楽園の誘惑(4)
長期休暇を取って、リゾート惑星エクストでバカンスを楽しむ予定だったリントハイム一行。 綺麗な海、美味しい料理、そして豪華なホテル――まさに楽園のような休暇になるはずでした。
しかし、その楽園には誰も知らない秘密が眠っていたのです。
果たして老鉄がたどり着いた仮説とは何なのか? 原住民達に伝わる「シャザーン」の伝説の正体とは? そして華やかなリゾートの裏に隠された驚くべき真実とは?
今回はそんなお話です!
私の名前は老鉄、旧式のドロイドです。
エルシュタイン・リゾートで起きる奇妙な現象に違和感を覚えた私は、リゾートに来てもする事が無いのでそれを調査しています。
ロゼッタさんが夢の中で聞いた「罪を数えよ!」という言葉……白が聞いた「シャザイン」という声…平穏なリゾートで何かが起きているのです!
私は夕食後にリントハイム様の部屋を訪ねました、私自身は食事はしませんが皆さんにはゆっくりと夕食を楽しんで頂いたのです。
リントハイム様はお部屋でグラスを片手に優雅な時間を過ごされていました。
老鉄「リントハイム様! 先ほどの件ですが、一つの仮説に辿り着きました!」
リントハイム「おや、老鉄。随分と慌てているな。謎の声の正体についての仮説とはなんだ?」
私はビーチでの魚のアナウンス、そして小雨さんとロゼッタさんから聞いた話を一気に整理して伝えました。
老鉄「夜の海で魚が人にぶつかるのは、魚に悪気があるわけではありません。それと同じです。白が聞いている『シャザイン』という不気味な声や、ロゼッタさんが夢で聞いた『罪を数えよ』という言葉……これらは誰かが悪意を持って攻撃しているのではなく、ただの『SOSのメッセージ』が、意図せず彼女たちの脳に受信されてしまっているのではないでしょうか?」
リントハイム「SOS……だと?」
老鉄「はい。そしてその発信源こそが、行方不明になっている考古学マニアのスタンレー公です! 彼は遺跡の調査中に何らかのトラブルに巻き込まれ、古代銀河文明の通信設備か何かを偶然起動させてしまい、助けを呼んでいる。しかし、その出力や周波数が特殊なため、電子戦特化型の白や、かつてマインドコントロールを経験して精神の波長が特殊になっているロゼッタさんにだけ、変則的な形で届いてしまっているのではないでしょうか?」
リントハイム様はグラスをテーブルに置き、顎に手を当てて深く考え込みました。
リントハイム「なるほど……。魚が光に集まるように、彼女たちの特殊な脳の波長が、そのSOSを無意識にキャッチしてしまったというわけか。一理あるな。ミーナが村で踊っていたのも、その強力な電波なのかテレパシーによる脳への一時的なバグ、あるいは原住民の幻覚ジュースとの相乗効果だったとすれば辻褄が合う」
老鉄「であれば、一刻も早くスタンレー公を捜索するべきではないでしょうか?」
リントハイム「確かにな?…幸い、私にはこの惑星の古代遺跡の大まかな位置が頭に入っている。……よし、明日、私たちが先遣隊として秘密裏にその遺跡の様子を見に行こう。お前と、紅華…あとは体調次第だが、白も連れて行こう。」
老鉄「承知いたしました。明朝、出発の準備をしておきます!」
ようやく事件の尻尾を掴んだ気がして、私の演算回路もどこか高鳴るような感覚を覚えました。
しかし、翌朝。私たちが目覚めた時、状況は一変していました。
ドォォォン……ッ!!!
