Episode 9
玄関のチャイムが鳴り、扉を開ける。
「未来、準備出来てる?」
「っ⋯うん⋯」
「じゃあ、行こうか」
強引に手を引っ張られ、無言のまま歩き続ける。
歩幅の合わないユウが遠く感じる。
結局ユウの家に着くまで、一言も言葉を交わさなかった。
「⋯お邪魔します⋯」
「そこの椅子、座って」
「⋯うん⋯」
指定された椅子に座り、綺麗に片付いている広い部屋を見回す。
「⋯ユウ、引っ越したの?」
「引っ越してないけど⋯何で?」
「⋯散らかってて狭いって言ってたけど、綺麗で広いから⋯」
「ああ⋯散らかってて狭いって嘘だから」
「っ⋯嘘って⋯何で⋯」
「これを見られるわけには、いかなかったんだよ⋯でも、もういいよ⋯未来はこれから、永遠にここに居るんだから⋯」
そう言いながら、隠してあった足枷を嵌められる。
「っ⋯!?な、何⋯?」
「何って⋯見てわからない?」
「っ⋯ユウ⋯冗談はやめて⋯?」
「冗談なんかじゃないよ⋯未来は俺の物なんだから、ずっとここに居るべきだろう?」
「っ⋯そんなの⋯おかしいよ⋯」
「おかしい?未来が言うこと聞かないからだろ?」
「⋯言うことって⋯」
「他の男と話すなって言っても、仕事を理由に話すから⋯話せない状況にすればいいって思ったんだ」
「話せない、状況⋯」
「あいつには未来に近付いた罰を与えたけど、未来はまた違う男と話すだろ?」
「っ⋯!?ちょっと、待って⋯あいつって⋯?」
「未来と居酒屋やカフェで話してたやつだよ⋯橘、だっけ?」
「っ⋯!」
「そんな事より⋯足枷、痛くないよね?ちゃんと傷付けないようなものを選んだんだよ」
「⋯痛くはない、けど⋯こんなの、嫌⋯」
「未来に拒否権なんてないよ⋯ずっと未来を縛り付けたかったのを、我慢してたのに⋯未来が悪いんだよ」
「っ⋯も、もう⋯男の人と話さないから⋯だから⋯お願い⋯外して⋯」
涙が溢れ出し、止められない。
無言で首を横に振るユウが、ぼやけた視界に映った⋯




