ネビュラの星から来た男
何処か別の銀河の話し…
この銀河は三大勢力が拮抗して平穏を保っている!
帝国主義のヴォルテック星間帝国、自由主義の自由星間同盟、AIが政治を行なうネビュラ星間連合である。
旧式ドロイドの「老鉄」のメンテナンスを任せる技術者をリントハイム(超イケメンの天才)が呼び寄せた…しかしその人物はとんでもない頑固オヤジだった…
私の名前は老鉄、旧式のドロイドです。
ある日の事、私がお仕えする自称「銀河で一番イイ女!」である李 紅華様が雇い主であるリントハイム様と執務室で口論していました。
紅華「新しい技術者を雇ったですって?」
リントハイム「ああ!あのポンコツを任せられるような技術者だ!」
紅華「そんな事言って…この前来たのだって、大した事ないクセに偉そうにして…その上アタクシやメイド隊の子達をいやらしい目で見て…気持ち悪いったらありゃしない!」
リントハイム「…だから今度はもっと…」
紅華「もっとスケベなジジイだったらどうするのよっ!」
老鉄「お嬢様、プロフィールを拝見したところ…そのような心配は無いかと…?」
…お嬢様は私が差し出した履歴書を見て驚いた様子で…
紅華「何よこれ?ネビュラ星間連合で働いていたんじゃない?スパイとかの可能性は無いの?」
リントハイム「安心しろ!…そんな心配は無用だ!なにせAI偏重を嫌って追い出されたんだからな…」
紅華「フン!それじゃあせいぜい期待させていただきますわ!」
…お嬢様は昔からこうなので…リントハイム様の苦労は絶えません…ちなみにリントハイム様は銀河でも指折りの大富豪で死の商人でもあります、そんなリントハイム様にあのような口をきけるのはお嬢様だけです。
それから数日後…リントハイム様が招いた技術者の方がやって来ました、白髪短髪の角刈り?で筋骨隆々、作業着には油の跡がところどころに着いてます。
リントハイム「紹介しよう、新しく働いてもらう技術者の吉村源蔵だ!」
源蔵「よろしくな!そうそう、オイラの事はゲンさんと呼んでくんな!」
紅華「頑固オヤジって感じね?」
源蔵「頑固オヤジか?当たりだぜ!オイラの拘りが理解できないヤツの下では働かねーからな!」
…これはまた……紅華様以上に、一筋縄ではいかない御仁がやってこられたようです。果たして私の旧式ボディは、この頑固な油まみれの手によって、どのように弄くり回されるのか?私の電子頭脳が、ほんの少しだけ警戒のアラートを鳴らしていました…
それから数日後…私はリントハイム邸の専用工房にてメンテナンスをしてもらっています…源蔵さんは私(老鉄)の事を気に入ったようすで、メンテナンス中にずっと話しかけて来ます…他の人にはあまり喋らないのですが…何故でしょう?
源蔵「よお、ラオ公!今日は膝の関節のボルトが緩んでやがるぜ!ま〜た無理な機動しやがって…お嬢を守るのがお前さんの仕事だろうけど…あんまし手間かけさせんなよ!」
…そう言っていますが…何故か嬉しそうです…?
老鉄ラオティエ「源蔵さん、さすがお見通しですね?」
源蔵「源蔵さん?ゲンさんでイイってんだろ!ホレ、呼んでみろ!」
老鉄「ゲンサン?」
源蔵「そうそう!その方がしっくりくるぜ!…しかしお前さん、旧式だが…元は軍用ドロイドだろ?旧式だから入れ替えで民間に払い下げられたんだろうな?」
老鉄「ゲンサン、よく分かりますね?」
源蔵「へへっ!たりめーよ!こんな旧式ドロイド…いまじゃほとんど廃棄されているだろうけどな?」
…ゲンサンの言うように、私のボディのあちこちにはさまざまな兵装を取り付けるコネクタがあります!農業機器も取り付けられるので農業に従事していた事もあります。
老鉄「…ゲンサン、お嬢様が危険な時…私の回路温度が上昇するのですが、故障でしょうか?」
源蔵「ほほぅ?面白い現象だな?だがそいつは故障じゃねぇ、お前さんには心があるんだよ!」
老鉄「ココロ?…私はドロイドですよ?」
源蔵「長い年月の間に、魂が宿るのさ!付喪神ってヤツ…知らねえのか?」
老鉄「私のアーカイブには存在しない言葉ですね?ツクモガミ…ですか…」
源蔵「オイラの故郷の星にはな、そういう言い伝えがあるんだよ!」
老鉄「故郷…」
源蔵「この電動ドライバーだってな、機嫌の良い時と悪い時があんだよ!機嫌が悪いと、言う事聞かないからな!」
老鉄「ゲンサン…それは故障では?モーターの交換を推奨します!」
源蔵「ガハハ!そのうちわかるぜ!オイラの言ってる事がよ!」
老鉄「そうなるとイイですね…?」
源蔵「ところでよう、お嬢は銀河で一番イイ女!なんていつも言ってやがるが…まぁ確かにイイ女なんだけどよ!お前さんを家族のように大事にしてるのは分かるぜ…いったいどういう付き合いなんだ?」
老鉄「お嬢様は誰とも付き合っていませんが…?」
源蔵「フフン!そうじゃねぇ、どうやってお嬢とお前さんの関係が始まったのか?って聞いてるんだよ!」
老鉄「私とお嬢様が…それは昔の話しですが…」
……気がつけば、私は内蔵の音声スピーカーの音質を調整し、ゲンサンに昔話を語っていました。ドロイドの記憶メモリにとって、過去のデータなどただの0と1の羅列に過ぎないはずなのですが。
何故でしょう。お嬢様と初めて出会ったあの星の、田んぼを吹き抜ける風や、震える手で私の指先を握ったあの温もりまでが、まるで昨日のことのように鮮明に再生されるのです。
私の記憶回路が、ほんの少しだけ熱を帯びていくのを感じながら、私は静かに語り続けました。
…それは、今から遥か昔。お嬢様がまだ、「銀河で一番イイ女」ではなく、「銀河で一番わんぱくな女の子」だった頃のお話です。
源蔵は老鉄の事が気に入ったようですね?
しかしリントハイムは老鉄の事をポンコツ呼ばわりしていますが腕利きの源蔵を招くなど、なんだかんだ言って気にしているようです!
そして紅華と老鉄の出会いとは?次回は紅華の過去が明らかになります!