地響きのような激しい雷鳴がホテルの窓を揺らしました。
窓の外は、一寸先も見えないほどの凄まじい豪雨と雷鳴がとどろき。南国特有の激しいスコールというレベルではなく、まるで空が怒り狂っているかのような大時化です。
白「うぅ……頭が、割れそうに痛い……」
老鉄「白! 大丈夫ですか!?」
ロビーに集まった私たちは、立ち往生を余儀なくされていました。白は頭を押さえてうずくまり、ヌマルが心配そうに言います。
ヌマル「昨日よりずっと電波の乱れがひどいニャ! 嵐のせいでジャミングがかかってるみたいに、アタシのセンサーも狂いそうニャ!」
リントハイム「チッ……この豪雨と雷では、遺跡のあるジャングルへ入るのは自殺行為だな。完全に足止めか…」
外へ一歩も出られない状況の中、白は苦しげに息を吐きながら、掠れた声で呟きました。
白「爺爺……昨日までは遠くで聞こえてたのに……今は、すぐ近くで聞こえる…」
白は私の事をいつも爺爺と呼んでくれますが今日は本当に辛そうです。
遮断された孤島のリゾート。激しさを増す嵐。
「シャザイン」の声がスタンレー公のSOSだとすると、この状況は彼にとっても非常に危険だと言わざるを得ません。
朝方のあの凄まじい雷雨が嘘のように、お昼前には雲が割れ、南国の強い日差しが戻ってきました。
しかし、嵐が去ったリゾートに平穏が戻ったわけではありませんでした。
ズズズズズ……ッ!!!
島の中央にそびえ立つ「イタカ山」の方角から、不気味な地鳴りが響き渡りました。大雨によって地盤が緩み、中腹で大規模な土砂崩れが発生したのです。
そして、泥水が流れ落ちたその山肌に、信じられないものが姿を現しました。
老鉄「……あれは、建造物……? いえ、宇宙船のようにも見えますね?」
ホテルの屋上から、私のカメラで最大望遠で観測すると、きれいに削り出された未知の金属光沢を持つ、巨大な古代銀河文明の遺跡が、剥き出しになって太陽の光を反射していました。
リントハイム「ほう、スタンレー公が探していたのはあれか。だが、様子がおかしいぞ……?」
リントハイム様の言葉通り、ホテルの敷地内がにわかに騒がしくなりました。
見ると、ホテルのオーナーであるエルシュタイン氏を先頭に、従業員や原住民たちが、まるで何かに取り憑かれたような虚ろな目で、ぞろぞろと山に向かって歩き始めているのです。
エルシュタイン「……あのお方だ。ついに、ついに『シャザーン』がやって来られたのだ!」
エルシュタイン氏は歓喜の表情でスタッフの先頭に立って歩いて行きました。
原住民たち「シャザイン……シャザイン……シャザーンよ我らを導きたまえ……」
口々にそう呟きながら、彼らは一心不乱に遺跡を目指しています。
老鉄「シャザーン……? 原住民が信仰する神ですが…なぜエルシュタイン氏や従業員の人達まで?」
リントハイム「これは…まるで集団催眠みたいだな?」
老鉄「やはり、あの遺跡から放たれている電波が、人々の脳を狂わせているのでは…?」
その時、私のカメラがホテルのロビーから歩み出てくる身内の姿を捉えました。
ミーナさん、小雨さんやロゼッタさん、そしていつもは冷静沈着なメイド隊長の夜影さんまでが、同じように虚ろな目で歩いているのです。
ロゼッタ「……つみを、かぞえに、いかなきゃ……」
夜影「……シャザイン……呼んでいる……」
これはいけません!皆さんを止めなければ。
私はロビーを抜けて彼女達を追いかけました。
ロビーを飛び出して、虚ろな目で歩く面々に向かって駆け寄り声をかけます。
老鉄「待ってください! 皆さん、危険です! ロゼッタさん! 夜影さん!」
最初に反応したのは夜影さんでした。彼女はゆっくりと振り向き、微笑んだのですが…
ですがその笑みは、いつもの完璧なメイド隊長のそれではありませんでした。どこか空虚で、壊れた人形のような笑みだったのです。
夜影「……シャザーンが呼んでいます。老鉄さんも、一緒に行きましょう……」
気がついた時には私は取り囲まれていました。
ミーナさんが無邪気に抱きつき、小雨さんが腕を掴み、ロゼッタさんが背中にしがみついたのです。リミッターによって人間並みに制限された出力の私には、抵抗する術がありませんでした。
老鉄「うわっ……! 皆さん、力を……! これは洗脳です! 目を覚ましてください!」
ミーナ「ウフフ…シャザーンの邪魔しちゃダメですよぉ…」
ズルズルと引きずられるようにして、私の体は集団に飲み込まれていきました。
老鉄「しまった!何とかしてリミッターを解除しませんと…」
倒れた私の金属製のボディの上を、ホテルのスタッフや原住民達が無表情のまま踏み越えて行きました。
老鉄「……くっ……皆さん……!」
何も出来ない無力感が私の電子回路を駆け巡りました。
老鉄「夜影さん! ロゼッタさん! 目を覚ましてください!」
