三日月のレクイエム(後編)
人類が恒星間航行を実現して長い年月が経ちました……
銀河には三大勢力が覇権を競いながらも均衡を保ち、多くの星々で様々な人が暮らしています。
人類は過酷な環境に対応する為に遺伝子までも改造してきましたが…
生存可能な世界が広がった代償もまた存在していました。
改造された遺伝子は世代を重ねるうちに予期せぬ変異を起こし、時として障害や思わぬ病気を引き起こすのです。
どんなに科学が進歩しても差別、格差、争いは無くなりません。
それはこの銀河も同様でした……
今回はそんな世界の影の部分に迫ります。
私の名前は老鉄、旧式のドロイドです。
戦災孤児の保護と育成を目的とした施設「アステリアの家」その卒業生が行方不明になる事件が発生しました。
私達は調査の為、表向きは惑星バルジアンの裏社会とのコネクション作りという名目で、首都フォンテーヌシティを訪れていたのです。
地元のギャングのナンバー2であるジャベールさんから情報を得て、ダウンタウンの地下街にある医療施設に侵入して驚くべきファイルを入手したのです。
紅華「それは、人間の臓器を販売してる台帳よ!」
夜影「……」
老鉄「それではまさか…行方不明のジャンとロゼッタの兄妹は…?」
夜影「可能性があるというだけです!まだ決まった訳じゃありません。」
老鉄「それでは2人の名前が無いか調べてみます!」
私はコピーしたファイルの解析を続けました…お嬢様と夜影さんは、2人の名前が無い事を祈っているように見受けられます。
老鉄「!…ジャンの名前が…ありました…」
紅華「…くっ!」
お嬢様は苦悶の表情を浮かべています…
夜影「許さない…」
夜影さんは表情は変わりませんが瞳には殺意が宿ってました。
老鉄「待ってください、ロゼッタの名前が……」
紅華、夜影「……!」
老鉄「…どうやらありませんね?」
紅華「心臓に悪いわね…?」
老鉄「失礼しました…ジャンの臓器…肝臓は…マリウス・マドレーヌに移植。心臓は……」
紅華「ちょっと待って、マリウス・マドレーヌですって?」
老鉄「はい!記録ではそうなっております。」
夜影「お嬢様!それでは…今度退院するマドレーヌの息子は…」
紅華「ジャンの臓器を移植されているって事ね…?」
老鉄「マドレーヌ氏はその事を知ってるのでしょうか?」
紅華「分からないけど…肝臓を買って移植されているんである程度は知ってるはずよ!」
夜影「…マドレーヌを拷問して吐かせれば分かりますよ!」
夜影さんはいつになく怒りを表に出しています、彼女に取ってもアステリアの家の卒業生は自分の後輩や兄妹みたいなものだからでしょう……
紅華「待って…何かおかしいわ」
夜影「おかしい?」
紅華「マドレーヌは確かに裏社会の大物だけど、こんな杜撰な台帳を残す人じゃない。」
老鉄「つまり…?」
紅華「誰か別の人間が動いている可能性もあるわ。」
私達は困惑していました。
ジャンの臓器はマドレーヌの息子に移植されていた。
しかし、その事実こそがマドレーヌ氏の無実を示しているようにも思えます。
もし黒幕が別にいるのだとしたら……
私達は今、想像以上に巨大な闇へ足を踏み入れてしまったのかもしれません。
翌日…私達はロゼッタの行方を追い、街を調査する事にしました…表向きは観光ですが街の人々の噂話しには意外な真実が隠されているものです。
組織のナンバー2、ジャベールさんが街の案内を買って出てくれましたが丁重にお断りしました、今の段階ではマドレーヌ氏も白なのか黒なのか分からないからです。
再びダウンタウンにやって来ましたが、昼間なので結構活気に満ちています。
あちこちの商店が様々な物を売ってますが……中には違法?みたいな物も普通に売っていますね?
街の中心部あたりで1人の男が声をかけて来ました。
男「アンタ、李 紅華だろ?あのガリウスを倒した…銀河で一番イイ女だ!」
私は男の前に立ちはだかります、気安く声をかけてくるなど無礼ですから…!
