13人目の暗殺者
この銀河は大きく分けて三大勢力が拮抗して平穏を保っている…帝国主義のヴォルテック星間帝国、自由主義の自由星間同盟、そしてAIが統治するネビュラ星間連合だ!
この銀河を股にかける自称「銀河で一番イイ女!」である「李 紅華」と彼女の雇い主で大富豪(実は死の商人)「リントハイム」と紅華に付き従う旧式ドロイド「老鉄」の冒険譚が始まる。
私の名前は老鉄。
見た目は旧式の単眼ドロイドですが、中身は最新型へアップデートされています。
ご主人様は李紅華様。
「アタクシは銀河で一番イイ女よ!」が口癖ですが、私には分かりません。
イイ女という基準を判別するモジュールは搭載されていませんので。
…ですが周りの方々で異を唱える方はおりませんのでそうなのでしょう!
お嬢様が仕えているのは銀河でも指折りの大富豪、「リントハイム」様です…お嬢様はリントハイム様の第一秘書でありボディーガードでもあります…
リントハイム様はいわゆるイケメンらしいのですが、紅華様はいつも「悪い男」だと仰っています…銀河の各地に武器を売りさばく、いわゆる死の商人だからでしょうか?
しかしこの銀河はあちこちで紛争も多く、犯罪者も各地にいるので武器は必要な物だと考えます、なので私には分かりません。
今日も私はお嬢様と共にリントハイム様をお守りしています…
リントハイム様を狙ってる輩は多いらしく、私のボディには数多のキズ跡が残っています!
…なのでリントハイム様はいつも…「そんな骨董品ではなく最新型を買ってやる!」と仰っていますがお嬢様は「老鉄はアタクシの美しさを引き立てる為に必要なの!」と言って譲りません!
何故か分かりませんがその言葉を聞くと私の電子回路が熱くなります…
リントハイム様は表向きは大富豪ですが……
裏では銀河各地へ武器を輸出する、いわゆる「死の商人」なのです。
当然、命を狙われる機会も少なくありません。
ですので、お嬢様と私が護衛を務めています。
昨日も第三宇宙港へ向かう途中、2.3キロ先の高層ビルから狙撃がありました。
ですが問題ありません。
私は発射の0.8秒前に殺気反応を予測。
私のボディーでリントハイム様を庇うと右肩に着弾しました!私のボディーはヴォルテック合金製の装甲に換装しているので問題ありません。
……その後の銃声と爆発音から察するに、スナイパーはお嬢様に返り討ちにあったようですね。
本日はリントハイム様の豪華客船『黄金の彗星号』の処女航海です。
その最上階にある展望ラウンジで、私は壁際に直立していました…
紅華「老鉄、ちゃんと見てよね?…アタクシの立ち位置、ここからだと照明が右斜め45度で、肌のツヤが一番綺麗に見えるでしょ?」
紅華様が、深紅のドレスをなびかせて言いました。
私は光学センサーを0.1ミリ単位で調整して確認しました…
老鉄「はい、紅華様。現在の照度は、あなたの皮膚表面の反射率を最大限に高めています。……ですが、その照明の死角に、生体反応一名を確認!」
紅華「来たわね?」
紅華様の目が、獲物を狙う肉食獣のように鋭く光りました。
リントハイム様は、高価なワインを口に含みながら、不機嫌そうに鼻を鳴らします。
リントハイム「ふん、またか?…この所毎日だな?紅華、さっさと片付けてくれ!そのポンコツは大丈夫なんだろうな?」
…リントハイム様の言うように、昨日の狙撃で私の右肩には小さな傷が残ってます。ですが、私の任務に支障はありません。
紅華「ポンコツ? フン!このレトロ感が、アタクシの美しさを際立たせるのよ!老鉄、行きなさい!中身は 最新型だって事を見せてやりなさいな!」
老鉄「承知いたしました、紅華様。…お掃除の時間ですね、お任せください!」
私は旧式のドロイド故の重い足音を響かせながら、暗闇に向かって一歩踏み出しました。
十三人目の暗殺者を片付ける…紅華様の命令はいつも私の電子回路を熱くさせるのです。
## 老鉄の独り言:ログ001
【診断】
リントハイム様は「最新型を買ってやる」と仰います。
経済的合理性から言えば、それは正しい。
しかし、紅華様は「アタクシのために必要」と、いつも仰っています。
非論理的ですが……私は、この鋼鉄の指先がリントハイム様のワイングラスを守る瞬間、自分のプログラムが『最適解』を出していると確信しています。
作者である私は、スターウォーズなどのSFが大好きで昔から小説もよく読んでいました!
今回この作品を書くにあたって、前々から銀河の三国志みたいな話しを構想してましたが大河ドラマみたいなのは書けないので漫画の「コブラ」みたいな感じで行こうと紅華のような強烈なキャラと旧式ドロイドの老鉄という相棒、それと雇い主のリントハイム様が産まれました!