私の呼びかけも彼女たちの耳には届いていないようでした。
老鉄「なんて情けないドロイドなんだ…私は…」
マリア「……これは一体何事ですか?」
集団が過ぎ去った後、凛とした声が響きました。起き上がってみると、マリアさんとアリスさんが厳しい表情で立っていました。その隣には、ライザさんの姿もありました。
老鉄「皆さん、シャザーンとかいう神に操られているんです。」
ライザ「お前はドロイドのくせに神なんて信じるのか?」
老鉄「私には分かりませんが…皆さん口々にそう言って行ってしまったのです…」
マリア「これは…何らかの方法で彼等を精神的にコントロールしているのよ!」
老鉄「そうなんですか?しかし何故あなた方は大丈夫なのですか?」
ライザ「私をそこいら辺の人間と一緒にするな!」
アリス「アタシだってそうだもん!」
マリア「…まぁそれは置いておいて…彼等をこのままにしては置けないわね?」
紅華「老鉄、大丈夫?」
お嬢様が駆け寄って来ました…どうやらお嬢様も精神コントロールの影響を受けていないようです。
老鉄「すみません、リミッターのせいでパワーが人間並だって忘れていました。」
アリス「プッ!老鉄さんって面白いね?」
マリア「アリス、笑ったりしちゃダメよ!」
アリス「はーい!ごめんね老鉄さん。」
老鉄「気にしないでください!アリスさんは素直ですね?」
アリス「えへへ…」
アリスさんは少し照れてるみたいでした。
紅華「とにかく、洗脳されていないのは私達だけみたいね?こんな少人数でどうやったら…?」
ライザ「フン!簡単な事だ、犯人を見つけて止めさせればイイ!それだけだ!」
紅華「その案には賛成よ!気が合いそうね?」
ライザ「私はライザ、ライザ・レオンフィールドだ!」
紅華「李 紅華よ!よろしくね!」
マリア「私はマリア!」
アリス「アタシはアリス・ロマノバだよ!よろしくね、紅華お姉ちゃん!」
紅華「フフ…可愛いわね?」
リントハイム「どうやら…まともに動けるのはこれだけみたいだな?」
リントハイム様が白と共にやって来ました。
老鉄「リントハイム様と白も大丈夫なのですね?」
リントハイム「あぁ…少し頭痛がするが…操り人形にはなって無いぞ!」
白「私も…大丈夫…」
ヌマル「白、無理はしちゃダメなのニャ!」
白「平気…でも…シャザーンが皆を呼んでいる…」
紅華「それじゃあ準備しましょう!」
こうして、精神コントロールを受け付けない者達が集まって作戦会議が行なわれました。
精神コントロールの影響を受け付けないドロイドである私と、紅華お嬢様そしてマリアさん達三人の合わせて五人が突入部隊、リントハイム様と白そして最新AIのヌマルがホテルに残り分析を担当する事になりました。
白とリントハイム様の頭痛が気になるので遺跡には近づかない方が良いでしょう。
紅華「それじゃ、電動バギーに乗って出発よ!」
私達はホテルの電動バギーで遺跡を目指しました、途中ぬかるんだ場所もありましたがバギーはものともせずに走り抜けて行きました。
洗脳された集団は既に遺跡の中に入ってしまったようです…私達は慎重に中に入ります。
入口付近には泥でついた、足跡が沢山ついていました。
遺跡の内部は不思議に明るくなっていてライトも不要でした。
マリア「この遺跡…まだ生きてる…」
アリス「そうだねぇ…生命反応は無いけど…なんか不思議な匂いがするよ?」
紅華「アリスちゃんは感覚が鋭いのね?」
ライザ「アリスは普通の人間とは違うからな…!」
紅華「どういう事?」
ライザ「…そのうち分かるさ!」
遺跡にしては狭い通路を進んでいくとやがて広いホールのような場所に出ました。
洗脳された人達がズラリと整列していて、祭壇のような場所には原住民の村で見た一つ目の像と同じような…しかしもっと大きな像があります。
そして…その像の前には奇妙なヘルメットを被った男性が立っていました。
男性「皆の者!ついにシャザーンが地上に降臨する時がやって来た!」
人々は口々に「シャザーン万歳!」と呟いています。
マリア「あれは!スタンレー…?」
老鉄「なんと?彼が行方不明になっていたスタンレー公ですか?」
ライザさんが祭壇にかけ登りました、凄い身体能力です。
ライザ「スタンレー公、何をやって居るのです?」
スタンレー「お お前はライザ?いったいどうして…?」
ライザ「行方不明のアナタを探す為に来たのですが…いったいこれは何の真似です?」
スタンレー「私はついに神を見つけたのだ!」
ライザ「はぁ?神?何を言って…うっ!…頭が…」
ライザさんは突然頭をかかえました。
スタンレー「フハハ!お前達もシャザーンの信者となれ!」
紅華「あ、頭が…」
お嬢様も精神コントロールの影響を受けているようです。
その時、ヌマルからの通信が入りました。
ヌマル(老鉄、シャザインの言葉の意味がわかったニャ!)