老鉄「失礼ですが、どちら様でしょうか?お嬢様はアナタをご存知ないようですが。」
男「ちょっと待ってくれ、オイラはあんたのファンなんだ!実際に見るとますますイイ女だね?」
男の言葉に気を良くしたのか、お嬢様は男に話しかけました。
紅華「フフ…アタクシのファンなんて…随分と有名になったものね?」
男「それは当然だよ!裏社会ではガリウスは凄い恐れられたスナイパーなんだぜ!そいつをこんな美人が倒すなんてのは…もう衝撃だったんだー!」
男はオーバーなジェスチャーを交えて話します…こんな下品な男と会話していたらお嬢様の気品が穢れそうです。
紅華「ちょっと聞きたいんだけど…この街で臓器売買ビジネスをやってる連中がいるらしいじゃない?」
男「おっと!昼間からそんな話しとは…大きな声じゃ言えないけど…この街を縄張りにしているマドレーヌの旦那は穏健派だから…他の組織が色々と勝手な事をやってるのに手が出せないらしいぜ。」
男はその他にも、ナンバー2のジャベールさんが頑張ってシマ(縄張り)を守っている事や、ダウンタウンには移民の人が多い事、マドレーヌ氏も移民の出身だという事を教えてくれました。
男「街のみんなも子供達が急に居なくなったりしているから…不安と不満が溜まって、やばい雰囲気だぜ…」
紅華「そうなのね?色々と教えてくれてありがとう!」
男「あ!俺はフィリップってんだ、こっちこそ有名人と話せて光栄だよ!」
紅華「そう?…ありがとうフィリップ。」
フィリップ「あ 握手してもらってイイすか?」
老鉄「調子に乗らないでください!」
フィリップ「なんだよお?老鉄さん、随分とオイラに冷たいじゃんか?」
老鉄「……ファンだからって、限度というものがありますよ!」
紅華「まあまあ…握手くらい良いじゃない、老鉄してあげなさい!」
老鉄「はい!お嬢様。」
私はフィリップと握手してあげました。
フィリップ「イテテ…老鉄さん握力が強すぎるぜ〜!」
夜影「フッ!面白い男だ…」
フィリップ「あれ?そういや…」
夜影「なんだ?私の顔を見るなり…?」
フィリップ「いや…なんか…こちらの姉ちゃんに似た雰囲気の女の子が居たなぁ…って…」
紅華「…!」
フィリップ「ああ、そうだ!一昨日この街で…」
老鉄「本当ですか?」
フィリップ「嘘じゃねぇよ!…こちらの姉ちゃんみたいに無口な女の子でさ、結構美人だったから覚えてたんだ。」
紅華「やっぱり美人は目立つものね?」
フィリップ「まだ若いのに…どこかの組織のスナイパーみたいでさ…その子がマドレーヌさんを狙っているって噂だぜ!」
夜影「……まさか…ちょっと待って、その女の子ってこんな子?」
夜影さんはロゼッタの写真を見せました。
フィリップ「うーん…かなり似てるかも?だけど…なんかすげー冷たい目で無表情だったなぁ…まるで人形かと思ったくらいだし…」
紅華「老鉄、夜影、急いで帰るわよ!」
私達はマドレーヌ氏の事務所に向かいました。
マドレーヌの事務所に到着すると彼のオフィスにはジャベールさんだけが居ました。
紅華「マドレーヌ氏はどこに行ったの?」
ジャベール「どうしたんですか?そんなに慌てて…ボスならお坊ちゃんの入院している病院に行ったんですよ!明日は退院だし…」
ジャベールが肩をすくめます、もしも私がスナイパーならば病院かもしくはそこを出たところを狙います。
夜影「お嬢様、ロゼッタが狙うなら病院は絶好の狩場ですよ!」
夜影さんも同意見のようです。
紅華「私達は病院へ行くわ!ジャベールさんも念のため部下を配置しておいて!」
ジャベール「…なんかよくわからないけど…承知しやした!」
私たちは今度はその病院へ向かいました…
病院に到着するとマリウスの病室はすぐに見つかりました、三階にあるその個室病棟は開放感があり料金は高そうですが息子の為に金を惜しまないという感じがして、彼の息子に対する愛を計り知れます。
私は窓の外を確認しました、この病院は街中にある総合病院で最新の医療設備を備えています。
すると…向かいのビルの屋上に人影が見えましたがすぐに見えなくなりました。
マドレーヌ「紅華さん、わざわざお見舞いに来てくれたんですか?ありがとうございます!」
紅華「…夜影、カーテンを閉めて!」
夜影「はい!お嬢様。」
夜影さんがカーテンを素早く閉めてくれました、これなら狙撃は出来ません。
マドレーヌ「どうしたんですか?いきなりカーテンを閉めて…?」
老鉄「狙撃される可能性があるからです。」
マドレーヌ「なんだって?」
紅華「ここじゃアレだから…人のいないところで話しましょう…」
