Episode 3
普段は来ないような居酒屋で、会社の同僚達と打ち上げをしていた。
「お疲れ〜!かんぱ〜い!」
ジョッキを合わせ、ビールを一口飲んだ。
慣れない味に、顔をしかめる。
「森宮さん、大丈夫?無理しなくていいよ」
「っ⋯橘さん⋯バレちゃいました?」
「うん、顔に出てたよ」
優しい笑顔と共に、唐揚げや枝豆を渡される。
「食べるでしょ?」
「っ⋯そんな、人を大食いみたいに⋯」
「いらないなら、俺が食べるけど⋯」
「っ⋯!た、食べます⋯!」
慌てて唐揚げを口に運ぶ。
隣に座った橘さんが、盛大に吹き出す。
「そんなに慌てなくても⋯」
「っ⋯すみません⋯」
「謝らないでいいよ、可愛いから」
恥ずかしさで顔が赤くなる。
それを誤魔化すように、再びビールを一口飲んだ。
「森宮さんはこっち⋯」
飲みかけのビールを取り上げられ、代わりにカシスオレンジを差し出される。
「橘さん⋯ありがとうございます⋯」
カシスオレンジを一口飲み、顔をほころばせる。
「森宮さんって、周りに合わせすぎじゃない?」
「⋯そう、ですか⋯?」
「今だって、ビール苦手なのに⋯」
「っ⋯それは⋯」
「まぁ、そういうとこ好きだけど⋯」
「⋯私、橘さんのそういうとこ尊敬してます⋯」
「そういうとこ?」
「周りをよく見てて、サラッと気遣い出来るとこです⋯」
「⋯そんな風に思ってくれてたんだ?」
「いつも助けられてるので⋯ありがとうございます⋯」
私の言葉に、橘さんが照れくさそうに頭を掻いた。
そして、おもむろに⋯
「その唐揚げ、1つちょうだい?」
「⋯どうぞ⋯」
誤魔化すように唐揚げを頬張る橘さんを見て、つい笑ってしまった。
「何笑ってんだよ⋯?」
「だって⋯橘さんが照れてるの珍しくて⋯」
「っ⋯年上をからかうんじゃない⋯」
軽く小突かれた額を押さえながらも、クスクスと笑いが漏れてしまう。
「ごめんなさい⋯」
「とか言いながら、笑ってんじゃん⋯」
今度は軽く頬をつねられる。
「橘〜!こっち来いよ〜」
橘さんを呼ぶ声が聞こえる。
手を離すと頭をポンと叩き、呼ばれた方へと席を移動した。
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いつも来る居酒屋で、未来を見つける。
「⋯未来、友達とはこういうとこにも来るのか⋯」
声を掛けようとして、足が止まった。
「⋯あの男⋯誰だ?」
未来が、俺以外の男と⋯楽しそうに話をしている。
暫く動けないでいると、男の手が未来に触れた⋯
それ以上2人の姿を見たくなくて、足早に店を出た。
今まで感じていたものとは違う、暗いものが心を支配していく気がした⋯




