃光が一度、雨の中を走った。


轟音。


そして静寂。


次の瞬間には、ケルベロスの群れはすべて地に伏していた。


白銀の装甲が粒子となって消え、ラグラン銃は再び手のひらほどの大きさへ戻る。


「平くん……本当に白狼の勇者だったんだ。」


「……俺は英雄でも勇者でもない」


平は振り返ることなく歩き出す。


宝は満面の笑みを浮かべ、後ろから追いかけた。


「じゃあ、なおさら決まり!」


「平くんについていく理由、増えちゃった!」


平は小さくため息をついた。


「……勝手にしろ」


雨はまだ、静かに降り続いていた。

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