私たちは病室を出て階段の踊り場でマドレーヌ氏に説明します。
マドレーヌ「確かに私はギャングのボスだ…他人には恨まれる事もあるだろう…?」
紅華「他の組織との抗争があるのかもしれないけど…私たちが心配しているのは…」
マドレーヌ「他に理由があるのか?」
紅華「マリウス君の移植された臓器…その出所をアナタは知っているの?」
マドレーヌ「…!そ それは…確かに金を払って買ったんだ…だが出所までは知らん!」
紅華「本当に?」
マドレーヌ氏は青ざめた顔をしていましたがウソを言っているようには見えませんでした。
夜影「売人とはどこで接触したんですか?」
マドレーヌ「前々から息子に合う臓器を探してくれと頼んでいたんだよ!」
老鉄「違法な経路で入手された可能性については考えなかったのですか?」
マドレーヌ「…臓器売買シンジケートがあるのは知っていたが…ワシはマリウスが助かりさえすればなんだってイイんだ!」
マドレーヌ氏の発言で、階段の踊り場に沈黙が落ちました。
…誰もすぐには言葉を返せません。
老鉄「……」
紅華「……ふぅ…アナタの気持ちは分かるけど…マリウスに移植されたドナーの…おそらく妹が、復讐しようと狙っているらしいのよ!」
マドレーヌ「なんだと?…まさかマリウスまで…?」
紅華「断定は出来ないけど…あくまでも噂だから…」
マドレーヌ「ようやく…ようやく退院出来るんだぞ!あの子が何をしたんだ?生まれつき病気で…やっと…」
紅華「そうね…マリウス君には罪は無いわ…!」
老鉄「クローン培養した臓器を使う方法もありますが…何故他人の臓器を?」
マドレーヌ「…私と妻は…移民二世なんだ…」
紅華「…そう…?」
マドレーヌ「知っているかい?遺伝子操作で環境適応性を手に入れた人は…二世、三世と世代を重ねると障害や不妊の確率が高くなるんだよ…!」
老鉄「聞いた事があります。」
夜影「移民の世代交代が進むと人口が減少するのはその為ですよ。」
老鉄「なるほど…だから適合する生体臓器が必要だったのですね。」
マドレーヌ「…そうだ、マリウスがそんなことで死ぬなんて…ワシには耐えられない!」
老鉄「だからといって、他人を犠牲にしてイイ理由にはなりませんよ。」
マドレーヌ「じゃあ一体誰が悪いんだ?ワシか?死んだ妻か?それともワシの両親か?」
その問いに、誰も答えられませんでした…
私のデータベースにも、その答えは見つかりません。
ですが一つだけ確かな事があります。
それは、誰かの悲しみがまた別の悲しみを生んでいるという事でした。
沈黙の後…私達はマリウスに挨拶を済ませると病室を出ました、するとそこにジャベールと組織のメンバー達がやって来ました。
ジャベール「姐さん、ボスと坊ちゃんは?」
彼は慌てて駆けつけたようです、額にうっすらと汗が滲んでいました。
紅華「今のところは無事よ!…でも向こうのビルの屋上に人影が…」
ジャベール「なんだって?オイ、お前ら向こうのビルの屋上を見て来い!怪しいヤツが居たら捕まえるんだ!…抵抗したら…撃っても構わない…」
老鉄「撃つのは困ります!死んだらどうするんですか?」
ジャベール「…老鉄さん、ボスと坊ちゃんの命を狙っているヤツを庇うんですかい?」
紅華「依頼主が居るはずだから、生け捕りにして吐かせるのよ!常識じゃない?」
ジャベール「チッ…それもそうだ、オイ!殺さずに生け捕りだ!わかったな?」
子分達は走って病室を後にしました。
老鉄「廊下は走ってはいけませんよ!」
ジャベール「……今それ言う?」
結局、誰も見つからずに帰ってきましたがマリウス君の身を案じて急遽退院させる事になり、私達もジャベールさんの車でマドレーヌ氏の屋敷に向かう事になりました。
ジャベール「しかし、坊ちゃんまで狙うなんてのは…ちょっと酷すぎるんじゃねぇかな?」
車中でジャベールさんが悔しそうに話します。
紅華「家族が殺されたとなれば…恨みを抱くのは当然よ!」
ジャベール「それはそうですが…坊ちゃんがドナーを殺した訳じゃないし…」
紅華「そうね……彼を恨むのはスジ違いと言えるわ…」
ジャベール「でもこれで坊ちゃんが元気になれば…俺は…いえ、なんでも無いです…」
何故かこの時、私はジャベールさんがマリウス君が元気になるのが残念なように見受けましたが…何も言わずにおきました。
そうこうしているうちに車は郊外に向かうハイウェイに入りました、マドレーヌ氏の屋敷は郊外の丘の上にあるのです。
ハイウェイは夕方の渋滞でそれほどスピードは出せませんがそれなりに流れていました…
しかし突然、前を走るマドレーヌ氏を乗せた車の後輪がバーストしました、狙撃されたのです!