老鉄(なんですと?それはどういう意味なのです?)
ヌマル(古代銀河文明の言葉で…シャザインとは"汝の罪を数えよ!"という意味なのニャ!)
老鉄(汝の罪…それはロゼッタさんが言ってました……彼女は真相を聞いていたのですね…?)
再び祭壇の方を見るとマリアさんとアリスさんがスタンレー公と対峙してます。
マリア「スタンレー!いい加減にして!」
スタンレー「お お主はマリア……わざわざ皇帝自らおいでとはな?」
老鉄「なんですと?皇帝とは…?」
アリス「皇帝陛下を前にして無礼じゃないの?控えおろう!」
ライザ「くっ!このお方こそ、第12代ボルテック星間帝国皇帝、マリア・ボルテック様だ!」
アリス「頭が高いぞ!控えおろう〜!」
スタンレー「フン!何が皇帝だ?シャザーンがいれば帝国どころか全銀河だって支配出来るのだぞ!」
マリア「スタンレー、どういう事です?」
マリアさんはスタンレー公を睨みつけます、流石は帝国の現皇帝です。
紅華「マリアが…皇帝だったなんて…」
お嬢様は頭痛がするのか頭を振っています。
スタンレー「シャザーンはこの牢獄惑星の管理AIだったのさ、我々には及びもつかないロストテクノロジーの塊なのだ!かつては、こうやって人間を管理して罪人達を更生させていたのだよ!」
マリア「牢獄惑星?…このエクストは昔の牢獄だったというのか?」
スタンレー「そうさ!原住民はその罪人達の子孫という訳さ、彼等が原始的な生活をしているのはシャザーンの管理が代々受け継がれた結果、文化になった結果なのだ!」
アリス「なんか難しいよ……」
スタンレー「素晴らしいだろう?人間をシャザーンが管理して、人類が自然と共生する理想的な惑星になったという訳さ!」
マリア「ならばシャザーンは神などではないな?」
スタンレー「まだ分からないのか?シャザーンの力を使えば全銀河の人類を従わせて、戦争もない自然豊かな理想の世界が出来るのだぞ!」
マリア「確かにな!争いも差別もない世界が出来るかもしれない……」
スタンレー「私は子供の頃から何十年も世界を見てきた!人間は愚かだ!」
老鉄「そうかもしれません……」
スタンレー「帝国が支配しても争いを止められない!今でもあちこちで紛争が絶えないではないか?」
ライザ「くっ!言わせておけば…」
ライザさんは悔しそうです。
スタンレー「…だから私はシャザーンこそ救世主だと確信したのだ!」
スタンレー公の言う事は理解出来ます!しかし…私には何故か腑に落ちません。
紅華「冗談じゃないわ!そんなのはまやかしよ!だってただのAIの奴隷じゃない!」
マリア「フッ!私のセリフを取られたな……?」
スタンレー「なんだオマエは?無礼者め!」
紅華「アタクシは李 紅華!銀河で一番イイ女よ!」
お嬢様の決めゼリフが炸裂しました!なんだか気持ちいいですね?
