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戦士の受難  作者: とんぼ。
第3章 ディランド侵攻編

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「魔術とその後」

 突如、魔術を使う男に襲われたセイジとクロ。

 体を蝕む魔術を止めるために、2人は早く対処をしなければと頭を捻っていた。


 目の前の男が使う魔術とやらは、リキッド・フラーである程度対処は出来る。

 が、セイジは未だ限定魔法を長時間使うことは出来ない。


 そのため、リキッド・フラーはあくまでチャンスを作るための手段だ。


 「……セイジ、君に考えがあるなら従うよ。」

 

 クロは彼を信じて、頷く。その信頼に応えるためにも、セイジは斧を構える。


 「ありがとう。クロ、兎に角相手の気を逸らしたい。手伝ってくれ。」

 「分かった!」


 意図を汲み取ってくれたのか、クロは杖を構える。

 相手はというと、クロの持つ杖よりさらに大きい杖を握りしめて唱える。


 「汝よ、涙を分かち合え。汝よ、虚空を駆けよ。然りて明くるは永久なり。トライアグ!」


 先程も襲われたこの魔術。これはセイジらの大地が流動して、彼らの足を絡め取る効果を持つ。


 既に体験した攻撃に、クロはセイジの考えを尊重して足止めに力を入れる。

 

 「フローズン!」

 風の刃では弾かれることを知ったクロは、土埃と共に動く大地事態を氷で包むことにした。


 しかし、絶対零度の拘束は直ぐ様破壊される。

 そうして大地の脅威は2人に近づく。また足に絡みつき、前への歩みは妨げられた。


 「リキッド・フラー!」

 そこにセイジは間髪入れずに限定魔法を使用する。これによって2人の足と大地に隙間が生じた。


 隙を逃さず2人は駆け出す。対して男の伺えない顔色は変わった雰囲気がなく、平然と次の手を打つ。


 「汝よ、怒りと共にあれ。汝よ、大地へ平伏せよ。然りて映るは刹那なり。トライアグ!」


 次に発動させた魔術は、人間を包む程地面を隆起させる物だ。

 セイジとクロなど、すっぽりと広大な大地の糧となってしまうだろう。


 しかし、そんなことはさせまいとクロも魔法を使った。

 「フラー!」

 

 クロの魔法で2人に襲いかかる地面のみが上空へと浮き上がる。

 重量のあるそれが、空へと上がるのはクロの力量を持ってこそだ。


 セイジのリキッド・フラーは範囲内の物体を浮かせるが、クロのフラーは違う。

 対象は限定されるのだ。その代わりに、浮遊の効果は洗礼されるという仕組みである。


 「助かったクロ!」

 そう言ってセイジは浮遊した大地へと飛び乗る。


 丁度、2人と男の距離を埋める大地は橋のようであった。

 セイジはその上を駆けて男の元へと走る。


 「…っ!汝よ、」

 「させんぞ!」


 男の口が呪文を唱えて仕舞う前に、セイジは男目掛けて飛びかかった。

 持っている斧は、男へ振るわない。ただ、彼の持つ長い杖へと振るう。


 「ヒート!」

 念の為、強化した斧でその杖をたたっ斬る。残念ながら折れることはなかったが、衝撃で男の手からは離れていった。


 「はぁ、はぁ、これで、魔術は、使えまい…」


 息を上げているセイジは残った力で男を拘束。

 少し遠くへいたクロは様子を見て此方へとやって来ていた。


 「セイジ!大丈夫?」

 「あ、あぁ。それより、コイツの体は平気か…?」


 彼の言う通り、男の使った魔術は人間にとって害でしかない。

 それを不安がったセイジは、有識者であろうクロに現状を聞いてみる。


 「……うん。大丈夫。少し疲労は溜まってるみたいだけど。」

 「そうか…。良かった。」


 瞬間、セイジの体は限界を迎えて地面に倒れ込んだ。

 見かねたクロは咄嗟に支える。そうして気を失った男2人を介抱するのだった。

 

 

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