コントロールを失った車がスピンして私たちの車の前に迫ります、急ブレーキをかけたものの止まりきれずに前の車の右サイドに突っ込んでしまいました。
ジャベール「クソッ!どこから…」
ジャベールさんがドアを開けようとしたその時、車の中に物凄い衝撃音が響きました!
ジャベール「なっなんだ?」
老鉄「狙撃されたのです、防弾ガラスでなければ頭を撃ち抜かれていましたよ!」
ジャベール「これじゃあ外に出られないじゃねぇか!」
老鉄「落ち着いてください、ここは私が…」
そう言って私は車を降りて狙撃地点を探します…300メートルほど離れたビルの屋上に人影が見えました、カメラの倍率を上げるとそれは紛れもなくロゼッタでした。
ロゼッタは私が見ているのに気づいたのかすぐに姿を消してしまいました…
私達のいるこのハイウェイは高架になっているので…この場所から下まで降りて、あのビルまで行こうとすると、飛行ブースターでも無ければ追跡は不可能です…ゲンサンに今度頼んでおこうと思います!
この事故のおかげで道路は大渋滞…車は幸いにも走行可能でマドレーヌ氏の車はスペアタイヤに交換して走れるようになりました。
車の窓ガラスに着いた僅かなキズ…その位置から計算すると間違いなくジャベールさんの頭を撃ち抜く軌道でした!
紅華「…かなりの腕前ね?」
夜影「そうですね?…走行中の車のタイヤを正確に撃ち抜いたり…このキズの位置からしても…かなりの腕前だと思います!」
老鉄「おかしくないですか?ロゼッタが犯人だとしても…彼女達が行方不明になってまだ1ヶ月程…16歳の少女がそんな短期間で狙撃技術を身につけられるものでしょうか?」
紅華「……」
夜影「老鉄さん、普通の少女ならば不可能です…しかしロゼッタならば可能だと思います!」
老鉄「どういう事ですか?」
夜影「実は以前…ロゼッタはメイド隊紅棘の候補生として適正試験を受けていたんです…私はその時の試験官でした。」
紅華「ロゼッタには才能があったのよ、子供の頃から爆撃や銃撃の音が鳴り止まないような環境で育ってたから…身を潜めてじっとする事に慣れていたの…」
夜影「オマケに感情ですら殺してじっとしている事が自然に出来る子供だったから隠れんぼが得意で、周りから"ステルス・ローズ"なんてあだ名をつけられるくらいだったんです!」
老鉄「なるほど?それはスナイパー向きですね?」
紅華「だけどとても仲の良い兄妹だったから…紅棘には入れないで一般人として生活させたのよ…それがアダになってしまったみたいだけど…」
夜影「お嬢様のせいではありませんよ!」
老鉄「そうです!それにロゼッタには協力者が居るはずです!16歳の少女が独りであんな狙撃技術を身に付けられるとは考えられません!」
紅華「となると…ロゼッタはその協力者にそそのかされているのかもね?」
夜影「ロゼッタがすぐに撤収したのは私達が居たからかもしれませんね?お嬢様には恩があるので巻き込まないようにしているのかも?」
紅華「そうね…」
警察の交通整理や現場検証が済んだ頃に、警察のお偉いさんらしき人物がやっで来ました。
アンドレ「警察署長のアンドレだ!ただの事故じゃないそうだね?」
髭を生やした体格の良い男はなんだか偉そうです、何故か髭の人は偉そうにしてる人が多いというデータがあります!…個人的な見解ですが。
マドレーヌ「アンドレの旦那…お騒がせして申し訳ないね!」
アンドレ「フン!ギャングの抗争でお前らが何人死んでも構わんが…一般市民を巻き込むなよ!」
ジャベール「署長さん、こっちは被害者なんですぜ!言い方ってもんがあるでしょう?」