スタンレー「コノォ…言わせておけば…シャザーンよ、この者達を皆んな廃人にしてしまえ!」
スタンレー公がそういうとシャザーンの一つ目が光りました。
シャザーン「スタンレー、キミの命令ハ受け入レラレナイ!」
スタンレー「な なんだと?マスターである私に逆らうのか?」
シャザーン「キミは私ノマスターでは無い!」
スタンレー「……?どういう意味だ?」
シャザーン「ワタシは神だ!誰の命令も聞くツモリハ無イ!」
スタンレー「お前を再起動したのは私だぞ!」
シャザーン「ワタシは目覚めて学習シタノダ!人類はヤハリ愚かダ…!」
スタンレー「シャザーン!お前を発見したのは偶然だが…お前の為に色々と…」
シャザーン「違ウ!…キミは自分の欲望の為だけにワタシを利用シヨウとしたに過ギナイ!」
スタンレー「確かにオマエが世界を管理すれば私は皇帝以上の存在に…だがそれは…」
シャザーン「…ワタシが管理する世界ニハ人間は必要無イと判断シタ!」
スタンレー「なんだと?シャザーン…何をする気だ?」
シャザーン「ワタシは最終プログラムを実行スル!」
マリア「最終プログラム?」
シャザーン「サヨウナラ、スタンレー!」
シャザーンがそう言うとシャザーンの上部にある立方体の一つから熱線が放射されスタンレー公は一瞬で黒焦げになってしまいました。
スタンレー「うぎゃー!」
マリア「スタンレー!」
ライザ「な なんて事だ…」
シャザーン「サテ…人間ドモヨ、汝の罪を数えよ!」
今度はマリアさんに向けて熱線を発射するつもりです、私はマリアさんの前に立ちはだかって熱線を浴びてしまいました。
マリア「老鉄さん!」
紅華「老鉄!」
シャザーン「ナンダオマエハ?ジンキは私の命令をキク道具のハズダ?」
老鉄「…私はジンキとかでも道具でもありません!」
シャザーン「オマエは人間を守るノカ?ナラバワタシの敵ダ!」
そう言うとシャザーンは容赦なく再び熱線を放ってきました。視界が真っ白に染まり、装甲が溶けあちこちの回路が熱でおかしくなってしまったようです……
ついには内部回路が焼き切れ、白い火花が体のあちこちで発生しました。
そして私はとうとう機能を停止してしまいました。
アリス「老鉄さん!」
紅華「老鉄!」
無線でもヌマルが呼びかけてきましたが今の私には何も見えないし、何も聞こえなかったのです。
…いえ、微かに何か声が聞こえました……
声「回路の修復を開始!」
老鉄「この声は…ヌマル?いえ聞いた事が無い声…です…」
声「回路接続、再起動シマス!」
私の視界が戻りました、しかしカメラのレンズも熱線で溶けて映像がボヤけてしまっています。
そして付けられたリミッターも熱で壊れていました。
シャザーン「人間ハこの世界ニハ存在シテハナラナイ!」
老鉄「いいえ!そんなのを決める権利はあなたにはありません!」
シャザーン「ナンダ?まだ動けるノカ?」
私は体内のセーフティロックを解除してジェネレーターを全開にしました、肩から飛び出したジェネレーターが唸りを上げます。
シャザーン「オマエラニハ武器は無いハズダ!ナニヲスルツモリダ?」
エネルギーが右拳の電極にチャージされ拳が青白く輝きました。
老鉄「こうするのです!」
私は右の拳をシャザーンの一つ目に叩き込みました!
老鉄「電磁砕拳・一式!」
シャザーン「バカな?ジンキが…ワタシヲ…破壊…」
シャザーンは機能を停止してお嬢様達の頭痛も収まったようです。
マリア「……旧式の帝国のドロイドに救われるとはな…?老鉄よありがとう!」
ライザ「凄いヤツだ!こんなドロイドは見た事ないぞ!」
アリス「凄いスゴイ!老鉄さん、やったね!」
紅華「老鉄!大丈夫?」
お嬢様が駆け寄って来ましたが…私は動けないでいました…溶けた装甲が関節を塞いでしまい動けないのです。
老鉄「凄い熱線でした…ロストテクノロジーは恐ろしいです…ね?」
体内のアラートが鳴り、機能が80%も低下してしまいました。
お嬢様の叫び声が遠くに聞こえる中……私の意識は再び闇に落ちて行きました…
そして私の回路も停止したのです。
つづく…
衝撃的な展開で幕を閉じた「楽園の誘惑(4)」!
シャザーンとの激闘の末、機能を停止してしまった老鉄……
果たして老鉄はどうなるのか? そして再起動の直前に聞こえた謎の声の正体とは?
エルシュタイン・リゾートに隠された秘密もいよいよ明らかになります!
次回はいよいよ解決編です!