アンドレ「ジャベール…お前はフォンテーヌ人のくせに二世の下でなんか働いて…恥ずかしいと思わんのか?」
ジャベール「……クッ!」
老鉄「フォンテーヌ人?」
紅華「なんだか差別的な発言ね?警察署長ともあろう人がそんな事を言ってイイのかしら?」
アンドレ「フン!余所者には分からんさ!」
部下「署長、そろそろ行きませんと…」
アンドレ「おお!そうだったな?では行くとしよう…」
アンドレ署長はそう言って帰っていきました…お嬢様をはじめ、皆さん気分が悪そうです。
事故のせいで日が暮れてしまったので、私達はタクシーを拾って帰る事になりました、明日の夜はマドレーヌ邸で退院祝いのパーティーがあるのですが…ロゼッタが襲撃してくる可能性があるのでその対策を練る必要があります。
ジャベールさんがホテルまで送ると言ってくれましたが…マドレーヌ氏の警護を優先した方が良いという判断で断りました。
しかし街中を歩いていてもタクシーがなかなか捕まらずに街道沿いを歩いていたその時です、不意にクラクションが鳴りました。
フィリップ「あれぇ?紅華さんじゃないすか?」
4ドアのピックアップトラックに乗ったフィリップが声をかけてくれたのです、彼は私達を乗せてホテルまで送るというのです!
お言葉に甘えて乗せて頂いた私達にフィリップは馴れ馴れしく話しかけて来ます…
フィリップ「ちょうど仕事の帰りなんすけどね…ハイウェイが事故で渋滞だって言ってたから一般道を走ってたんす!」
老鉄「そうですか、おかげで助かりました!ありがとうございます!」
フィリップ「いやぁ…気にしないでくださいよ!どうせ途中だし…それよりもなんで老鉄さんが俺の隣に座っているんすか?」
老鉄「お嬢様を隣りに乗せて良いのは私か、リントハイム様だけですので…!」
フィリップ「そ…そうなんすね?」
老鉄「そういえば…」
フィリップ「どうかしたんすか?」
老鉄「フィリップ、あなたはフォンテーヌ人って知ってますか?」
フィリップ「ハハッ!なんだそんな事すか?フォンテーヌシティに昔から住んでる人達は余所から来た人間を田舎者扱いして蔑視している連中がいるんすよ!そういう連中は自分達の事をフォンテーヌ人と言ってるんす!ここ以外でもあるみたいですよ?」
老鉄「それでは人種が違うとかでは無いんですね?」
フィリップ「そうッス!俺に言わせりゃくだらないっすけどね!」
紅華「そうね?この広い宇宙で…なんて狭い視野なのかしら…?」
フィリップ「本当にそうッス!」
そんな事を話しているうちにホテルに到着しました、私達はフィリップにお礼を言って部屋に戻り、明日の対策を話し合います。
##老鉄の独り言:ログ022
【区別と差別】
フォンテーヌシティに生まれて育った人をフォンテーヌ人と呼ぶ連中が居ます
そして都会に住む人は地方の人を田舎者と呼ぶのだそうです…
しかし私には理解できませんでした。
同じ街で暮らし、同じ言葉を話しているのに、人間は生まれだけで仲間と敵を決めてしまうのです。
これでは別の国や地域、惑星から来た人達と戦争が起きるのは当たり前と言ってイイでしょう!
みんなが平和を求めてるはずなのに…
いつの日にか、私達ドロイドも帝国製やネビュラ製で争う日が来るのでしょうか?
私には分かりません。
行方不明の少女ロゼッタが復讐のスナイパーとして現れた!
彼女の本当の狙いは誰なのか?
そして黒幕は誰なのか?
大都会フォンテーヌシティの輝きの影にはドス黒いものが渦巻いていた!
果たして紅華達はロゼッタを救えるのか?
次回(完結編)に続きます。




